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【スタンフォードの自分を変える教室】レポート

【スタンフォードの自分を変える教室】
ケリー・マクゴニガル (著), 神崎 朗子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4479793631/

○この本を一言で表すと?

 生理学や行動経済学の最新の知見を活かした自己啓発の本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・本の題名からマイケル・サンデル氏やティナ・シーリグ氏の流行に乗った本だと思って本屋で見かけても興味を持っていませんでしたが、意志力という個人的にも長い年月をかけて鍛えている分野についての本で、自分では気づかなかった知見もたくさんあり、読んでよかったと思いました。

・授業で行ったように「マイクロスコープ」という問いかけや「意志力の実験」というワークがところどころで載せられていてこれもよかったです。

・各章の「最後に」で章全体の概要がまとめられていて、「第○章のポイント」に概要と「マイクロスコープ」と「意志力の実験」がまとめられていて振り返る時に便利だなと思いました。

第1章 やる力、やらない力、望む力

・意志力をつかさどる脳の領域が「やる力」「やらない力」「望む力」で違うというのは初めて知りました。自己コントロールする脳の部位と衝動的な自己の脳の部位が対立しあうこともあれば、衝動的な脳の部位をうまく利用できることもあるというのは感覚的にも分かりやすいなと思いました。

・まず自分を知ること、失敗する瞬間に気付くことの大事さと、意志力を瞑想で鍛えることができること、そのやり方などが載っていて、特に瞑想のやり方が具体的で参考になりました。

第2章 意志力の本能

・外的な脅威に反応する闘争・逃走反応と内的な葛藤を認識したときに反応する休止・計画反応の働きについて科学的な説明がなされていて、その休止・計画反応が心拍数を減らして変動を上昇させ、逆に闘争・逃走反応は心拍数を増やして変動を低下させること、そのための環境変化(食事、運動、睡眠、ストレス)が意志力に関わっていることは感覚的にも納得できました。

・6時間の睡眠時間についてはほとんど守れていませんが、後でまとめて寝ることで回復できること、連続して起きている時間が少なければいいということで時折本を読んでいて寝落ちしているのも意志力向上に繋がっているのかなと思いました。

第3章 疲れていると抵抗できない

・意志力が鍛えられるものであるというのは当たり前の話ではと思いましたが、意志力も筋力と同じで疲れると減っていくというのはなるほどと思いました。腹が減っていると危険を冒してしまうというのは感覚的にわかる気がします。

・意志力の限界は脳にだまされているだけというのは個人的な経験からもそうだなと納得できました。

第4章 罪のライセンス

・「モラル・ライセンシング」というものが存在するというのは初めて知りました。「良いことをした後は悪いことをしてもいい」というのは感覚的に分かりづらいですが、「がんばったのだからご褒美」というのは非常によく分かる気がします。

・目にしたものを意識するだけでもこのモラル・ライセンシングにひっかかってしまうというのはなかなか避けがたそうな話だなと思いました。

・この章で「人は「明日はもっとできる」と考える習性がある」という話は一番ハッと気づかされました。2連休の1日目に「明日がんばる」とサボった場合に2日目にしっかりがんばれた確率は良くて3割という気がします。この点についてはこれから意識して「努力の先延ばし」を減らそうと思いました(なくすのは難しそうなので)。

第5章 脳が大きなウソをつく

・ずっとドーパミンは快感や幸福感をもたらすものだと思っていましたが、快感はもたらすものの、「報酬の予感」をもたらすだけというのは初めて知りました。携帯電話や新しいものに惹かれてしまう原理も身に覚えがあってなるほどと思いました。

・匂いなどで顧客を誘引する戦略があることは知っていましたが、人間の報酬系を狙った仕組みだったことまでは理解していませんでした。この報酬系を刺激して不安が生み出され、ひどければ破滅的な行動をとってしまうというのは麻薬中毒やアルコール中毒の人などが思い浮かびますが、似たようなことは他にもあるのだろうなと思いました。

・本当の報酬とウソの報酬を見分ける必要があると書かれていながら具体策が書かれていませんでしたが、これは自分で身につけるしかなさそうだと思います。

第6章 どうにでもなれ

・「恐怖管理理論」で死亡事故を見ると高級品がほしくなったり、自分には関係がないことでもやたらと不安になるというのは、いわゆる「吊り橋効果」もこれと似たようなものかなと思いました。

・一度失敗するともっとダメになりたくなる「どうにでもなれ効果」は個人的にも大いに心当たりがあります。特に根拠もなしに、「どうせ負けてるのだからとことん負けてやれ!」という気持ちになったことは幾度もあったと思います。

・変わろうとしただけで満足、決意しただけで満足というのは自分でも他人でもよく見る話だと思いました。

第7章 将来を売りとばす

・目に入ることで強く「欲しい!」と思い、時間をおくとそうでもなくなるというのは、自身ではそれほど感じたことはないですが、周りでは大いにあるなと思いました。私の場合は自分を納得させているだけかもしれませんが。

・将来に対する「割引率」は私も考えたことがありますが、基本的に男性の方が女性より低いイメージがあります(そして例外も結構多い気がします)。個人的にはこの「割引率」をかなり低く見積もって将来に向けて努力できていたと思います。今は違いますが。

・自分の将来を過大評価するというのは全員というわけではないですが、根拠なく楽観的な人に特に多い気がします。

第8章 感染した!

・意志力が感染するというのは、特に負の方向で多そうだなと思いました。ルール違反の形跡が自制心を低下させるという話は別の本でも聞いたことがあります。いい方向の事例はそれほど見当たらない気がします。よいことをするより仲間をまねたい性質は「周りにいる人でその人自身が変わる」というよく聞く話と整合しているなと思いました。

第9章 この章は読まないで

・「○○をしない」と考えることで○○自体を考えるよりも強く頭に残るという話はよく聞きます。「○○をしない」より「△△をする」とした方が成果が出るというのは納得できる気がします。

・意志力に最も大切な3つのこととして「自己認識」「セルフケア」「自分にとって最も大事なことを忘れないこと」とされているのは当たり前ながらみんなできていない事なのだろうなと思いました。

○つっこみどころ

・本の題名がいかがわしくて知り合いの薦めがなければ購入していませんでした。原題の「意志力の本能」だと自分で購入していたかもしれません。それだとこれほど売れなかったかもしれませんが。

・大半の「ストレス解消法」は意味がないと書かれていて、食べることには意味がないような書かれ方がされていましたが、プラシーボ効果のように、そう信じていれば実際にストレスが解消されていることもあるのではと思いました。私自身は食べることでしっかりストレスが解消されているように感じています。(第6章 どうにでもなれ)

・「自分に厳しくしても意志力は強くならない」「自分に対して思いやりをもつことで責任感が増す」と書かれていましたが、これは人によるのではと思いました。個人的な経験では自分に厳しくし続けることで意志力がある程度磨かれたような感覚があります。(第6章 どうにでもなれ)