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【5Gビジネス】レポート

【5Gビジネス】
亀井 卓也 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532114071/

○この本を一言で表すと?

 5Gと5Gを活用した周辺技術や政策についての入門本

○面白かったこと・考えたこと

・5Gの技術的な面は薄く、5Gがどのようなものでどのように活用されていくかというビジネス・政策的な面が重視されていて、5Gの仕組み自体や、5Gを実現させるための技術等についてはほとんど触れられていない本でした。
ネットワーク技術に詳しくなくても最後まですんなり読める、入門本にふさわしい本だと思いました。

・5Gという呼ばれ方から、iPhoneなどで3G・4Gなどがブランドのように呼称されていたことと連想して携帯電話の通信がメインの話かと想像していましたが、短波であり短距離の活用しかできないことと大容量であることから、携帯電話だけでなくそれ以外の様々な遠隔操作、情報管理等に活用できる技術であることが説明されていて、イメージを切り替えることができました。

第1章 5Gが話題になる理由

・5Gが「第5世代移動通信システム」のことであること、第1世代から第5世代に至るまでの歴史などについて説明されていました。

・5Gの3つの利用シナリオ「eMBB(高速大容量通信)」「URLLC(超信頼・低遅延通信)」「mMTC(多数同時接続)」とその活用事例について述べられていました。

・5Gの実現について、アメリカと韓国で最初の実現が競われ、欧州でも実現が推進され、中国では大規模な商用化が推進されているそうです。
日本は技術そのもの、商用サービス化は先進国の中では遅れ気味で2020年予定であるものの、5Gの使い方の開発では先行していると述べられていました。

第2章 5Gが変える生活

・携帯電話のさらなるサービス強化、xR(VRやAR等の総称)への展開、コネクテッドカーの実現、医療・介護分野への展開、認証技術から広告のパーソナライズへの展開、スマートシティの実現、スマートフォンからウェアラブル端末・ユビキタス社会への展開などがそれぞれ説明されていました。

第3章 ビジネスをどう変えるのか

・エネルギー政策への影響としてLPWA(省電力広域型通信)の展開と、LPWAが5Gに統合されていく展望が述べられていました。

・工場や現場で5G技術を介して遠隔操作する技術も大手企業で検討されているという内容が述べられていました。

・センサーと5Gの連携でセキュリティ・サービスへの応用も実際に進められているそうです。

・MaaSとして自動運転とモビリティサービス化の方向についても説明されていました。

・5G時代のビジネスモデルが、通信技術と最終利用者(企業・消費者)の間に「センターB事業者」を挟む、B2B2Xになっていくそうです。

第4章 5Gがもたらすリスク

・5Gによる通信以外の技術が揃わないと実感できるレベルには至らないことから、5Gへの高すぎる期待が、導入当初の状況で失望に変わる可能性について述べられていました。

・個人情報がより活用されていく時代になるため、消費者の個人情報に対する理解と判断が必要になってくると述べられていました。
この点についてはこの本で述べられている以上に消費者の理解がついてこないことでリスクが大きくなりそうにも思いました。

・個人のスコアリングが進み、画一的な評価をされている可能性について述べられていました。

・情報格差が5Gの展開状況によって更に大きくなり、地域間の格差が拡大するリスクについても述べられていました。
5Gもこれまでの技術と同様にインフラ整備が必要なので、この格差は今後更に広がる可能性のほうが高いように思えました。

・5Gに日本が乗り遅れることが最大のリスクだと章の最後で述べられていました。

第5章 5G時代にわれわれは何をすべきか

・通信事業者から通信事業者と最終利用者の間に入るセンターB事業者が主役になっていくと述べられていました。
サービス化やサブスクリプション化の進展がその根拠だそうです。

・最後に5G以降の技術について触れられていました。
より短波でより大容量、ただしより短距離な6Gがどのように展開されるのか興味深いと思いました。

○つっこみどころ

・プロローグの5Gによる将来像が、5G以外の革新技術の話がかなり混ざっていて分かりづらかったです。

・野村総研に在籍しているという立場上しかたないのかもしれませんが、プロローグ以外でも日本の国家政策・ビジョンや大企業の企業戦略を全肯定した上で語られているので違和感のある内容、偏った将来像が散見されました。
日本の5Gに対する戦略、スマートシティ政策などがあるべき姿として述べられている箇所などは特に不自然に思いました。

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