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【ソクラテスの弁明】レポート

【ソクラテスの弁明】
プラトン (著), 納富 信留 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/433475256X/

○この本を一言で表すと?

 ソクラテスが裁判を受け、死刑判決を受ける過程を土台にソクラテスの業績を紹介する本

○考えたこと

・実際の裁判の内容ではなくプラトンが考えたフィクションということですが、ソクラテスがどのような立場に置かれ、どのような態度で裁判に臨み、どのような弁明をして、どのようにその結果を受け止めたかが分かりやすく書かれていたと思います。

第一部 告白への弁明

・当時の裁判で有効な弁明ではなく、裁判の対象外になっている過去の行いへの弁明から始め、実際に裁判の対象になっていることの弁明を進めているのは、ソクラテス自身が考えている善に忠実でありたいと考える思いから来ているのかなと思いました。

・過去への弁明の中で、他人に議論をふっかけて過ちを正すという人によれば有難迷惑だと思われそうなことを行っていた動機がそれらの人のため、そして神に告げられた使命だとしていることとしていました。

・裁判で実際に訴えられている「若者を堕落させようとしていること」「ポリスの神を信じず全く別の神を信じていること」についても、前者についてはそのメリットがなく、またそのインセンティブがないこと、後者については自身の信じている鬼神(ダイモーン)がポリスの神を前提としたものであり、ポリスの神を信じていないはずがないこととしていました。

・全体を通してもソクラテスの弁明が罪を逃れようとするものではなく、自身の意見を自分を裁判しようとする者にも伝えようという気概が伝わってきました。

第二部 刑罰への提案

・自身の罪がないことから自身への刑罰を豪華な食事としていること、その主張によってソクラテスを無罪と判断していたものも死刑に投票しているらしい差が開いていることは、ソクラテスの頑固なほどの一貫性を感じました。

第三部 判決後のコメント

・死刑という結果で裁判が終わった後で泣きごとではなく周りの人への説教をして、「死を前にしたものは予言者になる」という謂れを基に自身の言葉に説得力を持たせようとしているのはある意味タダでは転ばないな思いました。

解説

・ソクラテスが求めていたのは「無知の知」ではなく「不知」だったというのは定義が細かいですが、積極的な「無知の知(知らないということを知る)」ではなく、事実として「知らないと思う」ということを認めるというように定義が分かれると確かにソクラテスの態度は後者だなと思いました。

・恥や不正を死より怖れていたというのは、善を求めていたソクラテスらしいなと思いました。
自身を裁く場でも行動方針を変えず、他者の魂を救うための論説を行ったソクラテスの一貫性は凄みがあるなと思いました。

プラトン対話篇を読むために

・プラトンの著作の多さとその語る内容の多様さはすごいなと思いました。良い教師の下にいたかもしれないですが、自身でこれだけの考察を行い、文章に落とし込めるというのはそれだけで才能と言える気がします。