【倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦】
永井 均 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480093435/
○この本を一言で表すと?
倫理について肯定的にも批判的に深く追求した本
○この本を読んでよかった点
・カントやルソーなど、考え方の概要に触れたことがあるくらいの哲学者の思想についていろいろな面から追及されていて、私はその内容を完全に理解はできなかったですがこれまでより理解が進みました。
・アダム・スミスと仲が良かったヒュームの共感や黙約という考えは、アダム・スミスが「道徳感情論」で述べた同感や胸中の公平な観察者という考えに似ていて理解がしやすかったです。
当時は互いに議論して理解を深め合ったのかなと想像しました。
・「利己主義」という言葉はよく聞きますが、「利今主義」という言葉で短期的幸福と長期的幸福のそれぞれを求める原理を説明しているのは新鮮で面白かったです。
・リベラリズムとリバタリアニズムは同じく自由主義のことだと思っていましたが、リベラリズムが平等寄りでリバタリアニズムが自由寄りだということを理解できました。
・「これからの「正義」の話をしよう」の著者のサンデルがコミュニタリアリズムのところで登場したときにニヤリとしました。
共通善が存在するという前提の考え方は、全体を通して理解しやすいところだなと思いました。
○つっこみどころ、その他考えたこと
・ゆるキャラの表紙を見て「倫理初心者向けの本かな」と思っていましたが、内容のハードさに愕然とさせられました。
・この本を読み終えてから5日経つと、何を書いてあったのか、細かい内容をほとんど忘れてしまいました。
「第一章でこの論理がわからなかったから後で誰かに聞こう」と考えていたところがどこかすら読み返しても思い出せず、自分がそれほど関心のない内容であれば記憶に定着しないということかなと思いました。