【フィンランド豊かさのメソッド】
堀内 都喜子 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4087204537/
○この本を一言で表すと?
フィンランドで暮らす日本人の現地密着観察記
○この本を読んで面白かった点
・なんとなくほんわかした文章で、フィンランドの土地柄やフィンランド人の人柄が伝わってきて、それらを交えてフィンランドの政策などについても触れていて面白かったです。
第1章 不思議でとても豊かな国
・森林が国土の70%、湖が国土の10%と想像以上に自然たっぷりな国で驚きました。
・国際競争力で上位を占めているが残業しない国だそうですし、元は欧州の小国だったところを国民に対する投資で競争力を高めて現在に至っているそうです。
・森林と湖の国ながらITをかなり積極的に導入して効率化を図ってもいるそうです。
第2章 学力一位のフィンランド方式
・中学校、高校では制服や校則もなく、かなり自由になっていて、高校以外の小学校、中学校、大学では卒業式がなく、学校を出る時もあっさりしているそうです。
・授業時間は日本よりもかなり少なく、宿題もないのにPISA(OECD各国の15歳の学力調査)の科学リテラシー、数学的リテラシー、総合読解力の全分野でトップ5から落ちないほどの学力を誇っているそうです。
・教師の質の高さがかなりのレベルにあり、落ちこぼれを出さないようにサポートする人が何人もクラスにいるような体制が整い、読解力が落ちてくれば理系の分野でも読解力を鍛えるようなさまざまな教育のための制度が導入されているそうです。
・大人の生涯勉強の意欲がかなり強く、子育てが終わって40歳代になってから高校に入って資格を取ったりする人も著者の身近にいたそうです。
第3章 税金で支えられた手厚い社会
・税金が高いものの、税金の使途がガラス張りになっていて自分たちのために使われることがわかるのでそれほど不満がでないそうです。
・子供の養育費や子育てセット(子供服や子育て用具一式)の支給など、子供を育てるための制度がかなり整えられているそうです。
・フィンランドの男性に比べて女性がかなり強く、ダンスホールでも恥じらう男性を女性がゲットする光景が見られ、大統領も首相も女性だという話は面白かったです。
第4章 日本と似ている?フィンランド文化
・日本と表面的には似ていそうなフィンランドの、日本との文化の違いがいろいろと書かれていました。
食事に固執しない、スポーツに熱心、家も自分で作ろうとする、沈黙を好むものの発言するときはダイレクト、「がんばる」という言葉がフィンランド語にはない、グレーな部分がなく全て対等(役職の差などもあまり気にしない)、など日本とはあまり似ていない点が列挙されていて興味深かったです。
○つっこみどころ
・北欧に関する本に多い肯定的な意見ばかりの本だなと思いました。
批判的な視点でフィンランドを見た意見も知りたかったです。