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【図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図】レポート

【図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図】
古川 武彦 (著), 大木 勇人 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4062577216/

○この本を一言で表すと?

 気象に関わる知識を科学的なところも含めて丁寧に解説した本

○よかった点

・気象に関する話を水の化学反応や気圧の高低差による圧力の移動などのミクロな反応から積み上げるように解説されていて、日々の天気を見た時にこの本を読む前よりいろいろ深く考えることができようになった気がします。

・「はじめに」で「中学校の理科を身に付けていれば理解できるように気を配って記述してある。」と書かれていたので気軽に読み始めましたが、思ったよりも難しかったです。(私の理科力が中学生レベル以下なのかもしれませんが)

第1章 雲のしくみ

・雲の寿命が平均数十分程度で長くても数時間程度というのは日頃空を見上げていても気づきませんでした。
雲が形を変えて動いていると思っていた状態は、雲が生成・消滅を繰り返していたのかと思うと不思議な気がしました。

第2章 雨と雪のしくみ

・雨が降る仕組みが思っていたより複雑で驚きました。飽和水蒸気量、融点以下の過冷却水、雨粒の表面張力と成長、空気の断熱膨張、水蒸気の潜熱など、いろいろなしくみの相互作用で雨が降っていることをある程度は理解できたように思います。

第3章 気温のしくみ

・空気が温まるのは太陽の光だけでなくて地面が温まったことも影響することは昔の理科の授業で学んだ気がしますが、熱を赤外線でやりとりしていること、全ての物質が熱を受けとり、また放射していること、水蒸気の働きが大きいことなどは初めて知りました。

・P.123,124でよく温暖化現象の話で出てくる二酸化炭素についてそれほど重く見ていないのは印象的でした。

第4章 風のしくみ

・風が気圧の差で生まれるというのは昔の理科の授業で学んだ気がしますが、当時でもいまいちイメージがわかりませんでした。
気柱間の温度差による空気の移動で風がおこるしくみ、暖められた気柱は伸びて地上で低気圧・上空で高気圧、冷やされた気柱は縮んで地上で高気圧・上空で低気圧というセオリーを知ってようやくある程度イメージができるようになりました。

・よく聞く「コリオリ力」は渦の向きに影響を与えていることくらいしか知りませんでしたが、風の向きに大きく影響を与えることを初めて知りました。
地表との摩擦力が風の方向に影響を与えていること、上空では気圧傾度力(気圧差による力)とコリオリ力のつり合いから等圧線の方向に風が吹くことなども初めて知りました。

・日本から北アメリカへのジェット気流が最も強い気流だということから、太平洋戦争時に日本から風船爆弾を気流に乗せて飛ばし、それがカリフォルニアの山火事に繋がったという話を思い出しました。

第5章 低気圧・高気圧と前線のしくみ

・温帯低気圧のしくみとその発達構造を初めて知りました。低気圧では上昇気流だということは昔の理科の授業で学びましたが、上空に蓄積された空気の影響(空気が溜まったままだと低気圧が消滅する)については初めて知りました。

・よく聞く「気圧の谷」がなんなのかということ、なぜ「気圧の谷」が低気圧を強めるのかということのしくみについて知ることができました。
低気圧も物理学的に考えられるということは改めて新鮮に思いました。

・高気圧に寒冷高気圧と温暖高気圧という生成原因が異なる2種類があることは初めて知りました。

第6章 台風のしくみ

・台風の構造や台風生成のしくみを知ることができました。
水蒸気の潜熱がウォームコアを上空につくり出して低気圧化すること、風の吹き込みと上昇・上空からの流出と言う仕組みが低気圧を強化することと、ウォームコアと風のシステムのポジティブ・フィードバックのしくみは面白いしくみだなと思いました。

・台風は東側が危険だと昔聞いたことがありますが、その理由が東方の高気圧からの台風を押し動かす風が台風の風を強化するというしくみが説明されていてその原理を理解できました。

第7章 天気予報のしくみ

・気象庁のホームページに載っている情報がどのような原理で導き出されているかを知ることができました。
台風情報がすぐに変更になってしまう理由も台風の動きの予測の困難性からなのだということを知ることができました。

・昔から今でも「レーウィンゾンデ」という観測気球を揚げて上空で破裂するたびに回収しているというのは面白いなと思いました。

・天気予報の技術、数値計算のしくみを知り、最新のコンピュータが活躍する科学的なものだということを改めて理解できました。