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【続・名将の演出―経営と経営学はどう違うか】レポート

【続・名将の演出―経営と経営学はどう違うか】
大橋 武夫 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/483780389X/

○この本を一言で表すと?

 「名将の演出」を前提に置いた兵法とその運用についての本

○面白かったこと・考えたこと

・「名将の演出」の内容を前提において書かれているのでまさに続編だという本だと思いました。

・兵法を知ること、兵法を運用すること、兵法をうまく運用すること、という三段階の三部構成になっていて面白い構成だなと思いました。
主に孫子の兵法と三十六計がメインで、その具体例を知ることができてよかったです。

・すべて日本の事例を出しているだけあって、古戦場を実際に歩いて地形やその位置から見える景色などを分析している手法は読む側からしても臨場感が感じられてよかったです。
高いところに陣を敷くことが有利だという話は歴史小説などでもよく出てきますが、その優位性がどのように表れるかがより一層理解できたように思いました。

第1部 兵法を知らなくては勝てない

・前九年の役は「炎立つ」という小説である程度知っていましたが、客観的な視点で決定要因が何であったのかを詳しく知ることができてよかったです。

・源義仲の倶利伽羅峠の戦いはよく知られていますが、火牛の計以外の戦略的な内容を知ることができてよかったです。

・真田一族が少数で多数を翻弄する話はこれもいろいろな小説で題材にされていて知っていましたが、具体的にどのような策で多数の敵に対していたかを知ることができ、またその策が基本的な兵法に基づいていたことを知ることができてよかったです。
真田一族の自らの支配地域である町を燃やすことを前提にした建設の仕方など、かなり前からの準備が必要なことを準備し切って、本番で過不足なく運用し切るというのはすごいことだと思いました。

第2部 兵法を知っただけでは成功しない

・間違いなく兵法を知っていた武田勝頼・楠木正成が、前者は自らの気質と立場で大事な時に運用できず、後者は運用するための立場を築くことに失敗していたというのは、兵法・戦略を運用できるだけの知識を持っていることと、それを実際に運用することの壁を明確に感じました。

・源義経の一ノ谷合戦でひよどり越えで逆落としをかけて勝利をすることで、それまで将として信頼がなかった状態から一気に名将としての信頼を作り出し、勢いを持って壇ノ浦まで平家を追い詰めていったという話は、その「劇的さ」が必要であったこと、信頼を得るべき時に得ることの大変さを学べるなと思いました。
また、通常の戦法でも勝利できる時にそうしたことで上部からは不信感を持たれるようになったことは、説明責任を果たすことの重要性とその困難さの教訓でもあるなと思いました。

第3部 兵法を演出する

・徳川家康の東軍がほとんどの条件で不利だったことはいろいろな本で書かれていますが、それをひっくり返すまでのエピソードも司馬遼太郎の「関ヶ原」などで知っていたものの、具体的な地形図などで説明されると改めてよく分かるなと思いました。
静的な状況では負けている盤面でも、動的には勝てるという戦略の難しい状況のよい事例だなと思いました。

・豊臣秀吉が九州制圧や小田原攻めでコストを最小化して結果を最大化するために十分な準備と必要な時に全力を出すそのさじ加減はすごいなと思いました。