【経営管理(日経文庫)】レポート

【経営管理】
野中 郁次郎 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/453201512X/

○序章 経営管理へのアプローチ

 経営管理と組織論のマリッジ:マネジメント手法とマネジメントの対象である組織に関する理論のミックス
 状況適応の経営管理:静的な経営管理から動的な経営管理へ(動き続ける環境を認識して)
 経営管理の理論志向:サイエンスかアートか?⇒サイエンスかつアート

○第1章 組織構造の理解

 クール・アプローチ:静的な構造の理論
 古典的管理論の主要原則(P.28)
 官僚制の逆機能(P.29~)
 官僚制と状況要因:
  有機的組織 対 機械的組織(バーンズ&ストーカー)⇒環境の不確実性によりどちらが適しているかが決まる
  例外の頻度と問題の分析可能性のマトリクス(P.37、38)
  組織の情報処理構造と環境不確実性
   ハーバート・サイモン:アリの経路は複雑でも思考は複雑でない
   市場環境の不確実性:異質性と不安定性(組織構造との関係:P.45)
 組織設計(P.46~)

○第2章 個人と集団の理解

ウォーム・アプローチ:動的な動機づけの理論
 人間行動の説明には人間の欲求や態度の分析が必須になる。
 ホーソン工場の実験(P.59~)メイヨーとレスリスバーガー(メイヨーがしゃべくり、レスリスバーガーがメモって出版)
 個人の動機づけ理論:内容理論とプロセス理論
  内容理論:欲求階層(マズローの欲求5段階説、マグレガーのX理論Y理論)、達成動機づけ(マクレランドの達成動機と権力動機 P.71)、二要因理論(ハーズバーグの衛生要因・動機づけ要因)
  プロセス理論:期待理論(P.75)、反応強化論
 集団主義の人間関係論:新しい管理のパターン三つの原則(支持的関係の原則、組織構成単位を小集団にし連結ピンで繋ぐ、高い目標の原則)
 集団特有の現象:リカート理論・・・凝集性、グループダイナミクス(統制力、影響力、パワー、リーダーシップ等の基盤は、合法力、報償力、強制力、専門力、同一力に分けられる)
 ⇒リカート理論の本質:コントロール・バイ・ラブ
 ⇔批判:状況要因無視、人の面しか見ていない、個人の自由・独立を犠牲にして集団参加・相互作用を強調しすぎる、対面関係だけで集団全体の行動を説明していない、コンフリクト無視、幸福が生産性に結びつくというのは短絡的

○第3章 計画する

 戦略策定プロセス(P.90)
 SIS(戦略的インテリジェンスシステム)⇒三つの目的(防衛的:奇襲を回避、受動的:客観的目標基準を準備、攻撃的:機会を判定)⇒六つの監視対象(競争環境、技術環境、顧客、経済環境、政治環境、社会環境)
 インテリジェンスサイクル(P93、P94~)
 経験曲線、マーケットシェア(P.98~)
 低マーケットシェア企業の戦略(市場セグメントを慎重に選ぶ、研究開発費を最も効果的な領域に集中する、マーケットシェアより利益重視、強烈な経営者)
 PPM(P.106~)、GEアプローチ(P.111~)、製品ライフサイクルの各段階の環境変数(P.116)
 状況適応モデル(P.118)、コンティンジェンシー・プラン(P.119)

○第4章 リードする

 リーダーシップ:変遷(40年代:資質理論⇒50年代以降:リーダーシップ・スタイル)
 タスクと人間、構造づくりと配慮(オハイオ州大学の研究)、生産志向と従業員志向(マネジリアル・グリッド)、遂行と維持(PM理論)
 リーダーシップと状況要因:フィードラーのコンティンジェンシー理論(状況が好意的か非好意的の両端ならタスク志向、中間なら人間関係志向のリーダーがパフォーマンスを上げる)
 ハーシィ&ブランチャードのSL理論(部下の成熟度によって有効なリーダーシップ・スタイルが異なる)
 ハウスの目標―経路理論(P.137、P.135~)
 八甲田山の事例(徳島小隊と神田中隊の対比 P.139~)
 セルズニックの制度的リーダーシップ(機能:組織の使命と役割の設定、目的の制度的体現、制度の一貫性の防衛、内部葛藤の処理)

○第5章 統合する

 組織の「分化」と「統合」:部門への分化(P.150 ローレンス&ローシュ)、環境不確実性と統合(P.152)
 コンフリクト・マネジメント:コンフリクトの有用性(キューバ危機)
 部門間コンフリクトの原因(部門間の相互依存関係、タスクの不確実性、目標・時間志向、業績評価、共通資源の利用可能性 P.156~)
  部門間統合の組織戦略(P.161、P.158~)
  コンフリクト解消スタイル(回避、妥協、強制、宥和、問題直視 P.162~)
 部門間パワー関係(P.167,168)
 コンティンジェンシー理論を構成する概念(部門のパワー、不確実性対処の有効性、代替可能性、仕事の中心性、環境の不確実性 P.170、P.168~)

○第6章 経営管理の複合バランス

 状況適応理論のアプローチ
  組織の環境適応モデル(P.174、P173~)
  〃  の命題(P.177~)
 マネジリアル・アプローチ(P.188~)
 複合バランスと日本的経営(P.195~)

○終章 経営管理を学ぶ人々へ

 経営管理の体系的な理解(全体の解説 P.201,202)
 経営管理に大切な視点
 ・経営管理は、事例研究を積み重ねることによって体得できるという立場(ハーバード流)
 ・経営管理は現場体験に任せるとして、大学では理論やものの見方だけしか教えられないという立場(シカゴ流)
 ⇒結局のところ、両方の視点が大事
 経営管理者には複眼的視点が必須
 ⇒自己の独自の洞察を持ちながらも、常に「状況の客観化」を許容できる人間と知識の幅が最低限の資質

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