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【機械との競争】レポート

【機械との競争】
エリク・ブリニョルフソン (著), アンドリュー・マカフィー (著), 村井章子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822249212/

○この本をひと言でまとめると。

 機械が社会に与える影響を考え直してみる本

○気になった点

・タイラー・コーエンの「大停滞」で書かれていた「経済が停滞しているのは経済を発展させるようなイノベーションがしばらく生まれていないからだ」という説を真っ向から否定し、「テクノロジーが進み過ぎて雇用が追い付かない」という説を打ち立てているのは面白いなと思いました。
GDPが増えても雇用が増えていないことなどから割と導き出されやすそうな説ですが、それほど知られていなかったというのは不思議だなと思いました。
1930年にケインズが「テクノロジー失業」という言葉でこの事態について触れていたというのは驚きました。

・「スキルの高い労働者 対 スキルの低い労働者」「スーパースター 対 ふつうの人」「資本家 対 労働者」という3つの対立と所得格差が拡大している話は実感とも一致するなと思いました。

・グレゴリー・クラークが「10万年の世界経済史」で書いているという馬が産業革命からしばらく経ったくらいまで「雇用」されていたが内燃機関の登場により急速に数を減らし、必要がなくなっていったという話の例が、いずれ大部分の人間が必要なくなるという悲観説に繋がっていて妙に悲観説のリアリティを出しているなと思いました。

・第4章で「機械との競争」ではなく「機械との協力」について書かれていて、第1章で著者たちが楽観的にみていると書いていたことに繋がっているなと思いました。
チェスで人間に勝ったIBMのスーパーコンピュータのディープブルーより、人間とコンピュータの混成チームの方が強いということは初めて知りましたが、人間と機械が長所を活かし合うことが最大の効果を発揮するといういい例だなと思いました。

・「教育」「起業家精神」「投資」「法規制、税制」に関する19の著者からの提言は具体的でわかりやすかったです。
解説で書かれていたように、日本ではアメリカよりももっとできていない点について、アメリカでは問題意識を持っているというのは、さらに日本が遅れていくことになりそうだなと思いました。

○つっこみどころ

・本の紙質が段ボールのような紙で、他の本に比べてめくりにくく、ページ数の書き方も見辛くて分かりづらかったです。
一ページ一ページが紙質のせいで膨らんで、175ページの本なのに300ページ程度の本に見えますが、どういった意図なのかなと思いました。

・この本で意見に賛成できない例としてでてきた「大停滞」でもでてきたマイケル・『マ』ンデルが謝辞で登場して少し笑いました。