ゼミナール経営学入門 「第17章 パラダイム転換のマネジメント」

ゼミナール経営学入門 第3版
伊丹 敬之 (著), 加護野 忠男 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532132479/

第17章<パラダイム転換のマネジメント>

○パラダイム転換の難しさ

・パラダイムの功罪・・・枠組みとして知識の共有、コミュニケーションに寄与
但し、固定化や思考の範囲の限定
  ⇒パラダイム転換・定着を交互にする必要あり⇒但し困難

○パラダイム転換のマネジメント

・トップによるゆさぶり:大規模な資源投入(ヒト・カネ)、現状否定(トップ交代等)、
挑戦的な目標
条件)
1.問題創造者(矛盾の大きさがキー)
2.既存の枠組みを超越する程の心理的エネルギーのタメ
3.持続可能なポジティブエネルギーの量

・ミドルによる突出:小集団←行動の取りやすい規模(集団力学)⇒発想の創出
      但し、打ち消されやすい⇒トップが脇役となってサポート⇒成功実績の蓄積

・連鎖反応:ミドル間の競争心、矛盾による変化へのニーズ⇒トップが演出(人事等で)

・パラダイム確立:全社的活動⇒正統とする⇒拡大再生産(大きな転換)

○脱成熟化

 新事業の開発、成熟事業の再活性化
 但し困難・・・認識の困難さ、現状への自信、規模感によるマヒ

 (四つの段階)

1.成熟の認識:危機感の醸成、論理の超越⇒パワーの集中、エネルギーのタメ

2.戦略的学習(失敗しながらの学習⇒方向性構築):
  失敗の理由:産みの苦しみ、既存パラダイムへの囚われ
  ⇒効用もある(ポテンシャルの発見、限界の見極め)
   ⇒反対、反発多い⇒それが逆にエネルギーとなる

3.戦略の再構築:戦略の確立(成功事例の蓄積により)、トップの決断による方向づけ
  ⇒企業成長の「ドライビング・フォース」(成長理由の根源?)になる

4.変化の拡大再生産:新しいパラダイムの浸透⇒変化の現出⇒過去の成功・失敗事例の根拠の確立 +保守派との対立による活性化


<演習問題>

1.パラダイム転換をうまくマネジできるトップマネジメントの条件を、その行うべき行動、実行のスタイル、組織のメンバーとのコミュニケーションのパターン、という観点を含めて、幅広く考える。 あなたは、誰を具体的に想定してこの条件を考えましたか?

⇒既存の未来の見えない保守層に対抗できる経営陣を集め、大多数の支持を得てトップとしての支配力を掌握し、自ら実践するスタイルで改革の先端を担い、組織のメンバーとのコミュニケーションを密にとり、経営陣のメンバーがまた新たなパラダイムに固定化し、不正を行った時は切った。(上杉鷹山)

2.全員巻き込み型のゆさぶりが、変革のエネルギーのディスチャージになってしまい、大きなエネルギーのタメをなくす危険があるのはなぜか。

⇒「ゆさぶり」時点ではトップのパラダイムの明確な展望があるわけではない。(P.459)
「テスト」に前略で挑んでは一か八かの賭けになる⇒失敗時のダメージ大⇒期待値も低い

3.脱成熟化のための成熟の認識のプロセス自体を、一つのパラダイム転換のプロセスと考え、ゆさぶり、突出、連鎖反応、確立、というステップで説明


○ゆさぶり:「現状が成熟している」というメッセージをトップが発言、行動

○突出:現状を打破せんとするミドルの出現。トップは支援

○連鎖反応:競争、矛盾に気付いたニーズの発露

○確立:全体の認識が「自分たちは成熟し衰えた領域にいる・いた」となる。
トップが再確認

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