【ラッセル幸福論】
B. ラッセル (著), 安藤 貞雄 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4003364937/
○この本を一言で表すと?
不幸な原因を洗い出してその処方箋を書いた本
○この本を読んでよかった点
・「第六章 ねたみ」で心配ごとに次いで不幸な原因の一つだと書かれていて、なるほどと思いました。私自身覚えがありますし、周りで幸が薄そうな人はこの「ねたみ」が強いような気がします。
・「第八章 被害妄想」はなかなかうまく例が出されているなと思いました。(P.125の九十九回批評を控えて百回目で口に出したことと相手側の受け止め方など)
・「第十一章 熱意」で「イチゴが好きな人と嫌いな人では好きな人の方がその限りにおいて人生が楽しい」から「いろんなことに好奇心を持つことが幸福につながる」という繋げ方は面白いなと思いました。
・西洋流の考え方が導入されるごとに子供を育てることの負荷が高くなる、というような記述がどこかにありましたが、知的労働に移るにつれて子供が収益を生むためのコストが高くなり少子化に繋がることと、「銃・病原菌・鉄」に書かれていた大型野生動物のほとんどが家畜に適さない6条件の中で成長速度が入っていたことがリンクしました。
・本全体として、いまでは使わない言い回しなどがあって個人的には面白かったです。(「ねたみ」と「しっと」を使い分け、「とつおいつ」など)
・こういった哲学系の翻訳だと漢字が多くなりそうですが、漢字とひらがなのバランスが取れていてよい文章だなと思いました。
○つっこみどころ、その他考えたこと
・「第四章 退屈と興奮」と「第十四章 仕事」で、ほとんどの場合はつまらない仕事でもまったく何も仕事がない状態よりはマシである、という風に書かれていましたが、自分には当てはまらないなと思いました。
・結婚生活や愛情について触れている割には生涯で4回も結婚して80歳の4回目の結婚ではじめて「陶酔とやすらぎ」を得られた、というのは「ラッセルは自分で考えたことを実践できなかったのかな?」と思いました。