【嘉吉の乱】レポート

【嘉吉の乱 室町幕府を変えた将軍暗殺】
渡邊 大門 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480075046/

○この本を一言で表すと?

 赤松氏の通史を中心とした室町時代解説の本

○よかったところ、気になったところ

・タイトルの嘉吉の乱だけではなく、その前後も含めた室町幕府全体の歴史と赤松氏の通史を絡めた内容で、最初から最後まで興味深い内容でした。

・赤松満祐については「学研まんが 日本の歴史」を小学生の時に読んで初めて知りましたが、籤で選ばれて将軍になった足利義教の暴君ぶりが描写され、赤松満祐が怯えて暗殺、というシンプルな流れでした。
この本では足利義教の言動などが詳細に述べられ、虚偽だけではなく誤謬(意図しないミス)でも厳罰を下していたことなどが周りに恐れられる要因だったことがよくわかりました。

・赤松氏の系譜が幅広く紹介され、本家以外の庶流もかなり室町幕府の権力に食い込み、互いに互いを恐れるライバル関係にあったこと、活躍しても地位が安定しない不安な状態に置かれていたことなどがよくわかりました。
室町幕府の末期だと土岐、京極、朝倉、細川などの各氏で1対1の兄弟・親族の争いがありますが、利害関係者が多い赤松氏の争いはより複雑だなと思いました。
赤松氏のように組織ではなく将軍につく側近政治だと将軍の代替わりで権力が変わるのでより複雑になるのでしょうか。

・足利将軍家の将軍・室町殿としての地位とその地位についている人の有無の重要性や、その重要性の時系列の変動などがよくわかりました。
足利義満、足利義持、足利義教、足利義政のそれぞれで状況などが大きく変わっていく様子がよく伝わってきました。

・呉座勇一氏、亀田俊和氏、桃崎有一郎氏などの中世を専門にした若手の著作が参考文献に載っていないのが印象的でした。

○つっこみどころ

・赤松氏の歴史を追いかけた本であって、タイトルの「嘉吉の乱」はそれこそ章の1つでしかないですし、副題の「将軍暗殺」も同様でした。
タイトルがタイトル詐欺でも副題は本題を述べている、という本は多く見てきましたが、副題までタイトル詐欺な本は悪い意味で珍しいなと思います。

・内容があまり整理されていないような印象を受けました。
テーマに沿ってわかりやすい順に並び替えるだけでもまだ読みやすくなりそうに思いました。
あまり編集者の指摘などは受けていないのでしょうか。

・似たような名前が各氏の中、または氏をまたいで登場していますが、できれば名前だけでなく姓も極力記載してあれば読みやすかったのになと思いました。

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