• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【ハーバード白熱日本史教室】レポート

【ハーバード白熱日本史教室】
北川 智子 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4106104695/

○この本をひと言でまとめると。

 ハーバード大学の若手女性日本史教授のエッセイ

○興味深かった点

・著者はプレゼン能力、資料作成能力などが優れた方だなと思いました。

第一章

・理系で大学に通いながら日本史の情報整理の手伝いから修士課程、博士課程に進んでハーバード大学の教授職を得るようになったのはすごいなと思いました。

第二章、第四章

・日本史というハーバード大学の学生に馴染みにくい教科を、一次資料の英訳の研究や参加型のグループワークを通して面白いと思わせた手法はすごいなと思いました。

第三章

・若手日本人女性教授として20代で高評価を得ているのはすごいなと思いました。

○つっこみどころ

・第二章で、「Lady Samurai」の対象が北政所ねいと豊臣秀次の側室だけで、実際の授業がこれだけなら「サムライ」史観の例外を挙げただけのように思います。
また「侍」は「さぶらう」という動詞が元であり、付き従うものという意味があるにもかかわらず、トップの徳川家康などを一律「サムライ」と言ってしまうのはどうかと思います。
元々「サムライ=日本」という固定観念が北米であったため、仕方のないことかもしれませんが。

・「固定概念」などの誤った日本語の用法があったり(P.67)、同じページで下剋上について触れていながら「・・・尾張の守護大名だった織田信長が・・・」のように「守護」ではなく「奉行」から下剋上した織田信長についての記述が間違っていたり(P.147)、著者の知識の正確性に疑問があります。

・ 第五章で、著者の主張する歴史学のコミュニケーション対応ややり方に、日本の歴史家は追随すべきという話には全く賛同できないと思いました。
「研究者は「鳥」と「カエル」の2つのタイプにわかれる」と書いていて、著者は「鳥」タイプだと書かれていますが、通史にまともに取り組めていないと思われる著者が高い視点から広い視野で見下ろす「鳥」だとは思えず、かといって一つ一つの話題を掘り下げる「カエル」でもない、歴史家としては独り善がりな手法だと思いました。