【HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネジメント】レポート

【HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネジメント】
アンドリュー・S・グローブ (著), ベン・ホロウィッツ (その他), 小林 薫 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822255018/

○この本を一言で表すと?

 元祖マネジャー向け教科書の本

○この本を読んで興味深かった点・考えたこと

・最初のベン・ホロウィッツの序文で、どれほどコンパクトに無駄なく重要なことが書かれているかが述べられていて、かなり高い期待を持って、一言一句しっかり読もうとするモチベーションが上がりました。
この本の内容を読ませるうえで、かなりうまい導入だったと思いますし、実際に本文も1983年に書かれた本ながらいろいろと得ることがありました。

・「7つの習慣」などの自己啓発書や「ザ・ゴール」などの生産管理の本など、後に書かれた本とそっくりな内容が随所にあったように思いました。
この本自体も、著者が学んだ原典があって、その引用になっているところが多いかもしれませんが、言い回しまで似ているところもあったので、この本が原典となっていることも多そうです。

・「最後にもうひとつ」というスティーブ・ジョブズがよく使うフレーズの最後のテストで、この本の内容の各ポイントを思い返すことができるようになっていました。
初版から元々あった内容なのか、改版した時に加えたのか、著者以外の誰かが加えたのかが気になりました。

イントロダクション

・著者自身の導入で、1983年の状況が書かれていて、日本のハイテク産業への進出がインテルにとって脅威だったことや、電子メールの登場でコミュニケーションが変わっていったこと、部下を持たないアドバイスを主な業務としたノウハウ・マネジャーを包含したミドル・マネジャーの定義とその重要性、キャリアパスのあり方などに触れられていました。

<第1部 朝食工場―生産の基本原理>

1章 生産の基本

・ゆで卵とトーストとコーヒーのセットを提供する「朝食工場」を仮定して、生産管理の基本について分かりやすく説明しつつ、その手法を事務作業等にも展開できることが示されていました。

・プロセス(加工・処理)、アセンブリー(組立て・まとめあげ)、ドライラン(予行演習)、の各工程で朝食の提供も生産管理も事務作業もできることが示されていました。

・リミッティング・プロセス(制約的ステップ)という言葉が、今の生産管理だとボトルネック、クリティカル・パスの意味で使われていましたが、そのリミッティング・プロセスに合わせて工程を考えることなど、「ザ・ゴール」で説明されていたTOC(制約条件理論)を先取りしていて、むしろこちらが本家ではと思いました。

・状況が複雑になった場合として、トーストに待ち時間ができた場合のリミッティング・ステップの変更や専業化なども現代の生産管理手法とあまり変わらないことが述べられていました。

・手を加えることで付加価値がつけられていることを、生卵を茹でてゆで卵にすることで付加価値が付けられていることを例にして、生産プロセスにおいて重要なのは「価値が最低」の段階で問題を発見して解決すべきこと、この考えからすると客にゆで卵を提供する時より生卵を仕入れる検収段階で悪くなった卵を処分すべきことが書かれていましたが、これはまさに業務効率化の基本だなと思いました。

2章 朝食工場を動かす

・個人単位ではなく、トースト・コーヒー・ゆで卵とそれぞれ専門化・自動化された生産ラインを活用した朝食工場において、業務をうまく管理するためのインディケーター(指標)の重要性が述べられていました。

・インディケーターの選択も重要で、質と量のどちらかが欠けていれば十分に管理されないこと、どのインディケーターを採用するかで方針が決まり、そのインディケーターに向けたインセンティブが働くことは、「人は評価される方向に動く」という管理原則そのものだなと思いました。

・インディケーターを、工場というブラックボックスをのぞく窓と考えるというのも的確な表現だと思いました。

・受注生産から見込み生産に変わることで生産と販売が分離されると管理が困難になるというのは、製造業だけでなく他の事業でもほぼそのままに当てはまる考えで、線形インディケーターによる目標未達の早期警戒、スタッガーチャート(ずらしチャート)による計画と実績の差異分析などはその使用を実際に仕事でも検討してみようと思いました。

※第2部~第4部は省略

○つっこみどころ

・第3部の組織論のところは、かなり古臭い内容で、若干陳腐化していそうだと思いました。
当時としては新しかったのかもしれませんが。
具体的に分かりやすい例で説明されているので、得ることがなかったわけでもないですが、編集でカットしてもよかったのではと思いました。

・第1部は短いながら内容が凝縮されていて得るところが多く、第2部も得るところが多かったのですが、尻すぼみになって行っているような印象を受けました。
第4部は第3部よりましだと思えましたが、第1部・第2部ほどではなかった印象です。

・言い回しがくどい割には、それほど意味のある結論に思えなかったところがところどころあったように思いました。
序文に引きずられて期待が高まり過ぎていたのか、全体としては良かったと思いますが、そういった箇所が特に気になりました。

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