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【LIFE SHIFT】レポート

【LIFE SHIFT】
リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492533877/

○この本を一言で表すと?

 100年生きることを前提に考えたシミュレーションと提言の本

○面白かったこと・考えたこと

・100年生きることで何が変わるか、避けられないものや新たに享受できるものがあることを、代表的な年代に生まれた3名の仮定の人物の人生で書いている本でした。
信頼が置けるか分からないデータも含めた様々な想定を置いていること、アメリカに生まれた人のシミュレーションであることから、日本人にとっての精度については微妙かもしれませんが、方向性を示す上では具体例としてよかったのではと思いました。

序章 100年ライフ

・100年生きることで訪れる変化、価値観などについてざっと羅列されていました。

・寿命が長くなっても現在の状況の延長として働き続けないといけないことを「オンディーヌの呪い」としていますが、この呪いが、100年ライフでのあり方に乗れなかった時の象徴としてこの本全体で使用されていました。

第1章 長い生涯

・日本などの現代でも長寿の国以外も含めた先進国で、2007年に生まれた者の半分が100歳を超えるというのはなかなかインパクトのある話だなと思いました。

・平均余命が将来も変わらないという前提の「ピリオド平均寿命」と将来は平均余命が伸びているという前提の「コーホート寿命」の話と、政府の制度設計は主に前者によることは興味深く、また長期的な制度設計のミスに繋がりそうだなと思いました。

・昔と今での同年齢の健康さについては、自身でも実感するところがあり、「健康に老いる」というのは楽観的過ぎるわけでもないかなと思えました。

第2章 過去の資金計画

・平均寿命が後に生まれるほど長くなる前提で、1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーンを仮定してシナリオを描いていました。
この本全体でこの3人がベースに語られていますが、程よい年齢差で明らかにシミュレーションに差が出て、どの年齢の読者も自分がどの位置にいるかをイメージしやすくなっているなと思いました。

・若干楽観的な前提が置かれた上で、現在の「教育⇒仕事⇒引退」の3ステージのモデルだとしたらどうなるかが書かれていましたが、ジャックの年代ではうまくいっていたことが、ジミー、ジェーンと後の年代になるごとに相当の、不可能とも思える貯蓄を重ねることでようやく現役時代の収入の半分で引退後の生活を送れることが示されていました。

第3章 雇用の未来

・現代に至るまでの雇用変化から、今後も雇用変化が起きていくこと、AI・ロボットの普及で人間の仕事が変わっていくこと、テクノロジーの普及は遅れてやってくるもののジェーンの時代には間違いなく変化が訪れた後であることが書かれていました。

第4章 見えない「資産」

・金銭的な資産以外の無形の資産が今後は重要になること、その資産の種類として「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の三種類があることが書かれていました。

・「生産性資産」は学習・経験によって得られるスキル以外にも、仲間や評判が重要なものとして挙げられていました。

・「活力資産」は健康であること、バランスの取れた生活、自己再生できる友人関係などが挙げられるそうです。

・「変身資産」は自分についての知識、多様性のあるネットワーク、新しい経験に対して開かれた姿勢などだそうです。
何を築いていくか、金銭的な視差に害のものにも重要性を見出すということかなと思いました。

・単純に考えても、長生きしてもこれらの無形の資産がなければ随分と寂しいものだなとも思えます。

第5章 新しいシナリオ

・ジャックの3ステージの人生と比較した、ジミーとジェーンの人生について例が挙げられていました。

・ジミーの事例は3ステージ、3.5ステージ、4ステージの生き方が挙げられていて、30代・40代の人生設計として、面白いなとも思えました。
ただ会社勤めをしているだけの3ステージの生き方では行き詰まることが強調されているなとも思えました。

・ジミーの3.5ステージ、4ステージの人生に対して、ジェーンの事例ではもう3ステージは不可能なものとして、4ステージ、5ステージでもないマルチステージの生き方が書かれていました。
どこまで可能かは人それぞれだとは思いますが、そのような生き方なら100年ライフも楽しいだろうなと思えました。

第6章 新しいステージ

・昔と比べて今の20代・30代が若々しく見え、そういった「ネオテニー(幼形成熟)」の傾向は今後より進むという話は、実感としても納得できるなと思いました。

・マルチステージの人生として新たな3つのステージ「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」が挙げられていました。

・「エクスプローラー」は周囲の世界を探査する、身軽に敏捷に動き続ける発見のステージだそうです。
自分がどういう人間かを問う目的のケースと、特定の目的を持たずに「はしゃいで跳ね回る」ケースがあるそうです。

・「インディペンデント・プロデューサー」は旧来の起業家とは異なる、試行的な企業で学習を重視するステージなのだそうです。
本格的な企業を目指すより、スキルの向上やネットワーク構築、評判の獲得など、無形の資産の蓄積がメインだそうです。

・「ポートフォリオ・ワーカー」は異なる種類の活動を同時に行うステージだそうです。
誰もがよさそうだと思えるステージですが、それまでに築いてきた無形の資産がなければ期待外れに終わる、失敗の可能性も高いステージなのだそうです。

・ステージを移り変わる「移行期間」の重要性についても書かれていました。
確かに急にステージを変えることは困難だと思えますし、移行する準備は必ず必要になりそうだと思いました。
その「移行期間」を確保するためにも金銭的な資産や無形の資産が必要になりそうですが。

第7章 新しいお金の考え方

・結局のところ、お金も重要で、お金に関するリテラシーを鍛えること、資金計画が重要であることが書かれていました。

第8章 新しい時間の使い方

・時間の使い方は社会が決めること、余暇時間が増えても「空き時間」が増えないために時間が足りないと思う人が減らないこと、自己改善をする「リ・クリエーション」の時間を取ることがだいじであることなどが書かれていました。

第9章 未来の人間関係

・長寿があたりまえであれば人間関係も変わってくること、一方で女性の労働参加率が増えていないこと、世代間の交流があたりまえになることなどが書かれていました。

終章 変革への課題

・変革への課題として、自分自身・教育機関・企業・政府についての課題がそれぞれ挙げられていました。

・自分自身のスキルや意識変革について、教育機関が個人のニーズに応えられるように変わることについては、そうなっていくような気がしますが、企業については変革のインセンティブが小さすぎて、政府については変革するための壁が高すぎて困難だろうなと思いました。

○つっこみどころ

・ポジティブ一辺倒、とまではいきませんが、かなり楽観的な内容だったなと思いました。
ジェーンの例のような生き方をできる人がどれほどいるものか、周りに一人でもいればすごいレベルですし、そのレベルでなければ100年ライフを幸福に過ごすごとができないというのは逆にかなりネガティブな未来像であるとも取れそうな気がしました。
ジミーの例でも、ジャックの例でも、それなりに教育された中流以上の前提が置かれていて、それ以外の人にはあまり応用できない事例ではないかと思いました。
全くできないわけではないと思いますが。

・表紙を折りこんだところに「お金偏重の人生を、根底から変える。成長至上の次に来る、新しい生き方。」と書かれていましたが、お金自体については偏重とは言わないまでも、変わらず重要視している内容でしたし、成長を前提とした「リ・クリエーション」の重要性について書かれた本なのである意味「成長至上」の生き方を進めているわけですし、本の内容を無視した完全に的外れなキャッチフレーズだなと思いました。

・「第7章 新しいお金の考え方」「第8章 新しい時間の使い方」が一般論で全く新しく思えませんでした。

・第7章あたりから急に内容が薄くなったように思えました。