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【日中外交秘録】レポート

【日中外交秘録 垂秀夫駐中国大使の闘い】
垂 秀夫 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4163919872/

○この本を一言で表すと?

 中国メインの外交官の自叙伝の本

○よかったところ、気になったところ

・1989年に入省してから2023年まで同省で務めた外交官の自叙伝の本でした。
中国に特化して務めていたこともあり、その分濃度の濃い役人人生だなと思えました。
官房長・中国大使までで、事務次官や大臣を経験していないこともあり、現場メインの話が多く、過去に読んだアメリカのジョン・ボルトンやオバマの回顧録などよりも分かりやすくて面白く読めたように思います。

・34年という時間を経て、著者自身もそうですが、日本・海外を問わず、それぞれの人物の立場や経験が変わる様子が伝わってきて、同じ人物でも時を経て変わっていくのだなということがよくわかりました。

・外交という一分野から見た政治の観点も興味深かったです。
民主党政権時の拙さ、安倍元首相や菅(すが)元首相、特に自分自身は全く評価していなかった二階氏の評価などは興味深いなと思いました。

・一党独裁から一人独裁に変わった習近平以前・以後の変化の大きさについてよく伝わってきました。
毛沢東・鄧小平の流れで習近平時代を見ると、習近平の後は続かないというのは、その通りだろうなと思えました。
集団統治と一人統治の違いと、一人統治の歪みは他の本を読んで感じていた以上に大きく根深そうだなと思いました。

・台湾有事について、台湾侵攻より平和的統一の方が脅威だという話は目からウロコで深く納得できました。
過去に読んだ中公新書の「台湾の歴史と文化」や米中関係の本などを読んで、どの本でも台湾侵攻に関する脅威のみ触れられていて、平和的統一の脅威については全く触れられていなかったので、このあたりは外交官としての経験かなと思えました。

・中国について、世界覇権とか領土拡大などを考えているとはあまり思えず、なぜかなと自分でも不思議に思っていましたが、この本を読んでとても納得できたように思います。
元々自国の領土だった等の理由以外では領土問題を起こさないというのは現代においては中国に限らず自然であるようにも思えました。
ロシアなどは例外かもしれませんが。

○つっこみどころ

・各章ごとに項目別で時系列に沿っていなかったので、読み進めていて読みにくいところがありました。
項目別になっていることでそれぞれ理解しやすくなっているかもしれませんが、項目を横断して考慮すべきところなどは省かれてしまうように思いました。

・2ヶ所だけ、同じページか見開きで「習遠平」となっているところがありました。
ネタか何かが元の誤変換かなと思いましたが、ググると習近平の弟の名前でした。
習遠平は閑職に追いやられているようなので、文脈的にはやはり誤字ではないかと思いました。

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