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【フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略】レポート

【フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略】
クリス・アンダーソン (著), 小林弘人 (監修), 高橋則明 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4140814047/

○第1章 フリーの誕生

・ジェロ・・・ゼラチンの利用法を広めるためにレシピを無料配布
・ジレット・・・無料で安全カミソリを配り、使い捨てカミソリの需要を喚起

<無料とは何か>

○第2章 「フリー」入門

・「free」は「自由」と「無料」のふたつの意味を持つ
・フリーは四種類に大別できる
 ①直接的内部相互補助・・・無料または特価で客を引き寄せ、別の商品で回収
 ②三者間市場・・・提供される時は無料で、提供する側の代金は第三者が支払い、提供されたものが間接的に負担する
 ③フリーミアム・・・ほとんどの無料製品のユーザーと一部の有料製品のユーザーで構成され、後者で稼ぐ
 ④非貨幣市場・・・金銭的な対価なしで提供(贈与経済、無償の労働、不正コピー)
・有料、無料でなく第三の価格・・・提供する側が支払う(ように見えるが別の形で回収)
 トム・ソーヤーの機転(ペンキ塗りを名誉ある仕事とプレゼンしてお金を払わせてやらせる)

○第3章 フリーの歴史

・フリーランチの酒場・・・客が酒を二杯以上飲むだろうという目算でランチをタダに
・20世紀から既存ビジネスが収益源としている商品をタダにして別のモノを売りつけるサービスが出始める。
・「潤沢な時代」の到来・・・生きるために必要なモノが当たり前にある時代に。
 経済学は「稀少なモノの選択」の科学・・・潤沢にある時は選択の必要がないため。
 今日稀少なモノとは、知識やアイデアである。(2000年時点でフォーチュン誌トップ企業500社のうち上位100社で68社がアイデアを加工して売る会社となっている)

○第4章 フリーの心理学

・「無料」に対する人の感情は相対的なもの。(これまでお金を払っていたものが無料になると質が落ちたと考えやすいが、もともと無料だったものについては考えない。)
・ペニー・ギャップ・・・いくらやすくとも、「有料」と「無料」の間には心理的に大きな壁がある。(「有料」であれば「選択」が発生する)⇒心理的取引コスト(考えることに費やされるコスト)が発生。
・コスト・ゼロがもたらすコスト・・・「無料」であると経済学的に不合理な選択を取り得る。また、「金銭領域」ではコスト・ゼロでも「社会領域」ではコストが発生するケースもある。(ザッポスの返品無料サービス:返品の送料や従業員の手間の分「ムダ」が発生する・・・忌避する)
・タダのものは大切にしない・・・グーグルの無料スナック菓子、慈善活動によるバスの乗車パス
・時間とお金の方程式・・・子供はお金より時間を持っているが、大人は時間よりお金を持っている⇒大人は時間を節約するためにお金を使う。⇒フリーミアムモデルで利用される(アイテム課金、オープンソース・ソフトウェア)
・海賊の脳・・・不正コピーをする人の動機は有料であるものにそれだけの感じていないこと。⇒人々は価値を認めないと支払わない。

<デジタル世界のフリー>

○第5章 安すぎて気にならない

・「安すぎて気にならない」は世界を変える・・・その要素を度外視した世界に変わる(電気がそうなれば、すべて電気で賄われる世界になる。)
・安くなることを予測する
※フェアチャイルド社の例:製造コスト100ドルのトランジスタを1ドル5セントで販売⇒生産工場を建設してもいない段階で未来の価格で販売
※ベタープレイス社の例:ガソリンの値上がりより電気の値上がりが遅ければ成り立つモデルで、車をタダであげて走行距離に課金
・ムーアの法則が成立する理由・・・エビングハウスの学習曲線、BCGの経験曲線(個人だけでなく組織の学習も含む)、ミードの法則(学習曲線に発明・イノベーションを含む)
・処理能力に余裕があることを見越してGUIが開発される。
・記憶容量に余裕があることを見越してユーチューブのようなサービスが現れる。

○第6章 情報はフリーになりたがる

・潤沢な情報は無料になりたがる。稀少な情報は効果になりたがる。
 ⇒前者のみが世間に伝わっている⇒ミーム(文化を形成する様々な情報であり、人々の間で心から心へとコピーされる情報)はもっとも効果的な形(伝達されやすい形)で伝わる。
※例:チャーチルの「血と汗と涙」(実際は「血と労苦と涙と汗」)

○第7章 フリーと競争する

・無料といいつつ運営コストやカスタマイズ費用がかかることを突いて競争する。
 ※例:マイクロソフト対リナックス・・・最初は無視⇒無視できなくなると運用コスト面を攻撃⇒オープンソース化の実施⇒有料と無料のハイブリッド化。
 ※例:ヤフー対グーグル・・・ヤフーのウェブメール・プロバイダで1億2500万人を抱えているところにGメールの参入⇒「もっと」無料にすることで対応(容量を無制限とし、実質的にはそれほど利用されないであろうことを見越す)
・ゼッコー・ドットコムの事例:株式売買手数料をタダにしながらも稼ぐ。
 ⇒無料に条件を付け、条件外は課金。投資されていない資金を運用。有料サービスと広告。

○第8章 非収益化

・グーグルの戦略・・・ほとんどのモノをタダで提供し、一握りのコアプロダクトの広告料で稼ぐ。
 ⇒デジタルの世界だからこそ可能な戦略
 ※クラウド・コンピューティングによりサービスを提供:より性能が高くなった新しい設備を増設し続けることでトータル運用コストを削減し、サービストータルを向上し続けている。
・グーグルではフリーが当たり前な理由⇒それが最大の市場にリーチできるから⇒そしてフリーで提供したものの補完財で稼ぐことができる。
・フリーが既存の市場を破壊するイノベーションとなる。
・TEDカンファレンスの事例:講演会をオンラインでタダで配信しても高額なチケットが売れる。
 (講演会の内容に対する認知度が向上するとともに、講演会に参加しないと得られないプレミアムがある)
・フリーのコスト・・・フリーのビジネスが他のビジネスを破壊してしまうことにより、フリービジネス自体も損失を受ける。

○第9章 新しいメディアのビジネスモデル

・民間ラジオ業界の黎明期はラジオメーカー自体が費用を負担⇒スポンサー形式は最初は頓挫(電波干渉により配信できる範囲が狭いため)⇒AT&T社の電話回線で長距離送信することで電波干渉を回避でき、現在のフリーメディア・モデルに。
・オンライン上では有料のコンテンツが衰退していき、無料のコンテンツが勝利する。
 (オフラインでは稀少なスペースを売っているが、オンラインでは潤沢なスペースがあるため)
・メディアのビジネスモデルは他の事業へも移行される。(ゲーム市場、音楽市場、書籍市場等)

○第10章 無料経済はどのくらいの規模なのか

・おおざっぱ、かつ控えめに見積もっても3000億ドルの市場にはなると考えられる。

<無料経済とフリーの世界>

○第11章 ゼロの経済学

・ベルトラン競争(競争市場においては、価格は限界費用まで下落する)⇒オンラインでは驚くほど当てはまる。
・独占の場合は独占レントを受ける⇒オンラインでは独占レントを受けることが難しい
・オフラインで問題になるフリーライダー(タダ乗り)問題もオンラインでは問題にならない。

○第12章 非貨幣経済

・貨幣を必要としていない場所だと「注目経済」「評価経済」になる。
・オンラインゲームの経済・・・お金と時間の交換(お金のあるものは時間を買う(行動を効率化する))
・贈与経済・・・金銭的な見返りを求めない活動:フリーサイクル、アマゾンの商品レビュー

○第13章 (ときには)ムダもいい

・潤沢なモノはムダにすることで時間や他のものを得ることができる。
・自然は命を無駄にする・・・クロマグロの成体まで至るのは産卵された100万個に1個、タンポポは飛散して偶然根付く。
・稀少なモノの管理と潤沢なモノの放置・・・優先順位や選択そのものの考え方が異なる。

○第14章 フリー・ワールド

・海賊版の経済・・・音楽や映画のCD・DVDの海賊版が出回ることで正規版を購入することができない客層にも認知される。
・中国の模造品経済・・・購買力が高まれば正規品が売れ出す。
・ブラジルの露天商・・・地域に安物CDを広める⇒ライブを開催したときに客が押し寄せる。

○第15章 潤沢さを想像する

・SFや宗教で語られる稀少なものが潤沢な世界・・・現実と前提が異なるため、価値観も異なる。

○第16章 お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない、という心理

・フリーに対する14の反対意見

 1.フリーランチなんてものはない⇒完全に無料じゃなくても無料とみなせるくらい安いことがある。
 2.フリーはまやかしだ⇒アトム経済ではそうだが、ビット経済ではフリーを実現し得る。
 3.インターネットは無料ではない⇒ネットワークは無料ではないが、コンテンツが無料。重要なのはコンテンツ。
 4.フリーは広告収入がある時だけの話だ⇒広告収入以外のモデルもある。(シェアソフトなど)
 5.フリーによりますますプライバシーが失われる⇒プライバシーの対象(守るべきもの、そうでないもの)が異なってきている。 6.無料イコール無価値⇒価値の物差しは金銭だけではなく、注目や評判も対象となる。(他の形で金銭にも結び付く)
 7.フリーはやる気を失わせる⇒特許も期間が切れればフリー。金銭ではなく注目や評判がモチベーションになり得る。
 8.フリーにより公共が害される⇒ビットの消費はアトムの消費に直結しない。
 9.フリーは海賊行為を助長する⇒逆で、海賊行為がフリーを助長する。経済活動が道徳を考慮することはほとんどない。
 10.フリーは価値を認めない世代を育てる⇒オンラインでタダでもオフラインは有料だという認識はかわらないはず。
 11.タダには太刀打ちできない⇒第7章のマイクロソフトの事例のように、打つ手はある。
 12.タダで提供したのに儲からなかった⇒やり方が悪いだけで、タダ以外の要因を考えていないのでは?
 13.フリーの中でいいものは人がお金を払うものだけ⇒心理的なもの。最初から無料のFacebookには低い評価は下されない。
 14.フリーはプロを排除する⇒フリーはプロとアマチュアを同じ土俵に上げる。プロはよりプロフェッショナルを発揮する必要がある。

○結び 経済危機とフリー

・フリーの経済は経済危機でも揺らがない場合があった。
・すべてのものが必ずフリーを目指すわけではなく、フリーが必ず勝利するわけではない。

<巻末付録>

○無料のルール 潤沢さに根差した思考法の10原則

1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる。
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない。
3.フリーは止まらない。
4.フリーからもお金儲けはできる。
5.市場を再評価する。
6.ゼロにする。
7.遅かれ早かれフリーと競い合うことになる。
8.ムダを受け入れよう。
9.フリーは別のものの価値を高める。
10.稀少なモノではなく、潤沢なものを管理しよう。

○フリーミアムの戦術

1.時間制限
2.機能制限
3.人数制限
4.顧客のタイプによる制限