
【第三帝国 ある独裁の歴史】
ウルリヒ・ヘルベルト (著), 小野寺 拓也 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4040823400/
○この本を一言で表すと?
19世紀末から20世紀前半にかけてのドイツの独裁とその背景の歴史の本
○よかったところ、気になったところ
・第一部、第二部で時系列でドイツの世相、主要な思想などが述べられ、第三部で戦時中の国内・占領地域等の様子が述べられていました。
ナチス興隆以前からある程度、ナショナリズムや共産主義などの萌芽があったことなどがよくわかりました。
・ユダヤ人の扱いについて、最初は国外追放の方針だったのが、受け入れ先がなくて追放できなかったために強制労働・虐殺の方針に変更されていったことが印象的でした。
・戦時中の強制労働、虐殺については他の本でもよく触れられていましたが、強制移動で占領地域からドイツ本国に大量に移送されていたケースもあることは初めて知りました。
・戦争前では知的障害者の虐殺で非難の声が大きく、戦時中ではもっと大規模な虐殺が行われていったことなど、状況による価値観の違いが印象的でした。
銃殺からガス室に変更された理由として、実行者の精神的負担があったというのも印象的でした。
・第十四章の食料供給の減少が国民の士気に大きく影響を与え、本国空襲があってから連帯意識が向上したというのは、現在の日本で食費が上がると不満が大きくなり、災害が起こると連帯意識が向上することと似ているなと思いました。
○つっこみどころ
・全体的に読みにくい文章でした。原文に忠実に翻訳しているのかもしれませんが、回りくどい言い回しや論理的におかしいような記述が多かったです。
論理的におかしいのは口頭の記述のところに多かったので元々おかしかったのかもしれないですが。
・帯に「ヒトラーは東欧をいかに改造したか?」「統治の全貌が明らかに。」などと書かれていて、自分の知らなかった何らかの統治体系や手法などがあるのかなと期待していましたが、単に収奪し、人員については強制労働か虐殺といった、統治とも言えないような場当たり的な支配だけだなと思いました。
そもそも「東欧」という文言自体が本文中にほとんど出てこず、ポーランドと「ソ連までの地域」という表現で出てくるのみでした。