【もういちど読む山川政治経済】
山崎 広明 (編さん)
https://www.amazon.co.jp/dp/4634590670/
○この本の第2部を一言で表すと?
経済についてそれほど深くは触れずに経済のしくみや現代社会について触れた内容
○興味深かった点
・「日本の品目別市場占有率(2006年)」を見て、今は結構変わってそうだなと思いました。(特に携帯電話契約、コンビニ)
また、この時点でも宅配便市場で佐川急便がヤマト運輸にシェアで迫っているなと思いました。(P.127)
・「価格メカニズム」のコラムは初めて経済学に触れる人でもわかりやすい内容でいいなと思いました。(P.130)
・一般会計予算の半分強しか税金による収入が占めていないこと、歳出総額が増える中で更に社会保障関係費と国債費が増えているのはかなりバランスが悪い財政だなと思いました。
公共事業関係費と文教及び科学振興費の割合が低下しているのは、前向きな方向に税金が使えていないように思え、「大きな政府」としての機能がほとんど高齢者に向けられているような印象を受けました。(P.141)
・間接税と直接税では消費税等の間接税の方が補足しやすいこと、直接税ではサラリーマンが補足しやすいことはその通りだなと思います。
サラリーマンの源泉徴収のような制度は日本以外にほとんど見られないという話を聞いたことがあります。
サラリーマン・自営業者・農民の所得捕捉率が「トーゴーサン(10・5・3)」「クロヨン(9・6・4)」というように言われていたのは初めて知りました。(P.147)
・農業の問題は深刻だとは思いますが、経済政策としての話(経済的に進展、雇用対策)と安全保障としての話(食料自給率確保)が混ざって書かれているような気がしました。
どのような状態に持っていくことがよいのか、その絵が描けないと進展困難な分野だと思います。
また、アグリビジネスやグリーンツーリズムの話は2010年に出版されたこの本(記事を書かれたのはもっと前)で動きがはじまっていると書かれていて、今もほとんど進展していないところを見てみるとまだまだ芽が出ないビジネスなのかなと思いました。
ちなみに「三ちゃん農業」とは「じいちゃん・ばあちゃん・かあちゃん」の事だそうです。(by コトバンク)(P.175~181)
・「フリーター」「ニート」の定義がしっかり書かれているのが面白いなと思いました。
ニートの状況が書かれている「青少年白書」に一度目を通してみたいなと思いました。(P.188,189)
○つっこみどころ
・社会主義活動家としてよくマルクスと併記されるエンゲルスの記述がないなと思いました。(P.115)
・景気変動周期のキチンの波、ジュグラーの波、クズネッツの波、コンドラチェフの波は今でも通用するのでしょうか?(P.139)
・POSの機能は売り上げ管理のところまででそれ以外の在庫管理や発注管理は通常別のシステムのことをいうのではと思いました。(P.168,169)
・中小企業問題についてはかなり甘めに書かれているなと思いました。
自立している中小企業のエピソードは全体の中でわずかにある好例を引っ張ってきているだけのように思います。(P.171~174)
・社会保障の話は、充実させようという方向性はわかりますが、一度導入した政策を引っ込めることができない中で、どんどん自縄自縛になっているような印象があります。(P.192~200)
・元は高校生の教科書で自己破産について厚めに書かれているのが面白いなと思いました。
実際の教科書でもこのコラムはあるのでしょうか?(P.205,206)