【平成のヒット曲】レポート

【平成のヒット曲】
柴那典 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4106109298/

○この本を一言で表すと?

 ヒット曲というよりその時その時の社会環境や変化を象徴する曲をまとめた本

○よかったところ、気になったところ

・平成という時代をその当時の社会環境やその変化を表すような曲を紹介することで俯瞰できてよかったです。
懐かしい曲もあれば知らない曲もありましたが、どういった社会の背景でそれらの曲がヒットしたのか、社会と楽曲のどちらも振り返ることができる本だと思いました。

・この本で紹介されているヒット曲のアーティストがどういった背景でそれぞれの曲を作ったのかのエピソードなどもあり、興味深く読めました。

・各年の曲に選ばれなかったヒット曲についても本文中で解説されていて、より全般的に当時の社会や楽曲を俯瞰できたように思いました。

第一部 ミリオンセラーの時代―1989(平成元)年~1998(平成10)年

・この時代は自分が一番音楽に接していた時期だったこともあって、懐かしさもあり、自分の知らなかったこともあり、面白かったです。

・当時も「ビーイング系」という言葉を聞いたことがありましたが、何を指しているのかさっぱり分かっていませんでした。
この本で音楽制作会社「ビーイング」が手掛けた曲だったということを初めて知りました。

・ダンスを主役にしたダンスミュージックや、根性論や自己犠牲から自分探しの内容の歌詞など、この時代に変わっていったものが挙げられていて興味深かったです。

・30代からの自由と青春という話が複数のアーティストのエピソードで出てきて、とても共感できるなと思いました。

・hideの「ピンクスパイダー」がWebをイメージしていて、別の曲でその後のクラウドを暗示するような曲があり、未来を予測していたというエピソードを聞いたことがありましたが、そのことについて詳しく触れていて興味深かったです。

第二部 スタンダードソングの時代―1999(平成11)年~2008(平成20)年

・世紀の変わり目だった時代、ガラケーの終わりの時代だったことなどがクローズアップされていました。
懐かしさの復活と、それまでの楽曲がメインから消えていく終わりなどが印象的でした。

・森山直太朗の名刺を渡して会議室で歌うところから始めた地道なキャンペーン活動とその徐々に成功していくエピソードはすごいなと思いました。

第三部 ソーシャルの時代―2009(平成21)年~2019(平成31)年

・この年代で紹介されている10曲の中で聞いたことがあるのはピコ太郎のPPAPくらいでしたが、他の曲もニュースなどで名前は目にしていて、売れ方や曲の方向性などが以前と全く異なることや、ソーシャルメディア中心になってきたこの年代の世相のようなものが理解できたように思いました。

○つっこみどころ

・帯に「“ヒット”は社会に何をもたらしたのか。」と書かれていましたが、これに関する内容は本文になく、各年の曲の中で社会がどのようになっているかを書いている本でした。
内容を理解していない人が書いたのでしょうか。

・「ヒット曲」とは言い難い曲もその時の社会を代表する内容として選ばれ、他にこの年のヒット曲と考えられるような曲が選ばれていないところがいくつもありました。タイトルが内容に沿っていないように思いました。

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