【世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある】
シンシア スミス (著), 槌屋 詩野 (監修), 北村 陽子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862760589/
○この本を一言で表すと?
デザインで世の中(主にBOP)に影響しようという試みの実例集の本
○この本を読んで興味深かった点
・アメリカのスミソニアン/クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で、こういった試みがされていたということ自体が凄い話だなと思いました。
・様々な場所、立場の人たちが、世界を変えようと具体的に行動し、成果を残そうとしているその一端に触れることができてよかったです。
Part1 デザイン革命とその可能性
・世界の様々な団体が、衣食住をその場しのぎではなく持続的にどのように改善するかをデザインで考え、ものづくりを進めて行っているということの可能性を感じました。
経済的な要因はもちろんのこと、文化的な要因、環境的な要因なども検討する、かなり大きな視点が求められるのだなと思いました。
Part2 デザイン・プロジェクトとその現場から
・大学の研究所や企業で働いていた開発者等が、どのような集まり方をして、どのように解決しようというターゲットにアプローチし、実際に解決策を作りだし、導入していったのかが実例を通して説明されていてよかったです。
・先進国とBOPの視点や考え方やニーズの違いが、それを把握しないままに話を進めると全く見当違いの解決策となり、ほとんど無駄になってしまうというのはよくわかりますし、それを乗り越えるアプローチ手法自体を開発しているのはすごいなと思いました。
Part3 残り90%のためのデザイン展 展示品の紹介
・考えられたデザインが実際に使用されている写真とともに紹介されていて、その環境も含めて少しは実態に触れることができたように思いました。
○つっこみどころ
・邦題だけだと「残り90%のためのデザイン」というコンセプトが全く残っておらず、どういう内容の本か分かりづらいなと思いました。
・誤字・脱字(人命が人名になっていたり)や文章の意味が通らない記述などが散見され、一度も文章チェックされていなのかなと思いました。類推して言いたいことが何だったのかを考えるのに時間がかかることもありました。
・デザインとその役割、なぜそのデザイン・技術で問題を解決できるのか、があまり具体的に書かれておらず、デザインの本としてもBOP対策の本としても中途半端な印象を受けました。