【文在寅時代の韓国 「弔い」の民主主義】レポート

【文在寅時代の韓国 「弔い」の民主主義】
文 京洙 (原著, 著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4004318572/

○この本を一言で表すと?

 文在寅を肯定する視点の韓国現代政治の本

○よかったところ、気になったところ

・文在寅とその政権について肯定的な視点で韓国の政治を追いかけるという内容でした。
今までこの視点の内容にまとめて触れたことがなかったので新鮮でした。

第1章 盧武鉉から文在寅へ

・盧武鉉から朴槿恵までの大統領選挙と政治の様子を文在寅サイド視点から数字を含めて説明されていました。

第2章 二〇一六~十七年ろうそくデモ

・セウォル号沈没から朴槿恵弾劾裁判まで、ろうそくデモの詳細を中心に述べられていました。
脱中心の社会運動として、主義主張の異なる、正当や組織の関与より自発的に参加するデモとしてこれだけの規模と頻度で行われていたのはすごいなと思いました。

第3章 文在寅政権の誕生

・文在寅が大統領選挙で当選したところから2018年くらいまでの政権立ち上げ以降の話が述べられていました。
韓国の政府の構造、親盧覇権主義という世評、「3チョル」を始めとする側近グループによる「護衛武士団」の存在、異なる派閥の人材も入れた政権体制などについて詳しく書かれていました。
積弊清算として不正に対する追及のタスクフォースや過去の事件の見直しなどが徹底的に行われたそうです。文在寅の米朝会談への関与について肯定的に書かれていたのが印象的でした。

第4章 試練の文在寅政権

・検察改革、徴用工判決・慰安婦問題への対応など、文在寅の対応について全て肯定的な視点で語られているのが印象的でした。

終章 コロナ・パンデミックを超えて

・韓国の新型コロナウイルスへの対応が絶賛されていました。

・ソウル市長であった朴元淳がセクハラで訴えられている中で自殺した事件について、女性の訴えが事実なら許されることではないが、朴元淳の進めていた社会的経済の取り組みにとって衝撃だったとして、朴元淳を肯定的に書いていることが印象的でした。

・北東アジア経済圏の重要性に関する話が最後のトピックでした。
歴史認識、領土問題、日本社会の右傾化などがその障害だとして、韓国のろうそく革命を経た新しい民主主義がその失敗の歴史に終止符を打てるか、という問いで締められていました。

○つっこみどころ

・文在寅とその政権について全肯定の視点と、李明博や朴槿恵を全否定する内容の偏りがすごい本でした。
その度合が後になるほど濃くなってきて、苦笑なしに読めない内容でした。

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