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【アイデアのちから】レポート

【アイデアのちから】
チップ・ハース (著), ダン・ハース (著), 飯岡 美紀 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822246884/

○この本を一言で表すと?

 思いついたアイデアをどう展開するかについて書かれた本

○よかった点・考えた点

・伝えたいことをどのように伝えるか、相手の印象に残すためにはどうするかについてかなり分かりやすく、豊富な事例と一緒に書かれていました。

序章 アイデアのちから

・この本を書くに至った経緯や、臓器泥棒の話、ポップコーンの健康への影響の話、ハロウィーンを台なしにする話でこの本で書かれているSUCCESs(Simple、Unexpected、Concrete、Credentialed、Emotional、Story)について説明していました。

第一章 単純明快である

・核となる部分について簡潔に伝えることの大切さについて書かれていました。
軍隊において複雑な命令を下さず、目的や目標と行動指針を簡潔に示してあとは各部隊に任せること、サウスウェスト航空の「無敵の格安航空会社」という簡潔な判断基準で考えること、「リード(主題)」を埋没させないようにすること、など事例が豊富でイメージがしやすかったです。
核となる部分を見極めること、それを簡潔なアイデアの形で表現することはかなり重要なことだなと思いました。

第二章 意外性がある

・意外性が重要だというのは誰もが納得することだと思いますが、誰も予想がつかないこと打ち出すだけでなく、ウケ狙いで分かりにくいものは逆効果になることもあると書かれていました。

・驚きは推測機械が働かなくなった時に生じることと、その推測機械にひっかけるものであることが一番効果があるということは、なるほどと思いました。

・「隙間理論」で謎を示され、曖昧にされたままだと関心が続くというのも納得でした。

第三章 具体的である

・具体的であることが重要というのも誰もが納得しそうです。
ただ、それなのに具体的なものより抽象的なものに走ってしまうのは、抽象化できることが専門家と一般人の差で、専門かはつい抽象化してしまうというのは分かる気がします。

・固有名詞や体験が具体的で相手の記憶に強く粘りつくというのは当たり前のことですが、事例を通して改めて理解できたように思います。

第四章 信頼性がある

・信頼性が重要ということもまた理解しやすいですが、人が何を持って信頼するかということが書かれていて勉強になりました。

・経歴に信頼性がないからこそ、自身でピロリ菌を摂取して潰瘍になることを示したマーシャルの話は、信頼性を構築することの方法論としても優れていますが、逆にそこまでしないと信頼されないという問題の根深さも感じました。

・親権に関する判断の実権で、子供が使用していた歯ブラシがダースベイダーの歯ブラシだと細かい挿話を入れるだけで陪審員役の人の意見が変わったというのは、人が信頼する根拠が大いに心理的なものであることに気付かされました。

・人は自分が理解できること・尺度の方を信頼しやすいということもマーケティングなどで重要になってきそうです。

第五章 感情に訴える

・一般的なことよりも個人的・個別的なことの方が感情が強く動くというのは確かにそうだなと思いました。自己利益に訴えることが感情を動かすことと、自己利益でない公共の利益だからこそ行動する(自己利益目的だと思われることを避ける)ことは人間のさまざまな欲求や感情を検討していて面白いなと思いました。

第六章 物語性

・物語性が重要というのは一番分かりやすい内容だったと思えました。
その物語性で相手に強い印象を与え、行動させるための3つの方策として「励ましの物語」「挑戦の物語」「創造の物語」があるというのも分かりやすかったです。

○つっこみどころ

・邦題に反してアイデア自体の力については全く触れられていませんでした。
原題の副題も「なぜあるアイデアは生き残り、それ以外のアイデアは死ぬのか」とあります。邦題はかなりミスマッチだと思いました。

・訳者は海外で活躍した方だそうですが、日本語がそれほど得意でないのか、文章にかなり違和感があるところが散見されました。
例えば、「固定概念」という言葉を何度も使っている(おそらく「固定観念」のつもり)、第四章で「反権威者」という訳し方をしている(権威に反している人を指しているわけでなく、権威者でない人たちのことを指しているので「非権威者」の方が意味が通りそうです)、など。

・第三章の具体性と第四章の信頼性はそれぞれ重複するところがあり、また具体的だからこそ信頼するという因果関係もあり、ひとまとめにしてもよいのではないかと思いました。
第五章の感情に訴えることについても具体性や信頼性が関係していて分けることが妥当だろうかと思いました。