
【平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」】
桃崎 有一郎 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4166614053/
○この本を一言で表すと?
平治の乱の背景や人間関係などを洗い出して再考した本
○よかったところ、気になったところ
・「平治の乱」については大体「保元の乱」とセットで、「平治の乱の方は平家が治めたから平治の乱」みたいな憶え方をしていて、名称ははっきり記憶している割に源氏と平家の動き以外の具体的な内容についてはほとんど知らなかったですが、保元の乱からの流れや人間関係、対立関係などが詳しく述べられていて勉強になりました。
・同じ著者の「京都を壊した天皇、護った武士 「一二〇〇年の都」の謎を解く」もそうですが、特定の人物を徹底的に持ち上げ、もしくは叩き、それを比較するように他の人物に触れる傾向があるなと思いました。
特に中世の天皇家を叩く傾向がかなり強いなと思いました。
・動機や当時の常識などから可能性を否定していって事実に近いものを絞り込んでいくアプローチで、二条天皇黒幕説を確定していくところなどは、かなり説得力があるように思いました。
・直接文献を調べ、既存の解釈にとらわれずに解釈し直しているところはすごいなと思いました。
また、同じ文章を見ても解釈次第で全く異なる結論が出るというのも興味深いなと思いました。
・平治の乱に触れている当時の文献が異様に少ない(ほぼ存在しない)こと自体が興味深いなと思いました。
こっそり日記に付けていることが残っていてもおかしくないと思いますが、制度もしくは強制命令として取り締まっていればそのこと自体が日記などに残りそうですし、空気というかタブー視する雰囲気を形成できたことでなし得たのかなと想像しました。
○つっこみどころ
・「全体として」で触れた動機や当時の常識で検討していくアプローチは、可能性を否定していく方向では説得力を感じたものの、それ以外の点ではかなり強引なアプローチだと思えました。
「こういった状況だとこの人物はこのように考え、このように動くはずだ」という合理的な人間であることを仮定する経済人仮説のような推論の積み重ねを確定的に述べているのはかなり違和感がありました。
・本全体を通して、最初に結論ありきで強引に話をつなげ、結論まで繋げているような印象を受けました。
後半になるほどその傾向が強くなっていったように思えました。
