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【猥談―近代日本の下半身】レポート

【猥談―近代日本の下半身】
赤松 啓介 (著), 上野 千鶴子 (著), 大月 隆寛(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4768466621/

○この本を一言で表すと?

 明治から現代にかけての民衆の習慣を、性風俗を基礎として対談した内容の本

○面白かったこと・考えたこと

・タイトル通りの猥談な内容も多かったですが、各時代における倫理観や習慣などが全くオブラートに包まれずに書かれていて迫力があるなと思いました。
真面目に猥談しているという印象で、かなり内容が重たく、濃かったです。

・対談をまとめたものに赤松啓介氏がかなり追記して出来上がったという経緯からか、かなり意見がぶつかり合っていたり、詳細な説明があったりで面白かったです。

・昔から会った習慣と現代(20世紀後半)での相違点だけでなく、共通点もテーマとして述べられていたのが興味深かったです。

・赤松氏の明治末期以降の実体験を元に述べられていた内容がかなりリアルでした。赤松氏の経歴もかなり興味深く、共産主義者になったり拝み屋をやったり、戦前と戦後の立ち位置などもあってそれぞれの時代を教科書や通史ではなかなかでてこない民間側からの視点で知ることができたように思います。

・司馬遼太郎氏の小説でも夜這いの習慣についての説明などが出てきますが、その内容を大げさに書かれているかごく一部の地方の習慣について書かれていたものだと割り引いて考えていました。
それどころか、かなりオブラートに包んで書かれていたのだなと考え直すほど、かなり「ドギツイ」習慣だったのだなと思いました。

・渡辺京二氏の著作「逝きし世の面影」で外国人から見た幕末・明治の日本に対する観察結果や印象が各分野について書かれていましたが、全体的に好印象を持たれていた中で、性風俗の乱れについては外国人から見て忌避感を抱いたと書かれていました。
その忌避感を抱いた対象についてはそれほど書かれていませんでしたが、その一端を知ることができたように思います。

・人権や倫理など、今の日本である程度コンセンサスが取れている「常識」も近年構築されたもので、時代によってかなりその「常識」が異なるということを、そうであろうという想像ではなく、具体的にその異なり具合を知ることができ、いろいろ考えさせられました。

○つっこみどころ

・読み終えてからブックカバーを外して、表紙の絵が既に「猥談」にふさわしい内容になっていることに初めて気が付きました。
購入したときはしっかり見ていなかったので驚きました。

・「第一部 清談」と「第二部 猥談」に分かれている理由がよくわかりませんでした。特に二つに区切るほど内容が分かれているわけでもなく、部として分けるならもっと他に分け方があるだろうと思いました。