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【逃走論―スキゾ・キッズの冒険】レポート

【逃走論―スキゾ・キッズの冒険】
浅田 彰 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480021078/

○この本を一言で表すと?

 社会や経済学までを「哲学」するかなりディープな本

○この本を読んでよかった点・面白かった点・考えた点

・前提知識がないので終始置いてけぼりにされた気がします。少しは知っているはずの経済学の内容まで「哲学」されていて、全く分からない代物になっていて、視点によってはまったく別物になるのだなと思いました。

・著者の知識の幅と深さがともにすごく、経済学をかなり深く理解しているような記述がありますが、元々経済学を専攻していて、それから社会哲学に重点を移したという経歴を見てなるほどと思いました。

・ものすごい量の前提知識がないと理解できない文章で、さらにその前提から次の前提をつくり上げて話が進むので、この本を読んだ人の何人がしっかり理解できたのかなと思いました。

・全体的に二元論というか二極論というか、「同時に成り立たないのかな?」ということにはあまり触れられていないように思いました。
それが著者やこの本のルールみたいなものなのかもしれないなとも思いました。

・「パラノ人間」と「スキゾ人間」という区分はなかなか興味深いなと思いました。
どこか「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」の区分に似ているなと思いましたが、この場合の「T字型人間」「Π字型人間」「マルチスペシャリスト」のようなその合間に存在するような考え方はあまりないのかなと思いました。

・「住む文明」から「逃げる文明」への移行という考え方は同意できるかどうかは別として面白いなと思いました。
「住む」ことが累積的に、「逃げる」ことがゼロベースに繋がるというのは分かりやすく面白いなと思いました。

・広告という世界の仕事の内容のスキゾ的な部分と業としてのパラノ的な部分が重なり合う微妙なカンジは、特に広告やCMを観て自分で感じたことはなかったのですが、業界の人にどうなのか聞いてみたいなと思いました。
センスと理屈が重なり合う、ということとは少し違うのかなとも思いました。

・家族像が子どもである自分と自分の一部である母親と厳格な父親とで構成されるというモデルで、心理学もそれに基づいて構築されていて、それが現代(この本が書かれた80年代)に通用するのか?という疑問は鋭いなと思いました。
一定の前提に基づいてそのモデルが出来上がり、その前提が崩れた後もモデル自体が惰性で残ってしまっている、そんな気もします。

・「モル的」と「分子的」で化学・物理的な用語をそれぞれの科学的な考え方を哲学的な考え方に適用しているのはうまいなと思いました。
画一的な機能を持つ単純な集合である「モル的」を累積的なパラノイア、様々な結合や構造で様々な機能を持つようになる「分子的」を分裂的なスキゾフレニーに対応させているのは、すごいセンスだなと思いました。

・マルクスの「ユダヤ人なのに一般的なユダヤ人に批判的」という立ち位置から「自分は世界市民だ!」という視点を見つけるのはある意味これもユダヤ人という立場からの逃走かなと思いました。

・P.146~の紙幣の話は短い話しながらも紙幣がなぜ流通できるかについて、その最終期限がオープンになっていることがキモというのはすごく分かりやすく深い話だなと思いました。

・ところどころに出てくる「交通」という言葉はこの本では断絶された異なる世界間を繋ぐものとして書かれているのかなと思いました。
それと遊牧民のノマド的ということを当てはめているのは、分かるような分からないようなモヤモヤした感覚を感じました。

・「知の最前線の旅」やそれ以降で解説されている本のどれもあまり読みたいと思える本がありませんでしたが、この本のような世界観に対する理解が深まったら読みたくなっていくのかもしれないなと思いました。

○つっこみどころ・わからなかったところ

・「ドゥルーズ=ガタリを読む」で、「構造主義」「器官なき身体」「ゼロ記号」というのが全く分からなかったです。
「コード化・超コード化・脱コード化」「属領化・脱属領化・再属領化」の関係やそれぞれの理解もしっかりとつかめた気がしなかったです。

・「マルクス・貨幣・言語」で、「記号論」「リゾーム」の話を始め、最初から最後までほとんど意味が分からなかったです。