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【シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略】レポート

【シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略】
レイチェル・ボッツマン (著), ルー・ロジャース (著), 小林 弘人 (監修), 関 美和 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4140814543/

<イントロダクション―私のものはあなたのもの>

・「Airbnb.com」の事例:空いている部屋をシェアする市場が数人のメンバーによって発掘された。そしてそれは創業者の祖父の世代では当たり前の概念だった。(父親はホテル世代、祖父は友人の友人の友人・・・世代)

・コラボ消費の三分類:プロダクト=サービス・システム、再分配市場、コラボ的ライフスタイル

・成功事例に共通する四原則:クリティカル・マス、余剰キャパシティ、共有資源の尊重、他者への信頼

<パート1 新しいシェアが生まれるまで>

○第一章 もうたくさんだ

・太平洋ゴミベルト

テキサス州の2倍の面積、深さは最深30メートル以上、350トンものあらゆるゴミが集まった、ハワイの西沖合にある場所。

・1980年代以降、人類は地球資源の3分の1を使い果たした。

毎年ギリシャと同じ面積(2億5千万エーカー≒1兆㎡)の森林を伐採。アメリカ人は特に資源の消費量が多く、スウェーデン人の2倍、イタリア人の3倍、ブラジル人の13倍、インド人の35倍、ハイチ人の280倍にものぼる。

・「使い捨て生活」の始まり

 1907年に使い捨てカップ開発⇒医療目的用のマーケティングで成功
 第一次世界大戦後の軍事資材の使い道として使い捨て商品に転用

 1950年代の女性の職場進出で時間に余裕がなくなり、使い捨て製品の魅力が高まった

 レオ・ベークライトのベークライト(プラスチック素材)開発⇒現在ではアメリカだけで1日1,000億枚のビニール袋が消費されることに

 ものが完成するまでに発生する廃棄物は完成品の何十倍にも及ぶ(ノートパソコンなら4,000倍)

 北米で販売されてから六か月後に製品として使われているものは・・・たったの1%

・レンタル倉庫

 買ってはみたけれど一度も使わなかったもの・・・オーストラリア人だけでも年平均で108億豪ドル

 ゴミと物置は同じ問題の違った結末に過ぎない

 1964年にラス・ウィリアムズがエーワン・レンタル倉庫を開業、2010年では5万3千棟を超える個人用保管倉庫

 アメリカの住宅の平均面積が半世紀で2倍以上に⇒よりムダにものが置けるようになっただけ

・自分の所有物に所有される

 物質的期待が高まり始めてから幸福感は減退していった

 所有物は、クローゼットや人生を埋め尽くすばかりか、心までを侵食している

○第二章 ハイパー消費の時代

・ハイパー消費

 「衒示的消費」・・・1899年に経済社会学者ソースティン・ウェブレンが述べた、新興成金の見せびらかしのための消費
  ⇒1950年代以降は全ての世代に波及したため「ハイパー消費」と言われる

 ハイパー消費を操り、これを助長する四つの力・・・説得の力、後払い文化、商品寿命、「あとひとつ」的心理

・説得の力

 エドワード・バーネイズ(フロイトの甥)が「プロパガンダ」を「パブリック・リレーション(PR)」と呼称
  ⇒集団心理のメカニズムと原理を理解し、大衆を操作することを「同意エンジニアリング」と呼んだ

 アメリカン・タバコ社は喫煙する女性を男女平等の象徴として反対する者に差別主義者というレッテルを貼った

 「ディドロ効果」・・・所有する高級なモノに合わせて他のモノも買い換えたくなる効果

・後払い文化

 消費者行動経済学者のリチャード・ファインバーグの実験⇒「マスターカード」の看板がある店とない店で、被験者はある店では商品に3倍の値段を付けた

 MITの経済学者の実験(出かけるときは、持たないで)⇒オークション参加で現金払いとクレジットカード払いの学生に分けて比較⇒平均してクレジットカード払いの学生は倍近い値を付けた

 香港科学技術大学での実験⇒大学の書店で本を購入した学生に本の値段を質問⇒答えることができた学生は35%しかいなかった

 クレジットカードは取引の現実味を薄くさせる(デカップリング効果)

 クレジットカードは1949年にフランク・マクナマラが夕食で会計するときに財布を忘れていることで恥をかき、「現金が手元になくても勘定を支払える方法はないだろうか?」と考えたことがきっかけとなってダイナース・カード開発された。(最初の晩餐と呼ばれる)
 ⇒クレジットカードは1950年で2万枚、1954年で20万枚、2010年では13億枚を超える発行されている

 アメリカでは1人当たりカード保有数が4枚を超えるが、西ヨーロッパでは0.23枚、中国では0.004枚。

 クレジットカードは前倒し消費、無意識の消費、新製品や高級品の購入といった浪費習慣を生み出している
 前倒し消費:ほとんどの人の脳は「今買って後で払う」式の計算するようにはできていない
 無意識の消費:「何に使ったのかわからない」タイプの消費
 新製品や高級品の購入:「もっと良いもの」を求めるように意識づけられる

・商品寿命

 ネオフィリア(新しいもの依存)により、商品そのものの寿命よりはるかに短い時間で買い換える文化が根付いた

 典型的なのは携帯電話で、「もっともライフサイクルの短い家庭用電子機器」という地位を得ている
 ⇒問題が生産から需要にシフトし、「計画的陳腐化」がマーケティング戦略とされるようになって商品寿命の短縮化が加速した

・「あとひとつ」的心理

 2004年にアメリカとイギリスで一人一台以上のテレビを持つことになった

 「もうひとつ」買えば自分の欲求が満たされるという錯覚が永遠に続く

○第三章 「私」世代から「みんな」世代へ

・アフリカの農村部を訪れると理解できる「モア」の経済

 ⇒何もかもが「もっと必要」な経済
 ⇒際限ない消費社会では必要なくなった「モア」がハイパー消費を呼び、助長した
 ⇒50年続いたハイパー消費の「トランス」状態から今ようやく目覚めつつある

・昔の美徳を取り戻す

 1930年にケロッグは1,500名の従業員の大半を8時間労働から6時間労働に変え、しばらくはうまくいっていた
(労働生産性が上がり、増えた余暇による交流などでプライベートも充実)
 ⇒1943年に第二次世界大戦による労働不足で中止され、政策的に許されなくなった
  ⇒今においてこの6時間労働と同じ精神に立ち返る動きがある

・ローカル市場の再興

 既製品より手作り品がいい人たちがコミュニティを作るアイデア⇒2ヶ月でウェブ上に立ち上がった(エッツィー)

 アメリカで地域農産物直売市場が増え、急成長分野に⇒地産地消市場の活性化

 新しい消費者マインドの基礎をなす三つのコアバリュー:シンプル、トレーサビリティ・透明性、自ら参加

・「みんな」世代

 フェイスブックの共同創業者クリス・ヒューズのオバマ選挙活動応援サイト(マイボ)立ち上げ

 エストニアの草の根的清掃イベント(人口の4パーセントが参加し、3年と2,250万ユーロかかる作業が5時間と50万ユーロで済んだ)

 ミレニアム世代は慈愛に満ちた善人ではなく、利害も考えたうえでボランティア活動に参加し、環境に優しい商品を購入する

 これらの価値観の変化を生み出すプラットフォームは、もちろん「インターネット」

・快適にシェアする

 ウェブ2.0はアルカイダのウェブ1.0による活動を排除しかねない力がある

 1991年、リーナス・トーヴァルズのリナックス公開

 NASAの火星地図作成のコミュニティ、ゲーム
  ⇒一般人がプロの天文学者と較べても遜色のない作業をボランティアでSETIの分散コンピューティング(自宅PCの使用外利用)による計算
  ⇒ギネスの世界記録級の計算が処理される

・数の力

オンラインが「数の力」を実現させる⇒オフラインでもコラボレーションのインパクトが遡及している

・インターネットを使ってインターネットから離れる

 2010年に「もし私たちが世界を治めるなら」を立ち上げ、同じ活動をしたい人を結びつけてオフラインの活動へ

・消費主義を超えてまたつながる
 

<パート2 グランズウェル>

○第四章 コラボ消費の登場

・グループによる協調行動は現代人よりイルカの方が優れている。人間の子供も協調行動を自然に発揮するが、3歳ころには「社会規範」に従うようになり、協調行動に弱くなる

・ここ数年の間にコラボ消費を身近に感じることが増えてきている。

・コラボ消費のシステム

プロダクト=サービス・システム、再分配市場、コラボ的ライフスタイルの三類型

・コラボ消費の四大原則

クリティカル・マス、余剰キャパシティ、共有資源の尊重、他者との信頼

・クリティカル・マスの存在

コラボ消費にとってのチョイスの多さにつながる(クロージング・エクスチェンジ、自転車シェア等)

ピクシーでは自転車シェアを利用する市民のクリティカル・マスを計算して最初の自転車投入量を決定した
また規模の経済として高価な設備をシェアするためにも一定の参加数が必要となる(開発スペースシェアのテックショップ)

 一定以上参加しているということ自体が社会的承認になり、キャズムを乗り越えることができる⇒ハイパー消費の原因ともなった「お隣さんにおいつけ」心理がコラボ消費についても働くことになる

・余剰キャパシティの活用

 自転車を持っていてもそれほど乗らないことがあるし、電動ドリルを持っていても一生でたった6分から13分ほどしか使わない⇒それでもアメリカの約半数の世帯が電動ドリルを持っている(約5,000万本のドリルが埃をかぶっている)

 アメリカ人が持っているものの8割は月に1度使われるかどうか⇒それ以外は余剰キャパシティ

 デルの創業者マイケル・デルの弟アダム・デルはシェアードアースを立ち上げた(農地を耕したい人と貸したい人をマッチング)

・共有資源の尊重

 古代ローマでは公園・道路・公共の建物等を「レ・パブリカ(公共の利用のためにとっておくもの)」、空気や水や自然の動物、また文化、言語、一般知識等を「レ・コミュニス(全員が共有するもの)」と呼んでいた
 ⇒十五世紀頃から所有物という考え方が広まり、私有地の考え方が浸透した
 1968年に発表された「コモンズの悲劇」でガレット・ハーディンは「共有資源の自由は全員を滅ぼす」と述べた
 ⇒環境汚染や資源獲得競争に繋がっている

 ノーベル賞経済学者エリノア・オストロムは「みなが関心を寄せる資源について、人々がみなで組織的に自己管理できる」と述べた⇒インターネットという歴史上最強の共有資源によって強く裏付けられている

 インターネット著作権法の権威レッシグは「クリエイティブ・コモンズ」を立ち上げ、著作物のシェアやコラボレーションを促した

 コミュニティのために役立つことをすれば、それによって自分の社会的な価値が高まることが実体験として知られるようになり、「もらうためにあげる」という利己的な動機によってもコラボ消費が広がるようになってきている

・他者との信頼

 オストロムの研究とコラボ消費のもう一つの接点「お互いを監視し合う権利を上手に管理できれば共有者は共有資源を自己管理できる」

 イーベイ、エアビーアンドビーなどの「マーケットプレイス」では自律的に問題が解決されている⇒消費者市場の「命令と支配」によらず問題が解決される

 コラボ消費のほとんどのモデルでは見知らぬ他者同士が信頼し合わなければなりたたないが、お互いに監視し合えるシステムが構築できれば相手を信頼することができ、コラボ消費が成り立つ

○第五章 所有よりもすばらしい―プロダクト=サービス・システム

・モノを所有することからサービスに移行しつつある生活

例えばCDで楽曲を聞くことからiTunesから楽曲をダウンロードして聞くように⇒所有することの重要性が相対的に低くなってきている

・「脱所有」

 アリストテレスの言葉「持つことより使うことに、はるかに大きな豊かさがある」を実践する者が増えてきている

 所有せずに利用することは昔からずっと行われている:ホテルの宿泊、コインランドリー、コピー屋など

  紀元前2010年頃の農工具のリース契約に関する契約について書かれた粘土板が発見されている⇒今では商業リースはアメリカ国内で2,250億ドルを超え、全世界では6,000億ドルを超える産業となっている

  ウェブ2.0のプラットフォームにより、ありとあらゆるものをシェアできる機会が生まれる

  シェアの仕組みも発展し、レンタカーからカーシェアリングのようにP2Pで取引ができる仕組みが生まれている

  PSS(プロダクト=サービス・システム)は活用型のPSSと寿命延長型のPSSの二種類に分けられる

・活用型のPSS

レンタル革命:

ビデオレンタルの雄ブロックバスターと新興のネットフリックス⇒ネットフリックスの創業者はブロックバスターで超過料金を支払って、その帰りにフィットネスクラブに向かう時に「ビデオレンタル屋よりもフィットネスクラブのビジネスモデルの方が断然いい」と思い、フィットネスクラブのビジネスモデルを参考に起業

  必ずやってくる郵便にDVDを運ばせることと、自分でビデオレンタル屋に車を走らせることを比べると前者の方が断然環境に優しい・・・が、ネットフリックスのユーザーは環境の事を考えずに自然に選択する

メンバーみんなの集合知:

ネットフリックスはユーザー間のコミュニティを育て、メンバーそれぞれに合った映画を推奨するためのプラットフォームを作り上げた⇒何百万というユーザーの集合知がよいものを選び出すシステムが自然にでき上がる

トイ・ローンは飽きやすい子供のおもちゃを定期的にレンタルするサービス⇒集合知で子供に人気のある商品、子供の年齢や学習レベルにあった商品を選択しやすくなるシステムが自然にでき上がる

P2Pレンタル:

 ジロックのように貸したい人と借りたい人をマッチングすることで余剰キャパシティを活用でき、クリティカル・マスに達することでさらにサービスが有効活用されるようになる⇒クリティカル・マスに達するかどうかだけでなく、安全性と信頼性もハードルになるが、法律に基づいた契約等の裏付けや評価システムのように履行するインセンティブを定めれば問題なくなる

シェアへの抵抗感をなくす:

  カーネギーの図書館設立と映画「セックス・アンド・ザ・シティ」で登場するヴィトンの新作バッグのレンタル⇒シェアがみじめなモノから素晴らしいモノへとイメージが変わる

  環境製品のソーラーシティは「高過ぎる」「取り付けやメンテが面倒」という言葉に対応するため、自社で所有し顧客のところに取り付ける仕組みで成功している

サービス・エンヴィー(それを利用することがステータスになるようなサービス):

  ソーラーシティの逆に回る電気メーターが自慢の種に

  ジップカーがカーシェアを「かわいそう」から「かっこいい」に

・寿命延長型PSS

 「搾取し、製造し、廃棄する」サイクルを止める:
  世界最大手のカーペット会社インターフェイス・・・1973年に起業し、商業タイルカーペットの最大手に成長させてから、1994年にセールスマンが顧客から「御社ではどのような環境対策を行っていますか?」という質問を受けるようになり、ポール・ホーケンの「サステナビリティ革命」で「誕生の死」という見出しの記事を見て自分たちが「地球の略奪者」であることに気付き、業態を変更してカーペットの貸し出し、メンテナンス、アップグレード等のアフターサービスに注力することになった

 大規模なシステムをつくり直す:
  インターフェイスは最初から最後まで責任を持ち、オフィスのカーペットのレイアウト、取り付け、メンテナンス、クリーニングを一括して引き受ける閉じたサイクルのビジネスに変更した
  さまざまな業種のグローバル企業が製品からサービスプロバイダーに移行している・・・ゼロックス(コピー機からドキュメントサービスへ)、スティールケース(オフィス家具からオフィスシステムへ)、AT&T(電話からコミュニケーション・パッケージへ)、ピットニー・ボウズ(郵便関連製品から郵便マネジメントシステムへ)、IBM(ハードとソフトのIT製品からビジネスソリューションへ)

○第六章 因果応報―再分配市場

・フリーサイクル

いらないものの引き取り手がいないことからマッチングするモデルを考案し、最初はヤフーのメーリングリストから始めた⇒慈善団体も寄付されたものの50~75%は捨ててしまう

・「取引コスト」がなくなる日

モノをあげたい人・欲しい人のマッチングだけでコストがかかっていたが、今は「ありえないほど簡単にグループがつくれる」時代で、再分配市場の拡大につながっている

・需要と供給のマッチング

ダンボール:新品を買うと高いが中古を集めると高い⇒使い終わったダンボールは一度中国に送られてパルプにリサイクルされるか、ごみ置き場行き⇒ユーズドカードボードボックス・ドットコムを立ち上げ、2006年にはアメリカ・カナダで8ヶ所の配送センターを構えることに⇒需要と供給を一瞬でつなげるソーシャルネットワークによるマーケティングプレイスの可能性

・脱消費

 ウィリアム・マクダナーによると生産に投入される原料のうち製品になるのはわずか5%
 ポール・ホーケンによると製品を生産する過程で製品の32倍のゴミが出る
 アメリカの環境庁(EPA)ではゴミの98%が産業廃棄物で家庭ゴミは2%
 ⇒リユースはとても環境に優しい⇒さらにリユースによりコミュニティができる(街角に置きっぱなしにしていたら持って行かれるのではなく、引き取ってもらう人を選べる)

 フリーサイクルのメンバーは、古いものを始末するのは新しいものを買うのと同じくらい気分がいい、と言っている

・私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる(間接的互酬性)

⇒私があなたを助ければ、あなたが私を助けてくれる(直接的互酬性)ではない⇒「贈与経済」の文化⇒信頼や互酬こそが必要とされ、行動原理となる

・邪魔をしない

クレイグリストの創業者は「自分がしてほしいように、相手にもする」ルールでユーザーに任せることで邪魔をしない、邪魔をさせないことに注力して世界で7番目によく見られるサイトにした⇒フリーサイクルやクレイグリストが拡大したのはメンバーに運営できるほどシンプルな仕組みで、メンバーに問題解決も任せたことが理由

・心の中の「公平さ」のものさし

人は不公平さを嫌うし、他人もそうであることを知っているため、売り手と買い手は互恵的にふるまう

・未来の影

評価システムを導入することで不躾な振る舞いができなくなる
⇒できれば評価軸をユーザーが気になる複数にすることでさらに効果が高まる

・中古品の価値

自分にとって必要ないものが他人にとって宝物である場合がある(イーベイの創業者は壊れたレーザーポインターを自分のサイトでオークションにかけると、壊れたレーザーポインターのコレクターが高値を付けた)

・キミにこれをあげるから、ボクにあれをちょうだい

人間だけでなくサルでも「不平等回避」という行動を取る⇒子供を集めてものを交換する企画でみな直感的に対価を決めることができた

・スワップ・トレードの六次のへだたり

いろんな要らないものを処分したい経験をもとに、数学の天才二人が、交換取引を一瞬で成立させるようなアルゴリズムを考えた⇒二者間だけでなく三者間、四者間、、、と交換したい人を繋げていく⇒商品の登録を簡単(商品番号またはバーコード番号と商品の状態ステータスを入力するだけ)にして参加者を増やす⇒「持っているものリスト」と「欲しいものリスト」が膨大な数となり、マッチングが加速する⇒手続きが簡単だと気付けば利用頻度も増える

○第七章 みんな一緒―コラボ的ライフスタイル

・アン・ノヴァークの「屋上菜園」

大学を卒業する前に父親が事故死し、何も遺産がなかったことから人間にとって一番基礎的なスキル「農業」を学ぶことにした⇒アルゼンチン、ペルー、フィジー、ガーナを旅して農民とともに働き、どう育て、同生活しているかを学んだ⇒その中で人々が必要なモノやサービス(工具や衣服、医者の往診)を農作物と交換していることが印象に残った⇒アンはニューヨークで自分の生活に取り入れ、自分が作った農作物や農業技術を他のモノと交換する生活を開始した

・取引しよう

物々交換には「欲望の二重の一致」が必要(Aを持っているBが欲しい人と、Bを持っているAが欲しい人が出会うことが必要)⇒インターネットにより簡単な実現が可能に⇒交換通貨制度などにより、専門家(歯医者、美容師など)の時間とホテルの空室、商品などの交換が可能に

・コミュニティ通貨

 時間通貨:コミュニティ内の誰かに何かをやってあげることで時間通貨を貯金し、その時間通貨で何かをやってもらえる

 ハブ・カルチャーのVEN:ちょっとした頼みごとや善意のやり取りをメンバー内で間接的に交換し合う

 ゲーム内通貨:セカンドライフのリンデンドル、ワールド・オブ・ウォークラフトのWOW

・ソーシャルレンディング市場

P2Pの金銭貸借市場⇒顔が見えること、評価が見えることで貸し手・借り手の信用がみえる⇒大銀行よりも信頼できると評価されている

・「イーベイ+ペイパル+マッチ・ドットコム」=ZOPA

プレデンシャルで大規模デジタル銀行「エッグ」を立ち上げたリチャード・デュヴァルは技術経済のパラダイムシフトを専門とする経済学者カーロッタ・ロペスの研究「経済の基盤や社会が拠って立つ規範を一変する破壊的テクノロジーが70年ごとに生まれる」に興味を持ち、オンラインの成功者、特にイーベイの創業者の「イーベイは趣味でも仕事でもなく、コミュニティだった」という演説から同じコンセプトを金融に持っていけないかと考えた
⇒元同僚2名と著名な民俗学研究者を仲間に引き入れ、人々がどのようにお金を稼ぎ、貯め、使っているかを数カ月にわたって調査した
⇒人々は自分の周りにあるものを自分でコントロールしたいと考えていて、銀行は「必要悪」だと考えていることが分かった
⇒貸し手と借り手の「出会いの場」を作ればいいと結論を出した⇒ZOPAの借り手は銀行に利子を払うよりZOPAの貸し手に払う方がいい(むしり取られている感覚より投資してもらう感覚の方がいい)

ZOPAの貸倒率は2009年で0.65%(同時期のクレジットカードは10%超)⇒貸し手を分散化する手法を使ってリスクを最小限に抑えている

・別々に同じ場所で働く

ブラッド・ニューバーグは「大企業に入らなくても、コミュニティの中で面白い人たちに囲まれて仕事ができないか?」と考えて「コ・ワーキング」というコンセプトを生み出した⇒働いたり、交流したりできる場所に

・シェアをカウンターカルチャーではなく、カルチャーのコアにすること

 社会起業家ステファニー・スミスはコラボ的ライフスタイルの障害はコンセプト自体でなくシェアに対するイメージと考えた
⇒「コミューン」を現代的な形で始めることにした
⇒ロサンゼルス西部のクルドサックで試験的に開始
⇒最初は隣の人の名前も知らない状態⇒参加動機が違う人たちが、それぞれの要望を出せるように「ウィコミューン・ドットコム」を作った
⇒非営利目的「ではない」コミュニティで、企業も参入できるようにした
⇒さまざまな人々に、くつろげる居場所や共同創作のアイデアが提供される場所となった

・ヴァーチャルなコミュニティをリアルな世界で実現する

 ソーシャルネットワークでの活動が現実世界に少しずつ滲み出している
⇒カウチサーフィンが代表的

 カウチサーフィンの創業者ケイシー・フェントンは連休をアイスランドで過ごそうと思い、「いかにもな観光客」になるのが嫌で、アイスランド大学の学生データベースにアクセスして1,500人に「泊めて一緒に遊んでくれないか?」メッセージを送った
⇒50人から返信があり、だれのところに泊まるか選ばないといけなくなった
⇒帰国したあと、他の人も同じような体験ができるようにサイトを作って立ち上げた
⇒見知らぬ人同士を現実でマッチングするために、信頼できるための機能を取り入れた(自己紹介や評価など)
 

<パート3 何が起こるか?>

○第八章 コラボ・デザイン

・カリム・ラシッドは「デザインは問題解決の手段ではなく、その美が人間のニーズ」と述べている

⇒コラボ消費とは真逆の考え方だが、デザインがコラボ消費において必要ないかと言えばそうではない
⇒製品、サービス、システムが生み出す環境へのインパクトの8割はデザイン段階で決まる
⇒コラボ消費においてもデザインは重要

・最初にシステムをつくる

 ピクシー(自転車シェア)はユーザーを観察し、ユーザーのライフスタイルに合わせてシステムをデザインした

 IBM、ゼロックス、ソニー、ダウなどの大企業もエコパテント・コモンズというベンチャーに参加して有益なパテントをパブリック・ドメインにすることで環境を守る企業の利便性を図った

 ネットフリックスはユーザーの使いやすいデザインを追求することがビジネスの成功につながっている

 ミラノ工科大学の工業デザイン教授エジオ・マンジーニは「コラボ的サービスシステム」と自身が呼ぶものを四つのデザイン要素に分けている「利用の円滑さ」「サービスの複製可能性」「アクセスの多様性」「コミュニケーションの強化」

「利用の円滑さ」:デザイナーの役割は、必要な努力レベルを下げることで、ユーザーの意思の力にかかわらず、システムが目的を達成できるようにすること

 「サービスの複製可能性」:カーシェアや自転車シェアが世界で広まる理由・・・容易にサービスを複製して提供できる(やり方を変えずにできる)

 「アクセスの多様性」:ユーザーがさまざまな方法でひとつのシステムに入ることができて、どのやり方でも同じような結果を得られること

 「コミュニケーションの強化」:これまで情報技術の普及の一番の効果は伝統的な社会組織の形を壊すことだったが、今の情報技術による繋がりは新しいコミュニティをつくり、再生することに役立っている

・これがほんとの一生モノ

 理想的なコラボ製品の特徴⇒長持ちすること⇒壊れないことだけでなく、継続的に改良できたり、将来のリユースや再販、修理をしやすいものであること
・・・デザイン的思考はコラボ消費をただの可能性で終わらせずに、人間のさまざまな欲求をこれ以上ものを作るという以外の方法で満たすために欠かせないもの

○第九章 コミュニティはブランドだ

・マズローの欲求5段階説をコラボ消費は満たすことになる

 ナイキはスウィッシュマークのブランドからランニングクラブというブランドに移行した

 スカイプもエアビーアンドビーも利用していることが「ブランド」になり、口コミを呼んだ

・ブランド伝道師たち

マスコミや高級誌がブランドを作り出していた20世紀の消費に較べて、21世紀はコラボ消費におけるP2Pブランディングが強くなっている
⇒YouTubeやTwitterを使って、消費者が消費者に口コミという形で宣伝する仕組み、ユーザーが参加できる仕組みがブランドを作り上げる

 コラボ消費企業の創業者たちは、初期のコアユーザーを引き入れることに多くの時間を使い、その後継続的に初期ユーザーを他のメンバーに紹介していくアプローチを取り、成功した

・自由にさせる

「エッツィー」「ZOPA」ではメンバーがコミュニティに深くかかわり、助け合う文化ができ、企業側はそれを邪魔しないことを心がけることでネットワークが広がっていく

・ノーブランドというブランド

クレイグリストは機能性しか考えていないサイトだが世界で7番目にアクセスされている
⇒ユーザーのことを考えたサイトであることに集中しているから、デザインを重視していないことがブランドになっている

○第十章 シェアの進化

・ヒトの進化説

ヒトの進化説は「段階的進化説」から「断続平衡説」が主流になってきた
⇒今の時代も数年の間に生活を一変させるようなテクノロジーや社会の進歩が起きている

・消費者のマインドセットを変える

 「自己利益の追求が生産性をもっとも高める方法」と「自己利益の追求は集団の善や公平を損なうもの」というイデオロギーの対立が何世紀にもわたって存在し、言い争っているうちに自己破壊的な成長の道を辿り続けた
⇒コラボ消費は純粋に消費者側からの提案として現れてきて、大量消費と同様に消費者のニーズを満たしながらも環境全体へのインパクトも考慮した形になっている

 1980年代の家庭用洗濯機の驚異的な増加により、多くのコインランドリーが閉鎖に追い込まれ、環境悪化につながった
⇒1999年にジェフリー・ザレスが立ち上げたコインランドリーサービス「ブレインウォッシュ」はコインランドリーをかっこいいものにした(カフェ併設、音楽ライブ、無料の無線LAN等の整備により)
⇒コインランドリーの利用により環境負荷が減った

・評判の口座

 「みんなにとってよいこと」と「個人の利益」が対立関係になることがあるが、コラボ消費の評判資本は「よい評判」が資本になり得る状況を作り出し、相互依存関係にした

・価値を定義しなおす

 コラボ消費により消費される商品の数等は減るかもしれないが、それがその会社の収益全体に結びつくとは限らない
⇒別の価値を提供することで増収している企業もある(ネットフリックスなど)

 GDP崇拝からの脱却
 ⇒GDPモデルは国の豊かさの一面しか測れない
 ⇒フランスのサルコジ大統領は経済学者スティグリッツらと生活の質を測る指標を考え、経済的生産よりも国民の幸福を測ることに重点をおいた統計システムを検討した

・歴史的なターニングポイント

 この10年ほどの間に、金融の世界でソーシャルレンディングが、さらにVENのようなP2Pのソーシャル通貨に進化し、食の世界ではCSA(地域が支える農業)が発展し、シェアードアースやランドシェアにより自分の庭をシェアする人が現れ、カーシェアリング、ライドシェアなどの仕組みが現れた

 今の時代はまさに人間の基本的欲求(コミュニティへの欲求、個人のアイデンティティへの欲求、承認の欲求、自己実現の欲求)を満たすような持続可能性のあるシステムが一足飛びに構築された「革命」の時代と未来に呼ばれるかもしれない