ゼミナール経営学入門 「第9章 組織と個人、経営の働きかけ」

ゼミナール経営学入門 第3版
伊丹 敬之 (著), 加護野 忠男 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532132479/

第9章<組織と個人、経営の働きかけ>

○人々は何をしているのか

・個人の業務行動と学習:業績を直接的に決めるもの
  業務行動:現在の協働の成果を決める
  学習   :将来の協働のポテンシャルを決める

・意思決定と心理的エネルギー:行動と学習を決めるもの
  意思決定:方向を決める
    ⇒ルーティン型(単純・自動)、問題解決型(複雑)
  心理的エネルギー:意思決定と行動の間の壁を乗り越える

・目的、情報、思考様式、感情:個人の意思決定と心理的エネルギーの背後に

○何で組織を統御するか:組織の働きかけ

>三つの働きかけ

・戦略:環境のマネジメント・組織のマネジメントの決定

・経営システム:(分業とコミュニケーションイン、センティブシステム、計画とコントロール)⇒組織構築

・理念と人
  理念:価値観、思考様式に働きかける
  人:リーダーシップ、人そのもの(採用自体)

○組織のマネジメントの全体像

・経営の働きかけから業績まで
  組織業績
    ↑
  ヒトの行動(業務行動、学習)
    ↑
  ヒトの行動決定要素(意思決定、心理的エネルギー)
    ↑
  行動要素の背後(目的、情報、思考様式、感情)
    ↑
  統御の仕組み(戦略、経営システム、理念・ヒト)←経営として唯一働きかけ可能

・タテの影響、ヨコの相互作用

・個人の自立性と現場の自己組織性
  個人の自立性:分散(組織、情報)⇒デメリットだけでなく保有者のスキル向上によるメリットの恩恵も
  自己組織性:自然にグループ発生、意図的に援助も可能⇒自律・他律


<演習問題>

1.

・工場長の組織構造の具体的措置
  TOC導入のため、稼働率でなくスループット向上を目標とし、人員を再編成

・行動要素の背後
  考える軸が稼働率からスループットに。部分最適化から全体最適化に。
  自部門の稼働状況でなくボトルネックの稼働状況に注意を向けるようになる。

・行動決定要素
  意思決定の基準が変わり、「問題」と捉える内容が変わる。
  組織にTOCの考え方が浸透すれば導入前とは異なる行動が採れるようになる。

・ヒトの行動
  生産性が高い(全体のスループットが大きい)方向に行動を取るようになる。
  (ヒトの評価指標がそちらに向いていれば)
  TOCの実践に関するアイデアが蓄積される。

2.

 ・戦略⇒最も作為的。短期間で大きい変動が可能だが、浸透しなければ意味がない

 ・経営システム⇒構築にある程度の時間がかかる。オペレーションに対して大きく作用。一度構築し、馴染んだものは変更困難

 ・理念と人⇒最も浸透・構築に時間がかかり、意図との整合は不確実。報告制の修正も最も困難。うまくいけば非常に根強い力の源泉となり得る。

3.

 個人の自立性、現場の自己組織性を許容しづらい状況であれば抑圧的になる。
 ・短期間で改革を実施しようとするとき。組織の慣性に反した改革であればなおのこと。
 ・少数の経営陣が思いのままに経営を推し進めようとするとき

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