【教育格差】
松岡 亮二 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480072373/
○この本を一言で表すと?
統計情報の分析から教育環境の違いによる格差の拡大再生産を導出している本
○よかったところ、気になったところ
・両親の学歴をメインに、住んでいる地域、置かれた環境などから、幼児教育、小学校、中学校、高校、大学等の各段階でどのような「差」がついているか、それぞれの要素間の関係について分析されていました。
・両親が大卒かそうでないかで、幼児教育の時点で環境に差があること、三大都市圏、その中でも東京に住んでいるかどうかだけでも差があることなどが統計的に有意なのだそうです。
・各段階で、親が学校行事に参加しているかどうか、ゲーム・テレビに使っている時間と勉強時間等にどの環境であればどれだけの差が出ているのかが細かく図表も含めて示されていました。
・よく日本は「学歴社会」と言われているように思いますが、国際比較するとそれほど突出しているわけでもない「凡庸な教育格差」なのだそうです。
・「教育格差」自体が、何に対してどのような影響を与えているのかがほとんど述べられておらず、それ自体が問題とされている論調になっているなと思いました。
ただ、与えられる選択肢の多さの格差という意味で、「機会の平等」には反しているので、大きな問題と言えなくもないのかな?とも思えました。
・両親の学歴が子供の学歴に対して統計的に有意で、それが連鎖していくというのは、主観的にもわかりやすい構図ですし、解決しようとすればそのコストが大き過ぎ、またどの程度解決すれば、どのような効果が出るのか、そのメリットも見えにくい内容で難しい問題だなと思いました。