• 様々な本、様々な資格の話が盛りだくさん(の予定)

【イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」】レポート

【イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」】
安宅和人 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862760856/

<はじめに>

「悩む」と「考える」の違い:「悩む」は答えが出ない前提で考えるフリ⇒無駄、「考える」は答えが出る前提で建設的に考えを組み立てる。

ニューロサイエンスとマーケティング:脳神経が対象の学問と知覚が対象の技術なのでシナジーあり

<序章 この本の考え方―脱「犬の道」>

この本の考え方

・「問題を解く」より「問題を見極める」
・「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
・「知れば知るほど知恵が湧く」より「知り過ぎるとバカになる」
・「一つひとつを速くやる」より「やることを削る」
・「数字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」

バリューのある仕事=「イシュー度」 × 「解の質」

イシュー度:自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ
解の質:そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い

犬の道

⇒「解の質」からバリューのある仕事に至ろうとする。一心不乱に大量の仕事をすることでバリューに至ろうとする。

がむしゃらに働き続けるだけだと「解の質」も「イシュー度」も悪い意味での掛け算になる。
100ある問題のうち2,3くらいしか本当に解決すべき問題はない。そこまで絞れなくとも10くらいに絞ることは誰でもできるはず。
⇒「犬の道」ではなく、イシュー度の高い問題を絞り込むことこそが重要。「正しい問題」に集中した「正しい訓練」が成長のカギ。

この本の以下のサイクルでレベルの高いアウトプットが可能に

イシュードリブン(第1章)
⇒仮説ドリブン①(第2章)
⇒仮説ドリブン②(第3章)
⇒アウトプットドリブン(第4章)
⇒メッセージドリブン(第5章)

「努力に逃げないこと」

⇒仕事をした気にはなるが、アプトプットを出せていない自己満足に陥る。

「自分の頭で考えること」「深い理解」が重要。

⇒表層的に考えているフリにならないこと。

問題と立ち向かうためには考え抜くことが必要

⇒一次情報をつかんで自分なりに感じること。

<第1章 イシュードリブン と「解く」前に「見極める」>

○イシューの見極めは経験が浅くては困難

⇒相談できる相手を持つ

○仮説を立てることが重要。3つの理由

・イシューに答えを出す。
・必要な情報・分析すべきことが分かる。
・分析結果の解釈が明確になる。

○言葉にすることが重要

⇒「言葉」は概念をまとめるために数千年使われてきたツール。言葉にするときに詰まる部分はイシューとしても詰まっていない部分である。日本人は言葉にすることが苦手な民族であるため、意図的に訓練したほうがいい。

○言葉で表現する時のポイント

・「主語」と「動詞」を入れる⇒曖昧さが消え、仮説の制度がぐっと高まる。
・「WHY」より「WHERE」「WHAT」「HOW」⇒「WHY」という表現には仮説がなく、後者は明確な表現。
・比較表現を入れる⇒「~はB」というより「Aではなくて、むしろB」という表現のほうが何に答えを出そうとしているかが明確になる。

○よいイシューの3条件

・本質的な選択肢である

⇒よいイシューはそれに答えを出すとそこから先の方向性に大きく影響を与える。=カギとなる質問
 思い込みで突き進まず、大きな分岐点を見極めること。
 なんちゃってイシュー・・・一見もっとももらしいイシュー。
 イシューは動く標的・・・状況によってまたは立場によって重要なイシューがことなる。イシューの主語となる「企業」も異なる。主語を変換して誰にでもあてはまるようなイシューはまだ見極めが甘い。大きなイシューに決定が下されると他のイシューが重要でなくなる場合がある。

・深い仮説がある

⇒「常識を覆すような洞察」や「新しい構造」で世の中を説明したりする
⇒検証できれば価値を生むことを期待できる。

常識の否定
⇒英語では「直観に反するもの」に該当する。
⇒「常識」はその分野のエキスパートや現場の人に話を聞くことで肌感覚の常識を知ることができる。
  直観:太陽が地球の周りを動いている
     ⇒地球が太陽の周りを動いている
     ⇒ビジネスでも一般的に信じられている新年や常識を突き崩せないかを常に考えることが重要

 「新しい構造」で説明する
  構造的な理解の4つのパターン(共通性の発見、関係性の発見、グルーピングの発見、ルールの発見)

・答えを出せる

⇒答えが出せなければ重要でもよいイシューではない。
 ファインマン:・・・非常に興味深い現象だ。ただ、このような問題には関わらないほうがよい。・・・答えが出せる見込みがほとんどないからだ。ありふれた問題に見えても、それを解く方法がいまだにはっきりしない、手をつけないほうがよい問題が大量にある。
  ⇒「インパクトのある問い」がそのまま「よいイシュー」にはならない

○イシュー特定のための情報収集⇒考えるための材料を得る 3つのコツ

コツ①一次情報(誰のフィルターも通っていない情報)に触れる

 ⇒二次情報は多面的かつ複合的な対象の一つの面を巧妙に引き出したものに過ぎない。
 日本ではあまりしないが、「社内だけでなく外部の専門家に直接話を聞く」ことは重要。

コツ②基本情報をスキャンする

 ビジネスで事業環境を検討する場合⇒5フォース以外に「技術・イノベーション」と「法制・規制」を検討
 ⇒要素の広がりが見えたら押さえどころは「数字」「問題意識」「フレームワーク」

コツ③集め過ぎない・知り過ぎない

 集め過ぎると新しい取り込みのスピードが逓減する。知りすぎると知恵の増大よりマイナスにつながることもある。
 ⇒「知り過ぎたバカ」にならない範囲で情報収集を止めることが重要。

○イシュー特定の5つのアプローチ

アプローチ①変数を削る⇒いくつかの要素を削る、または固定して変数を減らす

アプローチ②視覚化する⇒目で見ることで本質的なポイントが顕在化することがある。テーマそのものに空間的な広がりがあるなら相互の関係を並べて絵にする。主要な軸がいくつか取れるときはグラフかする。

アプローチ③最終形からたどる⇒「最後に何がほしいのか」
 中期計画を考える場合⇒現在の状況、目指すべき姿、中期計画の目的関数(市場地位等)をどうおくか、そのときの強みや自社らしい勝ちパターン、勝ちパターンの数値的な表現

アプローチ④「So What?」を繰り返す。⇒トヨタのなぜなぜ5回、フェルミの洞察力。

アプローチ⑤極端な事例を考える⇒事業に関係する変数を極端な値に振ってみる。

<第2章 仮説ドリブン① イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる>

ストーリーラインづくりの手順は①イシューを分解し、②分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる。

STEP1:イシューを分解する

意味のある分解が必要。⇒「ダブりもモレもなく(MECE)」「意味のある固まりで」砕くことが必要。

イシューを分解する型:「WHERE・WHAT・HOW」「機能・形態・しくみ」など

型がないときは逆算:「最後にほしいもの」から逆算していく
※例)「電子マネー」の商品開発:「最後にほしいもの」は「核となる商品コンセプト」、その次は「エコノミクスの枠組み」、その次は「この枠組みに基づき、どのようにシステムを構築し、どのように運用するか」

イシューを分解する効用
・課題の全体像が見えやすくなる

・サブイシューのうち、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる
分解してそれぞれに仮説を立てる:イシューを分解して見えてきたサブイシューについてもスタンスをとって仮説を立てる
MECEとフレームワーク

・MECE:ダブりなくモレなく

・フレームワーク:3C(顧客・競合・自社)、5フォース(競合、買い手、売り手、新規参入、代替品)、バリューチェーン(ビジネスモデルを時系列に分割)、VDS(価値の選択・価値の創造・価値の伝達)、7S(Strategy、System、Structure、Style、Staff、Skill、Shared Value)
⇒フレームワークは万能でないことに注意!!

STEP2:ストーリーラインを組み立てる

ストーリーラインが必要な理由
・単に分解されたイシューとサブイシューについての仮説だけでは論文やプレゼンにはならない。

・ストーリーの流れによって、以後に必要となる分析の表現方法が変わってくることが多い。
⇒人に何かを理解してもらおうとすれば、必ずストーリーが必要になる。

典型的なストーリーの流れ
1.必要な問題意識・前提となる知識の共有
2.カギとなるイシュー・サブイシューの明確化
3.それぞれのサブイシューについての検討結果
4.それらを総合した意味合いの整理

事業コンセプトのストーリー
1.問題の構造
2.狙うべき市場ニーズ
3.事業モデル
4.事業コンセプトの方向性

ストーリーラインづくりは脚本・ネームづくりと似ている⇒脚本家、漫画家も新しいものを生み出す過程では七転八倒する。

ストーリーラインの役割
・立ち上げ段階:何がカギとなるサブイシューか、いったい何を検証するためにどのような活動をするのか、という目的意識を揃えるためにストーリーラインが活躍する。(ストーリーラインが検討の範囲を明確にする)

・分析・検討段階:ストーリーラインを見ることで、イシューに対する仮説の検証がどこまでできているかが明確になる。ストーリーラインは分析結果や新しい事実が生まれるたびに肉付けし、刷新する。

・まとめの段階:ストーリーラインはビジネスプランのサマリー、論文のようやくのベースになる。ストーリーラインは言葉の明晰さと論理の流れの磨き込みのために必要となる。
ストーリーラインの2つの型

・WHYの並び立て:帰納法的に理由や具体的なやり方を並び立てる。

・空・雨・傘:「空(課題の確認)」「雨(問題の深掘り)」「傘(結論)」で最終的にいいたいこと(普通は結論の「傘」)を支える。

<第3章 仮説ドリブン② ストーリーを絵コンテにする>

絵コンテ:分析イメージ(個々のグラフや図表のイメージ)、設計図
※設計図は「論理」という太い柱が必要⇒絵コンテづくりのためには第2章のストーリーラインが必要
「どんなデータが取れそうか」ではなく「どんな分析結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる。

絵コンテづくりの3つのステップ:「軸の整理」「イメージの具体化」「方法の明示」

STEP1:軸の整理

分析の本質:「比較すること」(「分けること」「数字で表現すること」は例外があり本質ではない)
定量分析の3つの型
・比較:同じ量、長さ、重さ、強さなど、何らかの共通軸で2つ以上の値を並べる
・構成:全体と部分を比較すること。「何を全体として考えて、何を抽出した議論をするか」の軸の整理が重要。
・変化:同じものを時間軸上で比較すること。「何と何を比較したいのか」の軸の整理が重要
分析表現の方法は多様:「比較」「構成」「変化」のそれぞれで表現方法がたくさんあり、その組み合わせもできる

原因と結果から軸を考える:分析は「原因側」と「結果側」の掛け算で表現される。比較する条件が原因側で、それを評価する値が結果側となる。⇒「軸を考える」とは原因側と結果側のそれぞれで何を比べるのか、ということを意味している。

分析の軸を出す方法:比較に際しての条件をグルーピングしていく。+ケースの組み合わせの考察やありえない条件の消去。

STEP2:イメージを具体化する

数字が入ったイメージをつくる:仮説段階のグラフのイメージや、判断に必要な桁数を考慮

意味合いを表現する:「意味合い」は「比べた結果、違いがあるかどうか」に尽きる⇒「比較による結果の違い」がポイント

明確に理解し得る違いの典型パターン:「差がある」「変化がある」「パターンがある」

STEP3:方法を明示する

現実的にデータを取る方法がなければ分析は砂上の楼閣になってしまう。
⇒「どんな分析方法を使ってどんな比較を実現するか」「どんな情報源から情報を得るのか」を明確にすること
例)マーケティング・リサーチ:検討内容×調査の役割×調査手法
利根川博士:「ほしい結果から考える人」であり、他分野から研究結果をもってきた。

○知覚の特徴から見た分析の本質

1.閾値を超えない入力は意味を生まない(一定レベルの入力がないと反応しない)

2.不連続な差しか認識できない(うどんを食べているとき、うどんの匂いが数パーセント変わっても認識できないが、ラーメンの匂いがすると認識できる)

3.理解するとは情報をつなぐこと(既知の情報とつなぎようのない情報は理解できない⇒だから「軸」が重要)

4.情報をつなぎ続けることが記憶に変わる(理解の経験を繰り返せば頭に残る)

<第4章 アウトプットドリブン 実際の分析を進める>

アウトプットを生み出すにあたり:限られた時間で、いかに本当にバリューのあるアウトプットを効率的に生み出すか。

いきなり飛びこまない:分析には軽重がある。もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行う。
⇒重要な部分をはじめに検証しておかないと、描いていたストーリーが根底から崩れることがある。
⇒カギとなるサブイシューを検証する場合は、どちらに転ぼうと意味合いが明確になるタイプの検証を試みること。

意味のある分析・検証は「答えありき」ではない⇒フェアな姿勢で検証しなければならない。
⇒天動説が主流の時代に地動説を証明しようとするなら、地動説に都合の良い事実だけでなく、天動説の論拠も実は地同悦の方が正しく説明できることを論証する。⇒「木」を見て「森」を見ず、にならないこと。

トラブルをさばく・・・2つのトラブルとその対策

・トラブル①:欲しい数字や証明が出ない

 ⇒構造化して推定する(フェルミ推定など)
 ⇒足で稼ぐ(直接現地で観察。一次情報を得る)
 ⇒複数のアプローチから推定する(幅から見る。複数の仮説から傾向がわかる)

・トラブル②:自分の知識や技では埒が明かない

 ⇒他力を活用する(人に聞きまくる)
 ⇒(他力が無理なら)期限を切って、それまでに目処がつかなければ見切りをつける。
  ⇒どんな方法であってもよいからイシューに答えを出せればよいと考える。
軽快に答えを出す

・いくつもの手法をもつ:答えを出すための選択肢を常に複数持っておく

・回転数とスピードを重視する:停滞しない。60%を70%、70%を80%にするには倍の労力がかかる。
 ⇒その労力の代わりにもう一度検証サイクルを回すことで完成度が効率的に上昇する。
 ⇒また、「受け手にとっての十分なレベル」を理解し、やり過ぎないこと。
(序章の繰り返し)大切なのは「答えを出せるかどうか」・・・答えが出せなければ「無価値」

<第5章 メッセージドリブン 「伝えるもの」をまとめる>

「本質的」「シンプル」を表現する:シンプルに無駄をなくすことで受け手の問題意識を高め、理解度を大きく向上させる。

受け手に次のようになってもらう

1.意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
2.最終的なメッセージを理解してもらう
3.メッセージに納得して、行動に移してもらう

デルブリュックの教え

・ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え
・ひとつ、聞き手は高度の知性をもつと想定せよ

ストーリーラインを磨き込む:3つの確認プロセス

・プロセス① 論理構造を確認する

カギとなる洞察にダブりもモレもないことを確認する。
 ⇒分析・検証の結果、全体のメッセージに影響が出たときは、全体のストーリー構造を見直す必要がないか確認する。
 ⇒この段階でカギとなる新しい概念が出てきたら、既存の疑念と混ざらないように「新しい名前」をつける

・プロセス② 流れを磨く

最終的なメッセージを明快な論理の流れの中で示していく
 ⇒リハーサルをしながら磨く:「紙芝居の荒磨き」⇒実際にプレゼンしてみる
  ⇒聞き手から「わかりやすいか」という視点とともに「聞いていて引っかかるところはないか」という視点でコメント。

・プロセス③ エレベータテストに備える

 ⇒仮にCEOとエレベータに乗り合わせたとして、降りるまでの20秒程度で自分のプロジェクトの説明ができるか?
  ⇒ストーリーラインを作り込んだ時点で実は8割方終わっている。
⇒ピラミッド構造にまとめているのでどのレベルで説明するかを自由自在に選択できるようになっている。

チャートを磨き込む: 優れたチャートの3つの条件とコツ

1.イシューに沿ったメッセージがある⇒コツ:1チャート・1メッセージを徹底する
 ⇒チャートに意味があるかどうかを判断するのは長くて「15秒」

2.図表のタテとヨコの広がりに意味がある⇒コツ:タテとヨコの比較軸を磨く
 ⇒軸の選択をフェアにする、軸の順序に意味を持たせる、軸を統合・合成する、軸の切り口を見直す

3.図表がメッセージを支えている⇒コツ:メッセージと分析表現を揃える
 ⇒イシューに沿ったかたちでメッセージを明確にしながら、分析表現を磨き込む

「コンプリートワーク」

結果を出さねば意味がない。
⇒「人が褒められること」ではなく「生み出した結果」が自分を支えるようになる。