【Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2011年 01月号】
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【戦場のリーダーシップ】
野中氏の考えるリーダーシップの本質
・・・アリストテレスが提唱したフロネシス(実践知)
文脈に即した判断、適時・絶妙なバランスを具備したリーダーシップ・・・ダイナミック(動的)な対象でも有効
⇔分析から導かれる決定(decision)・・・スタティック(静的)な対象に有効
<フロネティック・リーダーの6つの要件>
①善い目的を作る能力
②場をタイムリーに作る能力
③ありのままの現実を直観する能力
④直観の本質を概念化する能力
⑤概念を実現する政治力
⑥実践知を組織化する能力
⇒シンプルにすると「現場感覚」「大局観」「総合的判断力」の3つの能力
<6つの戦局>
○3つの能力を兼ね備えていたリーダー
栗林忠道(硫黄島の戦い)、根本博(モンゴル撤退)、木村昌福(キスカ島撤退作戦)
○3つの能力の内「総合的判断力」が欠けていたリーダー
牛島満(沖縄戦)、牟田口廉也(インパール作戦)、栗田健男(レイテ沖海戦)
<フロネティック・リーダーの育成>
実践知習得に必要な要素・・・経験、教養
○経験・・・修羅場経験、成功と失敗の経験、手本となる人物との共体験
○教養・・・弁論術や演説力を含めた政治力、バランス感覚
<サイロの破壊とタスクフォースの創設>
○サイロ・・・日本軍、日本企業⇒責任を取らない(明確でない)組織に
○タスクフォース・・・米軍、米企業⇒トップ直轄のプロジェクト組織
<所感>
・タスクフォースの考え方を考案した山本五十六が③ありのままの現実を直観する能力を持っていたにもかかわらず、④直観の本質を概念化する能力を持っていなかったため、山本五十六個人の暗黙知に終わり、むしろ仕掛けられたアメリカの方で採用されたというのは象徴的で面白かったです。
・6つの要件はそれぞれ必要とされる能力が異なるため、全てを満たすことはかなり困難なように思います。
・3つの能力のうち「現場感覚」と「大局観」はトレードオフの関係のように思えるが、これらのバランス、場面における適用に必要なのが「総合的判断力」?
・「総合的判断力」の根底に必要なのは責任やリスクを取る覚悟か?