【コーチングの神様が教える「できる人」の法則】レポート

【コーチングの神様が教える「できる人」の法則】
マーシャル ゴールドスミス (著), マーク ライター (著), 斎藤 聖美 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532313562/

○この本を一言で表すと?

 自分を振り返るために大事なこと、改善するために大事なことを丁寧に説明した本

○よかった点・考えた点

・いろいろと思い当たる点があり、自分を見直す機会になりました。タイトルからよくある小手先の内容かなと思っていましたが、むしろ「7つの習慣」などに通じるような普遍的な内容が分かりやすく書かれていてよかったです。

・ダメな人、普通の人に対するコーチングではなく、トップに近い位置にいる優秀な人に向けたエグゼクティブ・コーチングの内容が、意外とだれにでも適用できることを知り、エグゼクティブとそれ以外でも躓くところは一緒なのだなと思いました。

セクションⅠ 成功で厄介なこと

・成功に関する4つの信念「私は成功した」「私は成功できる」「私は成功するだろう」「私は成功することを選択した」は、周りを見てもありがちで、自分自身、同じような信念をそうと気付かずに持っていたことがあったなと思いました。
自分の貢献度を高めに見積もってしまう「私は成功した」、「このような行動にもかかわらず成功した」を「このような行動をしたから成功した」と錯覚して何度でも成功できると思い込む「私は成功できる」、成功したいという意思を持ってチャンスの海に溺れることで成功を幻視する「私は成功するだろう」、選択の際の認知的不協和により心の中で信じていることと現実が乖離する「私は成功することを選択した」はそれぞれなかなか逃れがたいことだなと思いました。

・著者の言う30年間の観察で得た唯一の自然の法則「人が何かするのは、自分の価値尺度からみて自分の得になると考える時だけだ」というのは、「ザ・ゴール」でTOCを社内に導入したければ社員の評価制度を合わせなければならないという場面で「人は評価される方向に動く」と出たのを思い出しました。
人は、その人にとって重要なものを把握し、その重要なものが脅かされて初めて変わろうとする、ということが結びにありましたが、自分自身も含めてその通りだなと思いました。

セクションⅡ あなたをトップの座から遠ざける20の悪癖

・「よくなる」より「悪いことをやめる」方が簡単であること、「○○をする」より「△△をやめる」方が簡単であることが書かれていましたが、シンプルながらその通りだなと思いました。
例として出ている「もっといい人になる」には「いやなヤツであることをやめる」ことにすればいいというのも納得です。

・20の悪い癖「極度の負けず嫌い」「何かひとこと価値をつけ加えようとする」「良し悪しの判断をくだす」「人を傷つける破壊的なコメントをする」「『いや』『しかし』『でも』で文章を始める」「自分がいかに賢いかを話す」「腹を立てているときに話す」「否定、もしくは『うまくいくわけないよ。その理由はね』と言う」「情報を教えない」「きちんと他人を認めない」「他人の手柄を横どりする」「言い訳をする」「過去にしがみつく」「えこひいきする」「すまなかったという気持ちを表さない」「人の話を聞かない」「感謝の気持ちを表さない」「八つ当たりする」「責任回避する」「『私はこうなんだ』と言いすぎる」は、どれも少しは思うところがあったり、過去にやってしまったことがあったりしますが、特に「何かひとこと価値をつけ加えようとする」は良かれと思ってやってしまっていて「ダメだったのか!」と反省しました。求められればともかく、そうでない時は控えようと思います。

・21番目の癖として「目標に執着しすぎる」がありましたが、自分で決めた目標が現状に合っているかどうかを確かめずに突っ走ることは客観的に考えるとダメなことはわかっていますが、実際に何度もやったことがあります。

セクションⅢ どうすればもっとよくなるのか

・変化し、その変化を永遠のものとするための7つのステップ「フィードバック」「謝罪する」「公表する。宣伝する。」「聞くこと」「『ありがとう』と言う」「フォローアップ」「フィードフォワードを練習する」が書かれていました。
「7つの習慣」で信頼残高に預け入れをするための方法として似たようなことが書かれていて、仕事でも人生全体でも大事なことは同じなのだなと思いました。

・見慣れない「フィードフォワード」というのは、自分が何をしたかという過去に対する「フィードバック」とは違い、将来自分が何をすればよいかを周りに質問することだとあり、なるほどと思いました。迷った時に人に相談することと似ていますが、より積極的に自分に対して「助言をもらう」というのが大事なのかなと思いました。

セクションⅣ 「自分を変える」ときの注意すべきポイント

・「自分を変える」ための8つのルール「行動を変えることでは直せない問題かもしれない」「正しいものを直そうとするように」「本当に何を変えなくてはいけないか、を勘違いしないように」「聞かなくてはいけない真実から逃げないこと」「理想的な行動はどこにもない」「計測可能なら、達成可能になる」「結果を金銭に変え、解決策を見つける」「最高の変わるタイミングは今だ」のうち、最初の3つが「変える対象を間違えないように」というルールなのは面白いなと思いました。確かに変える対象を間違ってしまったら変える努力が無駄になりそうです。

・部下の扱い方についての章で、自分の取り扱い方を説明するというアイデアは面白いなと思いました。

・「自分自身を管理するように部下を管理することをやめなさい」と書かれていましたが、これはかなり気を付けないとやってしまっている人は多そうです。
今までやってしまっている人を何人も見てきましたし、私自身もやってしまっていたかもしれません。

・社員が一社に忠実であることからフリーエージェント型になっているという状況はアメリカの状況であって日本ではまだまだかもしれませんが、そんな社員に対するありがちな偏見「彼らが何を望んでいるのかわかっている」「彼らが何を知っているのか知っている」「彼らの自己中心的なところが嫌いだ」「いつだって他の人間を雇うことができる」は日本でも大いにありがちな偏見・思い込みだと思いました。

○つっこみどころ

・タイトルがいかがわしくて購入しない人がいそうだなと思いました。
原題の「What Got You Here Won’t Get You There(今までのやり方では、これから先はうまくいかない)」も著者の知名度がないと売れそうにないなと思いましたが。

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