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【アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治】レポート

【アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治】
吉田 徹 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4065209242/

○この本を一言で表すと?

 リベラリズムの構造や変化について述べた本

○よかったところ、気になったところ

・現代は、共同体・権力・争点の三位一体が崩れ、「多文化」社会・「強い指導者」を望む声・争点の変化があり、政治が分極化し、アイデンティティが空白化し、ヘゲモニー闘争も多角化する、という混乱した状況であることが最初に述べられていました。

・戦後のリベラル・デモクラシーは格差を拡大する過度な経済リベラリズムと革命に至る過度なデモクラシーを抑制し、中間層を生み出して安定していたが、今は瓦解の途上にあるそうです。

・戦後コンセンサスからリベラル・コンセンサスに移行し、経済リベラリズムの抑制が外れ、「保守vs.左派」から「権威主義vs.リベラル」の対立に置き換わったそうです。

・歴史が国家間のトラブルの原因になっていることについて、歴史は主観的要素を取り除けないために客観的事実とは異なり、国家・集団ごとの集合的記憶として定着するために異なる集団間では相違するのが当然であり、互いに主張し合えば終わりのない争いになる、ということが述べられていました。
対応策として、歴史認識について赦し合う、忘却し合う作法を編み出していくことが述べられていました。

・宗教原理主義は、アイデンティティの空白を抱える社会的弱者に大して強い訴求力を持ち、先進国のホームグロウン・テロやヘイトクライムに繋がっているそうです。
宗教によって個人が操作されるのではなく、個人によって宗教が操作され、ポスト世俗的な解釈によるウーバー化したテロリズムを生んでいるのだそうです。

・1968年を起点として「個人化」が進み、集団との関わりが薄くなると他者への否定に繋がりやすいそうです。
デュルケームの思想によると集団や組織が個人を否定するのではなく、個人を成り立たせる集団や組織があるのだそうで、その関係の中でこそ人は自由を獲得するのだそうです。

・リベラリズムには「政治」「経済」「個人主義」「社会」「寛容」の5つのレイヤーがあり、リベラリズムを捨てるのではなく、様々な事象にあったリベラリズムを組み合わせることで対応していけるのではないかという結論が述べられていました。

○つっこみどころ

・「アフター・リベラル」というタイトルからリベラリズムに続く概念を提示するのかなと思いましたが、リベラリズムが多様化するという結論でした。
タイトルが誤っているように思えました。

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