【世界経済の死角】レポート

【世界経済の死角】
河野 龍太郎 (著), 唐鎌 大輔 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4344987802/

○この本を一言で表すと?

 金融をメインとした世界情勢・日本情勢についての対談の本

○よかったところ、気になったところ

・対談本なのですぐに読めるかなと思って読み始めましたが、内容が詰まっていて意外と読むのに時間がかかりました。
初めて知ったことなども多くあり、勉強になりました。

・2025年7月に出た本で、2025年1月までの対談がメインの本ですが、2026年3月時点で結構外れていることがあることに驚きました。
特に日本の政治について、自民党が圧倒的多数で当選することなどは全く読めなかったようです。
著者たちの洞察力が低いとかではなく、それだけ不確実性の高い世界になっているのだなと改めて思いました。

・日本の現状について、円安の影響だけでなく、生産能力の海外移行などの影響も大きく、デジタル赤字の影響などもあることなど、なるほどなと思いました。
海外直接投資の影響が経常収支に反映されているためにそこまで赤字になっていないものの、内容はすでにバランスが崩れているという議論は特に納得できるなと思いました。
政府の会議でそれを主張してもあまり反応がなかったのは日本らしいなとも思いましたが。

・NISAブームが日本の家計を救うのか、それに対する疑問は同意できるなと思いました。

・AIやSNSに関する議論は興味深いなと思いました。
AIについては他の本や会話でもよく出てくるテーマですが、SNSの影響で、議会なども中間層とみなして、その中間層も飛ばして有権者と政治トップが直接結びつくことの危険性などは確かにそうだなと思えました。

○つっこみどころ

・「世界経済の死角」というタイトルですが、世界経済というよりアメリカ経済と日本経済が半々くらいだったように思いました。
また、死角というのは本文中では殆ど触れられておらず、内容としても死角と言えるようなことはほとんどなかったのではと思いました。
別の出版社での共著者の著作「日本経済の死角」の続編のような内容だと思わせたい出版社の戦略でしょうか。

・本文中で紹介される本の中で、本当に読んで引用したのか微妙だなと思う箇所がいくつもありました。
特に「サピエンス全史」「ホモ・デウス」の要点となるところの解釈が誤っているように感じました。
自分が読んでいない他のこの本で引用されている本についても引用のされ方が正しいのか微妙かもしれないなとも思いました。

・本文中で「全能の神に近い支配階層(ホモ・デウス)」と記述されていましたが、「ホモ・デウス」ではアルゴリズムやデータそのものが人間を支配する可能性が結論として書かれていたので、一部のテック企業とその経営者などの超富裕層をホモ・デウスとするのは解釈がおかしいように思えました。

・ダンバー数と絡めてホモ・サピエンスとネアンデルタール人の活動人数は前者が後者の10倍くらいだったと書かれていましたが、「サピエンス全史」では認知革命で抽象的なことを伝えられる能力を身につけたことが前者の勝利の要因だったという内容だったと思います。
それに、脳の容量とダンバー数を関連付けていましたが、脳の容量はネアンデルタール人のほうがホモ・サピエンスの1.2倍くらいだったはずで、そこも間違っているように思いました。

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