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【ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日】レポート

【ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日】
マーティン・フォード (著), 松本 剛史 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532356636/

○この本を一言で表すと?

  ロボット・AIによって今後世界がどうなっていくかを様々な視点で検討している本

○面白かったこと・考えたこと

・様々な視点からロボット・AIが社会に与える影響、今までの歴史上の変化とは異なる変化などが語られていました。
大手コンサルティング・ファームなどと絡んでいないからか、ロボット・AIを無理に擁護しようというところがなく、かなり批判的に検討が加えられていて、同じテーマに触れている本の中では客観的な内容だと思えました。

第1章 自動化の波

・製造業ではかなり自動化の動きが進んでいて、その前提としてのオフショアリングで安価な労働力を求めて中国やそれよりも安価な東南アジア諸国などに製造委託が進み、更に自動化すればオフショアリングすら不要になって海外の雇用も縮小するであろうという未来が述べられていました。

・顧客と対面するサービス業は国内に残るものの、このサービス業にこそ自動化の波がきていて、それなりの品質の食事・サービスなどをロボットで提供できるようになっていて、その事例として日本のくら寿司も挙げられていました。

・店舗自体がスケールアップした自動販売機のようになり、人が労働する必要が縮小していくそうです。クラウドロボティクスにより、あらゆる場所にサービスが提供され、また情報収集され、品質が向上し続けること、農業の分野でも自動化が進んでいることなども挙げられていました。

第2章 今度は違う?

・農業革命や産業革命など、これまでの歴史的な変化と異なり、「雇用なき回復」というフレーズに代表される事態が起こっていることが様々な観点で述べてられていました。

・恐ろしい七つのトレンドとして、停滞する賃金、労働分配率の低下と企業収益増大、労働力率の低下、雇用創出の減少・雇用なき景気回復の長期化・長期失業者の増大、格差の拡大、大卒者の所得低下と失業、分極化とパートタイム職が挙げられていました。
この7つのトレンドの主要な要因として、グローバリゼーション、金融化、政治の3点が挙げられていました。
政治・経済を主導する者はこの3点について更に拡大するインセンティブを持っていて、今後もこの傾向は続きそうだなと思いました。

第3章 情報テクノロジー

・情報テクノロジーはモノのテクノロジーと異なり、いくらでも増殖可能なために比較優位の理論が通じず、得意な分野に集中する必要がなく、全てに勝っているならそちらを増殖すれば劣るものを利用する必要がないという点で大きく異なることが述べられていました。
情報テクノロジーであればロングテールを網羅的にフォローできるため、より一人勝ちの傾向が進むのだそうです。

※第4~第10章は省略

 ○つっこみどころ

・後半はあまりロボットと関係なく、格差社会が進んだ場合の政策などについて触れていました。
ベーシック・インカムについてなど結構踏み込んで書かれていて面白くはありましたが、この本のテーマとはだいぶ離れていったような気がするままこの本の最後まで述べられていました。

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