【無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論 18人の巨匠に学ぶ組織がイキイキする上下関係のつくり方】
海老原嗣生 (著), 守島基博(解説) (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4833421224/
○この本を一言で表すと?
組織論の基礎理論を実践法とともに解説した本
○この本を読んで興味深かった点・考えたこと
・部下個人への指導から組織の構築と組織の強みについての話まで展開されていて、様々なレベルで考えられるなと思いました。
(第1章 なぜ企業は社員のやる気を大切にするのか)(第2章 難しいのは機会の与え方と支援)(第5章 見栄えのいいメソッドよりも錆びない基礎理論を)
・上記の章は同じ著者でこの本より後に出た「即効マネジメント」の劣化版という印象でした。内容が悪いというわけではなく、同じ内容でよりよい著作がある、と言えるかもしれません。
第3章 組織をイキイキとさせる古典的理論
・組織の階層が6~10階層程度に別れる中で、管理職にある者はそれより下位のものに仕事を委ね、方針を示すことに集中すべきというフランクリン・コヴィーの「7つの習慣」の第二の習慣の内容が説明されていました。
・中間管理職の役割は、上位から来た方針にそれよりは具体的な肉付けをして下位に伝えるというのは、分かりやすいなと思いました。
・メイヨーとレスリスバーガーのホーソン効果の話から非公式なインフォーマルグループの重要性が提示されていましたが、有効なインフォーマルグループの条件として「自由意志で組織され」「誇りを持ち」「運営を任されている」ことが挙げられていてなるほどと思いました。
第4章 指令や判断の根源がコア・コンピタンス
・強さの根源としてのコア・コンピタンスについて、業種としての強みは競合に対して何の差別化にもならないということが説明されていて、意外と多くの人がハマりそうな誤りに対して明快に説明されているなと思いました。
・コア・コンピタンスの5条件「他社にはない希少価値(Scarcity)」「容易に真似られないその企業のオリジナリティ(Imitability)」「簡単には廃れない(Durability)」「反発しない方向へなら徐々に変えていくことも可能(Substitutability)」「他への転用可能性がある(Transferability)」のどれも満たす要素を企業が備える、もしくは発見するのは大変そうですが、かなり重要なことだなと思えました。
○つっこみどころ
・この本より後に出た「即効マネジメント: 部下をコントロールする黄金原則」を読んでからこの本を読みましたが、第1章・第2章・第5章は全く同じ例題が掲載され、本文すらほぼ同一というものだったので、かなり損をした気がしました。
また、「即効マネジメント」に比べると話のまとまりが弱く、印象に残りにくい構成だと思えました。