【もういちど読む山川日本近代史】
鳥海 靖 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/463459112X/
○この本を一言で表すと?
日本史の教科書の近代部分をクローズアップした本
○面白いと思った点・考えた点
・P.49の岩倉使節団の写真で岩倉具視がバカ殿みたいに見えて少し笑いました。
・P.76の憲法制定のためのヨーロッパ視察で、むしろ急進的過ぎることをヨーロッパ諸国で諌められるというのは、立憲政治に至るまでのプロセスの違いとその違いによるパラダイムの違いでもあったのかなと思いました。
今の感覚からすると君主制の面が強く思える内容でも当時はかなり進んだ内容であったというのは、当時の制度に対するバランス感覚が伺えるなと思いました。
・P.106の初代インド首相ネルーの日本に対する印象の変遷(日露戦争勝利に対する興奮で日本についての英文の著作を好んで読みふける⇒日本の韓国・中国への侵略で植民地国家に変わったことを悟る)が、日本との利害関係が薄い地域のアジアの知識人全体の印象だったのかなと思いました。
・P.161で紹介されている成金の中でもかなりすごかった内田信也が30代で資本金2万円・チャーター船1隻から翌々年には資産7,000万円(現在の貨幣で1,500億~2,000億円)・持ち船16隻になったというのはすさまじい「成金」ぶりだなと思いました。
しかもこの人物は1920年の不況もうまく潜り抜け、戦後には大臣を歴任しているそうで、運だけでなく才覚も兼ね備えていた人物だったのかなと思いました。
○つっこみどころ
・この本を読む一年前に「もういちど読む山川日本史」を読んでいたせいか、それほど新鮮味なく最初から最後まで読み切ってしまいました。
それ以降も中公新書の「太平洋戦争」の上下巻や「昭和史(中村版)」を始めとしていくつか近代に関する本を読んだせいか、目新しい内容もそれほどなかったように思いました。
・幕末で会津藩がクローズアップされているように思えるのはやはり「八重の桜」の影響でしょうか。
・P.235の「防空の手引き」はなぜ左から右に読むように書かれているのか不思議でした。後付けで作成された、または再作成された資料なのでしょうか。