【イノベーションのジレンマ】
クレイトン・クリステンセン (著), 玉田 俊平太 (監修), 伊豆原 弓 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4798100234/
<第一部 優良企業が失敗する理由>
破壊的イノベーションの法則
1.企業は顧客と投資家に資源を依存している。⇒既存顧客の要求等
2.小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない。
3.存在しない市場は分析できない。
4.組織の能力は無能力の決定的要因となる。
5.技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない。
失敗の理由
・組織とマネジメントの失敗
・能力と抜本的技術の失敗
・バリューネットワークと失敗の要因に関する新しい見方⇒製品アーキテクチャ、コスト構造
価値の測定基準⇒容量、小型化、、、
Sカーブ:持続的イノベーション⇒既存企業が無理なく連続する。
破壊的イノベーション⇒異なる用途でのSカーブ⇒不連続
○企業の意思決定(P.77~)
ステップ1.破壊的技術は、まず既存企業で開発される
ステップ2.マーケティング担当者が主要顧客に意見を求める。
ステップ3.実績ある企業が持続的技術の開発速度を上げる。
ステップ4.新会社が設立され、試行錯誤の末、破壊的技術の市場が形成される。
ステップ5.新規参入企業が上位市場並行する。
ステップ6.実績ある企業が顧客基盤を守るために遅まきながら時流に乗る。
○掘削機業界
求められる性能=バケット容量(機械式>油圧式)⇒新しい用途(狭い溝等の油圧式でないと対応できない領域)
大手も油圧式で「既存市場」に参入したが、旧い考え方での対応により失敗
○登れるが、降りられない
⇒下位市場から上位市場への移行は可能だが、逆は困難
利益率や技術向上の観点で上位に移行。破壊的技術は下位から攻めてくる。
鉄鋼業界 総合製鉄事業とミニミル(技術は荒いが低コスト)⇒「鉄筋→棒鋼・線材→形鋼→鋼板」(P.136)
<第二部 破壊的イノベーションへの対応>
1.破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に任せる
別組織を設立し、既存k事業の影響力から外す。⇒「別の」顧客を追及する。
「顧客中心」から外れる⇒例:HP・・・既存技術と新規技術の競争(プリンタ:レーザー⇔インクジェット)
2.組織の規模を市場の規模に合わせる
先駆者メリットは常にあるとは限らない「先駆者は背中に矢を射られている」
企業規模が大きいと、小規模市場を追えない「成長率のプレッシャー」
⇒3つのアプローチ(P.183~)
・新しい市場の成長率を押し上げる⇒なかなかついてこない
・市場がうまみのある規模に拡大するまで待つ⇒参入障壁が築かれている
・小規模な組織に小さなチャンスを与える⇒離れた場所に事業部を置く、買収後に統合しない、等
3.新しい市場を見いだす
破壊的イノベーション⇒開発時点では市場を「知りえない」⇒持続的イノベーションの市場予測を適用すると失敗する。
既存市場向けに開発すると失敗に⇒HPの1.3インチドライブ(不必要に技術を投入しすぎて高コストに)(P.201~)
偶然と模索:ホンダの北米オートバイ市場進出(P.205~)、インテルのマイクロプロセッサー市場の発見(P.210~)
アイデアの失敗と事業の失敗:適切な戦略を見つける前に資源や信頼を失うのが「事業の失敗」
アイデアの失敗とマネージャーの失敗:資源配分プロセスの中でリスクを避けるマネージャーの「結果的に」失敗
学習のための計画と実行のための計画:学習のための計画は「発見的志向の計画」。不可知論的マーケティングの実践
4.組織のできること、出来ないことを評価する方法
組織能力の3つの枠組み
・資源:人材、設備、技術、商品デザイン、ブランド力、情報、資金、ネットワーク
・プロセス:価値を生み出す相互作用、協調、コミュニケーション、意思決定のパターン
・価値基準:仕事の優先順位を決めるときの基準
⇒企業は破壊的技術について、資源は満たせるが、プロセスと価値基準を満たせないことが多い
変化に対応する能力の3つの生み出し方
・買収による能力の獲得
・新しい能力を内部で生み出す
・スピンアウト組織によって能力を生み出す
イノベーションの条件と組織の能力の適合性(P.240)
5.供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
競争基盤が変化する(例 ハードディスク:記憶容量→大きさ→信頼性→価格)
性能の供給過剰が製品競争の移行のトリガーとなる。
○破壊的技術のその他の一貫した性質
・破壊的技術の弱みは強みでもある。
・破壊的技術は確立された技術より単純、低価格、高信頼性、便利
⇒会計システムはシンプルに、インシュリンは妥当な程度の純度に
○製品競争の進化(P.266)
・ハイエンドの顧客に向けて上位市場に進む。
・顧客に合わせる。
・昨日に対する市場の需要を変化させる。
◎まとめ(P.294~)
1.市場の進歩のペースは技術供給の進歩とペースが異なる場合がある。
2.資源配分のプロセスがイノベーションのマネジメントに反映される。
3.市場と技術の組み合わせの問題がともなう。
4.組織能力は経営者が考えるより専門化されていて、特定の状況以外に対応できない。
5.破壊的技術に直面した時、大規模な投資を行うための情報は存在しない。
6.つねに先駆者になる、つねに追随者になる・・・という一面的な戦略は×
7.「物」よりプロセス、価値基準が大きな障害になる。