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【影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか】レポート

【影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか】
ロバート・B・チャルディーニ (著), 社会行動研究会 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4414304164/

・・・もう第三版が出ているようです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4414304229/

○この本を一言で表すと?

 営業や勧誘に使える技術とその対抗策を書いた社会心理学の本

○この本を読んで考えたこと

・「営業の人なら必須の本」といった言葉でこの本を薦めるのをいろいろな場所で聞いていたので、営業のノウハウ本のようなものかと思っていましたが、意外とアカデミックな内容でしっかりした社会心理学の本でした。

・「影響の武器」の話をすると「ああ、返報性ね」というような返事をする人が多かったので、返報性の話がメインの本と思っていましたが、返報性はあくまで六要素の一つで、それも特別ページ数が割かれているわけでもないことに驚きました。
返報性の本だと伝えてきた方々は途中で力尽きて最初に書かれている返報性だけ覚えている、というような事情でもあったのかな?と考えました。

・読んでいて今までに騙された、乗せられた記憶がいろいろよみがえりました。そういった経験が多くある人ほどこの本の理解が進むかもしれないなと思いました。

・ところどころで「アムウェイ」がうまくやっている話が出ていて、ここに書かれているノウハウを利用すればマルチ商法でも成功できるのだということが、すごいと思うとともに怖い技術だなと思いました。

・章末の設問が結構難しく、考えても分からなかった設問がいくつもありました。

・社会心理学としてこういった分野があり、人間にはこういう傾向があるということ知ることで、「影響力の武器」に対して少しは抗えそうな気がします。知らずに仕かけられるとかなり不利だなと思いました。

第1章 影響力の武器

・動物の固定的行動パターンとヒトの反応を対比して、ヒトの固定的行動パターンを考えてみる、という経緯はなるほどなと思いました。

・コントラストの原理はよく使われる手法だなと思いました。
P.27のシャロンの手紙は見事にコントラストを利用した例だと思いました。

・P.14に書かれていた「判断のヒューリスティック」は「ゼミナール経営学入門」で「ヒューリスティクス」として意思決定に関する章で出てきていて馴染みがあるなと思いました。

第2章 返報性 ― 昔からある「ギブ・アンド・テーク」だが・・・・・・

・返報性が受けた恩を返すことで成り立つ社会、まず他人に与えることから始まる取引の懸念をなくすことを目的にルール化されているという話は、NHKスペシャル取材班がヒトの起源を追いかけた「ヒューマン」で書かれていた日本の類人猿研究所のチンパンジーの実験でチンパンジーは「助ける」ことはあっても「助け合う」ことはない、という結果と対照的で面白いなと思いました。
返報性の強力さは、平常時は有効なだけに利用されると厄介だなと思いました。

・「拒否したら譲歩」もNLP(神経言語プログラミング)のダブルバインドというテクニックで知っていましたが、仕かけられるとかなりのプレッシャーを感じそうです。

第3章 コミットメントと一貫性 ― 心に住む小鬼

・一貫性の強力さは分かりやすいなと思いました。
マルチ商法や高額商品の勧誘などで、夢を語らされると後に引けなくなるという話を聞いたことがあります。
ささいなコミットメントから大きなコミットメントそしてアクションを引き出すというテクニックはかなり避けることが難しそうだなと思いました。
アメリカの大学のフラタニティの話は映画化された「facebook」という本でエドゥアルド・サベリンが入会するためにニワトリをずっと持っていること(授業中も)という試練を課されていたのを思い出しました。

・朝鮮戦争時の中国の洗脳工作はかなり洗練されているなと思いました。

第4章 社会的証明 ― 真実は私たちに

・社会的証明は日本人には分かりやすい力だと思いました。
1人で空を見ていてもだれも引きずられないが、5人で空を見ていたら誰もが引きずられるという感覚はとても分かりやすいです。
クイーンズ地区の殺人を目撃者全員が放置していた事件、ジョーンズ・タウンの集団自殺など、「空気」が形成される感覚はアメリカより日本の方が強い気がします。(オウム真理教等のカルト教団による事件、いじめへの対応など)

第5章 好意 ― 優しい泥棒

・好意が強力な武器だというのは当たり前な気がしますが、好意が形成される要因について個別に述べているとこが面白いなと思いました。

・外見で人が左右されるという話はよく聞きますが、類似性が好意を形成するということも、はっきりと知識として知っているかどうかは別として、「そういうところは自分と同じ」といったセリフをよく耳にすることから、自然に身についているテクニックかもしれないなと思いました。

第6章 権威 ― 導かれる服従

・権威の話はすごくわかりやすいなと思いました。
肩書を気にするのはどの国でもそうかもしれませんが、日本人もその傾向が強いと思います。

・医者のふりをした電話で看護師が致死量の処方をしようとしていた話や、機長症候群の話は、ありがちで怖い話だなと思いました。

第7章 希少性 ― わずかなものについての法則

・希少性もだいぶわかりやすい話だなと思いました。
「限定」や「今だけの特価」などのキーワードに弱いのが日本人だけではなくて世界共通なのだと思うと面白いなと思います。
希少性を利用して高額商品を売るやり方は感覚的にもそれなりの成功率がありそうです。

第8章 手っとり早い影響力 ― 自動化された時代の原始的な承諾

・現代はより社会が複雑になっていて、より簡潔なヒューリティクスが必要になってくるというのは確かにそうだなと思います。
自分でチェックする習慣を身に付けていないと、自然に採用しているヒューリティクスで行動の選択肢が狭められそうですので、気を付けたいと思います。