
【ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで】
鶴見 太郎 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121028392/
○この本を一言で表すと?
ユダヤ人の歴史を多面的に紹介した本
○よかったところ、気になったところ
・これまでにユダヤ人やユダヤ教、イスラエルをテーマにした本を10冊以上は読み、主題でなくてもこれらに触れている本は更にもっと読んできてそれなりに詳しくなっていたつもりでしたが、この本を読んで初めて知ったことが結構あり、新たな視点でみることもできました。
・ユダヤ人を一括りで考えてしまうことが、割と自然になってしまっていることに気づきました。
ある程度意識的になされているPR戦略かもしれませんが、ホロコーストについて冷淡に見ていたユダヤ人の一派がいたこと、ホロコーストの犠牲はユダヤ人についてだけクローズアップされることなどは意識させられず、画一的に考えさせられ、更にその概念を拡張してユダヤ人に被害があることを含めさせたりしていることなどは根が深いなと思います。
・ユダヤ教に対する姿勢、様々な解釈を検討して多面的に考えることや、識字率や思考力の向上からホワイトカラー的な職業に強く、その過渡期には貴族と庶民の間に挟まる中間層としての立ち位置になり、それらのことが重なってポグロムなどで弾圧されるようになる、というのは、現状に適応し過ぎてその現状が変わった時に適応できない「失敗の本質」のようなものかなと思えました。
立場的に主体的に動けず、現状あるものとの組み合わせで生き延びてきたことを考えると、そうなっても仕方ないとも思えますが。
・古代から現代までを対象とした長期にわたるユダヤ人の歴史を俯瞰できる本だったからか、この本を読んで初めて『ユダヤ人は長期間を見据えた計画を実行することがあまりなく、状況に応じて割と場当たり的なのでは』と思えました。
旧約聖書がそれこそ長期にわたる期間を対象としている預言を載せていたり、古代に住んでいたパレスチナに現代になって復して国家を建てたりしているので、超長期間の計画を世代を超えて実行する民族であるように感じていましたが、この本の主題になっている「組み合わせ」からしてその場その場の状況に適応し続けている方が正しく思えてきました。
○つっこみどころ
・自分は少しずつ読み進めていたのですが、少し時間をおいてから続きを読むと、出てくる横文字の単語の意味がわからないことがよくありました。
遡って探しても見つけられないことも。知っていて当然の知識なのかもしれませんが、文脈で察することができるようにする、索引をつけるなどしてくれたらと思いました。
著者本人だとそれこそ当然に知っている用語だったりするでしょうし、編集者の作業に関わることかもしれませんが。