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【性病の世界史】レポート

【性病の世界史】
ビルギット アダム (著), 瀬野 文教 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4794221827/

○この本を一言で表すと?

 ドイツ人女性が書いたドイツを中心に書いた赤裸々な性病の歴史の本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・外国人女性が書く性に触れた本は赤裸々な内容の本が多いですが、例にもれずかなり赤裸々に書かれた本でした。

・軽いノリで書かれてはいますが、原典等にかなり当たっていて、著者の立ち位置はニュートラルで客観的な視点でもあり、読みやすく、またためになる本でもありました。

第1章 性病とは、その赤裸々な事実

・性病の種類とそれぞれの概要について書かれていました。古典的な性病として淋病・梅毒・軟性下疳・鼠蹊リンパ肉芽腫症が挙げられ、最近感染拡大してきたものとして、ヘルペスやHIVが挙げられていました。

第2章 梅毒にむしばまれたヨーロッパ

・淋病は紀元前からヨーロッパであり、文献でも見られるが、コロンブスの新大陸上陸以後に急速に梅毒が流行したこと、人口移動や当時の性風俗が原因であったことなどが書かれていました。

・教会・修道会が娼館を経営していた時代で、宮廷の恋愛事情などから国王までが梅毒に感染していったそうです。

・イギリス国教会を設立したヘンリ8世も太陽王と言われたルイ14世も、数々の芸術家も梅毒になっていて、有名な教育者であるエラスムスも梅毒になっていたそうです。

第3章 特効薬はないのか!

・梅毒の治療法として長い間信じられていたのが水銀を肌に塗り込めることだったそうです。
それ以外ではグアヤク木という新大陸で利用されていた木で、有名なフッガー家はこのグアヤク木の輸入の権利を握っていために巨額の資産を築けたそうです。

・梅毒の病原体が特定され、ヒ素が有効とされたもののヒ素自体が人体に有害なため、ヒ素薬剤を開発していて、エーリッヒと秦佐八郎がサルバルサンを開発したことが書かれていました。
ペニシリンが開発されるまではサルバルサンが唯一の梅毒の特効薬だったそうです。

第4章 時代は変わる

・19世紀から20世紀の変わり目は労働者階級とブルジョア階級で文化も断絶され、労働者階級では性に奔放になり、ブルジョア階級では表向きは清廉潔白が道徳とされながらも男性のみ娼館通いするようになり、性病になることは女性が原因、性病になること自体が不道徳の罰であるという文化になり、性病を撲滅するには皆が清廉潔白になるしかないという極端な結論が指示され、もちろんその通りにはいかないという事情が続いたこと、女性の活動場所が限定され、労働者階級の女性は最初から娼婦となるか、女中・女工として副業で娼婦をするか、概ねどちらかしか選択できなかったことなどが書かれていました。ドイツでは性病にかかった者の子供に障害が出ることが多いことから、結婚したければ性病にかかっていないという証明書を提出させる法律ができたり、優性法に繋がるような考え方の下地ともなっていたそうです。

第5章 エイズ、現代の梅毒か?

・梅毒が少なくとも先進地域では根絶され、かかっても治療できるものとなっていた中で、今度はエイズが流行し、また梅毒が流行した時のように不道徳の証とされたり、歴史が繰り返されることが書かれていました。