
【幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ】
熊本 史雄 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121026381/
○この本を一言で表すと?
幣原喜重郎の人生を通して明示から昭和初期までの外交史を記述した本
○よかったところ、気になったところ
・以前、日本外交史を記した岡崎久彦氏の「〇〇とその時代」シリーズを全部読破したことがあり、その中に「幣原喜重郎とその時代」がありました。
岡崎久彦氏は陸奥宗光の親族だそうで、陸奥宗光を大絶賛し、陸奥宗光の薫陶厚い小村寿太郎もかなり評価していましたが、それ以外は結構批判的に書かれていて、あまり記憶に残ってはいないですが、幣原喜重郎もかなり評価が低かったです。
この本は、もう少し客観的な見方の本も読んでみようと思い、買ってみた本でした。
・小村寿太郎の息子の小村欣一も外務省で、それも幣原喜重郎の下で活躍していたのは興味深いなと思いました。
・外務省内での派閥争い、政務局とそれ以外の話なども興味深かったです。
幣原喜重郎は外務省のメイン部局の政務局を経ておらず、また政党にもあまり関わっておらず、主流から外れていたことで満州事変などに対応できず、だからこそ戦時日本の色があまりついていないので戦後の首相になったのかと思うと複雑な人生だなと思いました。
日本国憲法の成立過程について、アメリカ主導なのがあからさまなのに、なぜそれが確実な説として他の日本近代史の本でも扱われていないのか、不思議に思っていましたが、幣原喜重郎がGHQ案を受け入れ、日本主導だと主張を続けたことに要因があったのだとはっきり知ることができて興味深かったです。
○つっこみどころ
・前半は幣原喜重郎を持ち上げる論調が続いていましたが、中盤ころからそれがあまりなくなり、著者の気力が尽きたのかなと思いました。
幣原喜重郎の自身の考えに固執しすぎるところはあまり褒めようがないように思えました。
・外交指導など、細かく指導しているところは精力的に働いているなと思いましたが、見方を変えるとよくあるマイクロコントロールしたがり大局を見れない上司の姿そのものでもあるなと思えました。
現場の外交官としては優秀であっても人を束ねるには向いていなさそうに思えました。