ゼミナール経営学入門 第3版
伊丹 敬之 (著), 加護野 忠男 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532132479/
第15章<人の配置、育成、選抜>
○人の配置
・三つの決定:人と仕事、人と人、人と物理的環境(同じフロア、場所 など)
・直接的影響:適材適所、インセンティブ、人材育成、インフォーマル・グループ
・間接的影響:メッセージ効果
(日本の場合)
・ジョブ・ローテーションにより、専門家の抑制、ネットワーク財産の蓄積、当人の適性発見、インセンティブ、異種混合
○人の育成
・人が育つ条件:高い志、大きな仕事の場、大きな思索の場
・OJT:体験の場、体験の深さ、目標の提示・・・が成果を決める
・研修(Off-JT):芽が出る、種を蒔く、畑をきれいにする(知識、経験を整理する)
○人の選抜
・納得性が必要:チャンスの公平性、人事評価の公正さ
・日本:スピード遅く、程度は小さく、主体は人事部、アメリカ:スピード速く、程度は大きく、主体は事業部
○ダイナミックス
配置を起点とすると種蒔き型、選抜を起点にすると刈り取り型
○ジレンマ
・効率~育成、インフォーマル(人の和との対立)
・核づくり(中核として働ける人材を「選抜」)
・ゼロサム、エリート選抜 ⇒選抜されないリスクもある
⇒管理職インフレ
○エリート育成
経営幹部候補になる人材が必要となる⇒エリート選抜につながる
<演習問題>
1.「同じ釜の飯を食う」とはどのようなことで、それがどのような役割を仲間の人間に対して果たしているか?
⇒同じ環境でインフォーマル・グループを形成⇒仕事と生活を共にすることで一体感が醸成される。
(人と物理的環境)
2.終身雇用、長期雇用の雇用慣行は、人の育成という観点から見るとどの様な長所・短所があるか?
⇒
長所:計画的に「育つ条件」を与えることができる
短所:横並びになりがち。「エリート育成」が難しい。同じ文化のため、同質性がある。
3.日本の企業の人事ダイナミクスは配置起点の遅いスピード、 アメリカのそれは選抜起点の速いスピード、となっているが、 そのダイナミクスの違いが生まれる理由、違いが生み出す影響を多面的に検討
⇒
(ほぼ)単一民族でコンテキストを共有する日本と人種のるつぼでコンテキストを共有できないアメリカ・・・という背景。
採用時点での均質性も大いに異なる。
長期的視点・短期的視点と大きく政策が異なる。
自然、雇用の流動性も異なり、組織独自の能力の強弱に反映される。