【資本主義以後の世界―日本は「文明の転換」を主導できるか】
中谷 巌 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4198633134/
○この本をひと言でまとめると。
経済史観やキリスト教観からみた資本主義に対して今後の方向性を考えた本
○よかった点
・日本は西洋と異なり庶民の力が強く、それが日本自体の強さに繋がっているという考え方はなるほど、と思いました。(P.60~61,202~)
・経済史観と宗教観を重ねて考えているのが面白かったです。(第2章)
・海外に行った友人などに、「日本の文化について聞かれた」「自国の歴史を知らないと言って恥をかいた」というような話を聞いたことがあったので、著者がそれを大事だと思って実際に自分の塾で教えているという話は納得感があります。(P.250~)
・課税の案として「還付つき消費税」の案はなかなか面白いと思いました。(P.324~)
・参考文献をみると5,000円以上で6冊構成の本など、かなりボリュームのある本がたくさんあり、著者はいろいろな分野の本を読んでいる読書家だなと思いました。
・委員会設置会社やJ-SOX法に関する違和感は大企業に関わる仕事をしていてよく感じたので納得です。(P.231~)
・マイケル・ポーター教授の「共通価値の戦略」について2011年6月のハーバード・ビジネス・レビューで読んで「競争の戦略」などから大分路線の違った意見だな、と思ったので著者の意見と一致していて面白かったです。(P.241~)
○つっこみどころ
・「不識庵」「不識塾」を運営しているという経歴を見て、どこかで見たことがあるなと思ってググってみると上杉謙信の庵号でした。
著者の経歴をWikipediaなどで調べても特に新潟県に関するわけでもなく、文字面が好きなのかなと思いました。
・若干「自虐史観」に拘り過ぎでは?という印象を受けました。
日本人の価値観や外交の弱さなど、もちろん影響はしているでしょうが、それだけが理由ではないと思います。
・「官僚つぶし」について、若干官僚を無条件に信頼しすぎている印象を受けました。
背景が異なるのに明治の官僚と現代の官僚をそのまま重ね合わせるのはどうかと思います。(P.129~)