【ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書】レポート

【ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書】
アレックス・オスターワルダー (著), イヴ・ピニュール (著), 小山 龍介 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4798122971/

○全体として

既存の様々な経営学の考え方やアイデア発想法などを「ビジネスモデルキャンバス」で表した、「ビジネスモデルキャンバス」の考え方や使い方を例示した本だと思いました。

○各章の概要とコメント

①Canvas キャンバス

・9つの項目とその関連づけがよく分かる図に、ビジネスモデルを書いていく「ビジネスモデルキャンバス」の各項目について説明されていました。
ビジネスモデルを考案・改良していく上でも、自分のビジネスプランをプレゼンする上でも有効なツールだと思います。
⇒ビジネスプランで全体の概要を示すものといえば最初につけるサマリーくらいのものですが、ただ簡便に記述したサマリーではなく、視覚的にビジネス内容を理解できるビジネスモデルキャンバスはプレゼンのツールとしてもかなり有用だと思います。

②Patterns パターン

・ロングテール等のビジネスコンセプトをビジネスモデルキャンバスに落とし込み、応用しやすいパターンにする実践例が書かれていました。
例に挙げられているビジネスコンセプト以外のものを落とし込めば、自分の手札としてパターンが増えそうです。
⇒具体的なビジネス内容だけでなく、ビジネスコンセプトをビジネスモデルキャンバスにパターンとして落とし込むことで、初期段階のビジネスアイデアを様々なパターンに乗せて検討することが可能になるというのは、自分の直観では組み合わせてみようと思わなかったアイデアとパターンの組み合わせでよいものを思いつく可能性も出てくるなと思いました。

③Design デザイン

・ビジネスを「デザイン」するための手法が取り上げられています。どちらかといえば文系・右脳系の手法で発想力を活かす方向で例が挙げられていました。
ビジネスモデルキャンバス自体が視覚的なツールでもあり、こういった手法と親和性が高そうです。
⇒この章で紹介されているデザイン手法をメインツール、ビジネスモデルキャンパスをサブツールとして膨らませることができそうだと思いました。

④Strategy 戦略

・環境の検討、ビジネスモデルの評価といったビジネスモデルの再評価の話と、ビジネスモデルの移行(部分的に直接競合しないように移行=ブルーオーシャン)、複数ビジネスモデルの運営といったビジネスモデルを実行に合わせる話が書かれていました。
⇒ビジネスモデルキャンバスに環境の各項目がどのような影響を与えるかについて検討したり、各項目について評価したりできるのは、かなり網羅的で丁寧な問題の洗い出しができそうです。
最後の複数ビジネスモデル運営の話は、ビジネスモデルキャンバスで同じフォーマット上に各事業を表現することができ、マーケティング面で共食いになりそうなところ、リソース面で重複しそうなところなどがチェックできそうです。

⑤Process プロセス

・ビジネスモデルのデザインプロセスを5つのフェーズ「リソースを結集する」「理解する」「デザインする」「実行する」「管理する」に分けて考え、各フェーズにおいて活用できる③のデザイン手法や④の戦略が示されています。
⇒各フェーズで使う手法等が整理されていますが、これらは例示列挙と考え、実際にプロセスを回す際は鵜呑みにするのではなく、手法の取捨選択を自分で考えるべきだろうなと思いました。

○つっこみどころ

・「ビジネスモデルキャンバス」以外は既存のビジネス書で書かれていることを引用しただけで、オリジナルのものがほとんどありませんでした。
その点だけを考えるとよくある「経営書50冊まとめ」のようなただの経営書紹介の本になってしまっています。
考えようによってはそれだけ「ビジネスモデルキャンバス」をクローズアップした本だと受け止めることもできますが。

・⑤のプロセスで、5つのフェーズの全てにおいてビジネスモデルキャンバスの存在感が薄いように思いました。
各フェーズで利用される手法の中で使われるということだとは思いますが。

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