【民間防衛―あらゆる危険から身をまもる】レポート

【民間防衛―あらゆる危険から身をまもる】
原書房編集部 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4562036672/

○この本を一言で表すと?

 スイスにおける「軍事操典」と対をなす「民間防衛」のマニュアルの本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・身近なことから国家を防衛するという大きなことまで、いろいろなレベルの話を関連づけて書かれていました。
この本がスイスの各家庭に配られているというのはすごいなと思いました。

・原書が1969年に書かれているため、冷戦時代の古い前提を含んでいますが、現代に残ることや新しい脅威を前提として考えてもかなり通用しそうな内容だと思いました。

・今も同じ体制になっているかは分からないですが、階層的な地域防災組織として、住宅自警団、区画自警団、区域自警団、地区自警団という住宅側の組織と職場自警団を組織し、法律でその運用が定められているというのはすごい話だと思いました。

・準備しておくべきものの記載や、起こった出来事に対する対処方法の記載がかなり多岐に渡って書かれていて、かつその対処方法が個人レベルと自警団を通した組織レベルで書かれているのはすごいなと思いました。
この本が配られ、教育され、法的な裏付けもあるというのは、トラブルに対処できる組織としてかなりすぐれたものが持続的に整備されそうだと思いました。

・架空の周辺国家間で戦争が起こり、その戦争にスイスも巻き込まれ、国土が侵略されていった前提でその推移と対応がこの本全体の半分に渡って書かれていました。
ケーススタディを元にどのような行動が取られるかが分かるのはいいですが、愛国者を作り出すプログラムのような流れも感じられ、この本を国民全体が読んでいるというのは、その中に批判的な見方ができる者もいないと怖い国になりそうだという印象も受けました。

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