• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【ブルーエコノミーに変えよう】レポート

【ブルーエコノミーに変えよう】
グンター・パウリ (著), 黒川 清 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478013624/

○この本を一言で表すと?

 持続可能な技術のイノベーションとその導入事例について書かれた本

○この本を読んで興味深かった点

・何となく聞いたことがあるZERI財団の設立者が著者だったということに驚きました。
元々若くして複数の企業を設立してから自分のビジネスを見つめ直し、日本にある国連大学などに働きかけて持続可能な技術のアイデアを集めて実践していったという著者の行動力には驚かされました。

・「刊行に寄せて」をソフトバンクの孫正義氏が書いていたり、「まえがき」を国連事務総長次席兼UNEP事務局長とIUCN会長が書いていたり、推している人たちが豪華だなと思いました。

・全体的に妙に日本のことが多く取り上げられているなとは思っていましたが、この本が日本向けに加筆されて出版された本だということを最後の方に書かれてあった記述で知りました。
加筆されたであろう箇所以外にも日本がよく登場していて、日本に縁のある著者の思い入れが伝わってきますし、日本が環境と言う分野では期待されている存在なのだなと思いました。

・実際に実現可能な技術、既に実現している技術などを知ることで、環境に対して打てる手はまだまだあるのだということがわかり、希望が持てる内容だなと思いました。

第3章

・シマウマの白と黒の縞が太陽光の吸収度合いの違いから温度差に繋がり、それが気圧差に繋がって空気の流れを作り、体表温度を8.1℃下げているという仕組みには驚かされました。

第4章

・0.2%しか使われていないコーヒーの残りの99.8%がきのこ栽培に適しているということ、ジンバブエの孤児の少女チド・ゴヴェロが12歳でそれに着目し、事業を立ち上げたという話はすごいなと思いました。
スターバックスなどのコーヒーショップで抽出後のコーヒーかすを集めてきのこを栽培することなども可能なのかなと思いました。

・絹が金属と同じかそれに優る商品になり得ること、絹を生産するために必要な桑の木が土地の土壌を富ませることなどから維持可能な仕組みになるという話はすごいなと思いました。
単一種生産による土壌疲弊をこういった形で解決できるという話には感動しました。

第5章

・ワクチンを開発途上国に届ける方法として、マイクロソフトの元CTOが設立したコンサル会社でライフルの専門家とキャッシュディスペンサーの専門家と自動販売機の専門家を集めて開発した機材があることは知っていましたが、それは冷蔵を効率的にする仕組みでした。
そもそも冷蔵不要にする技術ができていたというのはすごいなと思いました。

第6章

・コロンビアの見捨てられたサバンナで植林活動を実施し、経済的にも自立できるようなシステムを作り上げたラスガビオタスの話はすごいなと思いました。
その支援を日本政府が実施していたというのは初めて知りました。
カリブ松を植えるときに菌根菌と一緒にして不毛な土地でも成長できるようにし、多彩な生物が生存可能な環境をつくり出し、食物やエネルギーも自給自足可能なしくみにしているというのは、こういった分野の可能性を感じさせるなと思いました。

第8章

・携帯電話用の電波塔がディーゼルエンジンで動いているというのは初めて知りましたが、電波塔に風力発電のタービンを併設することで電力を自給できるというアイデアは理にかなっているなと思いました。
風力発電はあまり実用的ではないという話を聞いたことがありますが、どう利用するかによっていろいろ考えることができるのだなと思いました。
日本は世界有数の風力を得やすい環境にあるそうなので、風力発電とその供給方法が整備されれば原発が必要なくなるというのはある程度の説得力があるなと思いました。

・発電所から交流を送るというシステムに疑問を持ったことがなかったのですが、直流で送るという選択肢があるというのは発電方法の選択肢も広がりそうだなと思いました。

エピローグ

・ブータンが氷河を利用した水力発電による電力をインドに売ることで収入を得ているということ自体初めて知りましたが、気候変動の為に20年以内に不可能になること、それに代わる経済基盤を得るために新たな取り組みをしているということを併せて知ることができました。

○つっこみどころ

・最初の100ページ弱は理想論ばかりで読んでいても面白くなく、ハズレの本かと思いました。それより以降は具体的な話になって格段に面白くなったんですが、本の構成としては失敗ではないかと思いました。

・東日本大震災について「日本で起きた三重の被害」という言葉が何度も出てきますが、「三重」を「みえ」と読んでしまい、「そんなに海外でも特筆するほどの被害があったのかな?」と思ってしまいました。
結局「三重」が何を意味しているのかは書かれていませんでしたが、「地震、津波、原発被害」のことでしょうか。