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【日本鉄道史 三部作】レポート

○この三部作を一言で表すと?

 鉄道好きで教科書の表紙まで鉄道の絵にする著者による鉄道の歴史の本

○面白かったこと・考えたこと

・ペリー来航から現代までの鉄道の歴史が新書3冊で描かれていました。
最初は全て海外からの輸入で賄っていた状況から、新幹線の開業で世界の注目を集めるようになるまで、日本の鉄道の位置づけの変化は興味深いなと思いました。

・鉄道によって変わった国民の生活、土地活用の変化、都市化など、鉄道というインフラの影響の大きさを改めて実感しました。

・明治の初期の鉄道に関するところはもちろんこと、戦後に至っても、特定の人物がリーダーシップを発揮して鉄道のありかたを変えていっていることが印象的でした。

【日本鉄道史 幕末・明治篇 蒸気車模型から鉄道国有化まで】

【日本鉄道史 幕末・明治篇 蒸気車模型から鉄道国有化まで】
老川 慶喜 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121022696/

・ペリー来航時に蒸気車模型を持ってきていて、それを組み立て、動かして乗った幕臣がいたこと、それ以前に出版物で鉄道の存在を知っていたこと、外国視察で鉄道がどのように動いて運用されているのかを理解したことなど、日本の鉄道の歴史のスタート地点から始まっていました。

・ペリー来航後の4年後には蒸気船を作った佐賀藩が蒸気車模型も作っていたのは初めて知りましたが、納得できる気もしました。

・お雇い外国人から脱するのが結構早いなと思いました。
海外で学んだ井上勝が鉄道局長になって、工技生養成所を創設して日本人技術者を養成し、自立していく動きはなかなかのスピード感だなと思いました。

・東海道と中山道の東西幹線の競争の話は有名ですが、中山道が優位だったこと、東海道に決まるまでの紆余曲折は興味深いなと思いました。
中山道で開通していたら日本の人口分布も今とだいぶ変わっていただろうなと思いました。

・鉄道が国民の生活を変えていったことは、インフラが変わるたびに今の生活が変わっていっていることよりも大きな変化だったのだろうなと思いました。

・私鉄が次々に設立され、鉄道が延伸されていって、国有化になっていったのは興味深いなと思いました。

【日本鉄道史 大正・昭和戦前篇 日露戦争後から敗戦まで】

【日本鉄道史 大正・昭和戦前篇 日露戦争後から敗戦まで】
老川 慶喜 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121023587/

・狭軌と広軌の違いがよく分かっていませんでしたが、世界標準は広軌で、狭軌から広軌に変更していく動きがあったものの、延伸を優先し、狭軌のまま現在までいたっているのは興味深いなと思いました。

・鉄道が「郊外」というものを生み出し、都市圏という考え方にもつながったというのが興味深いなと思いました。
移動距離と時間、速度が変わると生活圏も変わるということが如実に出ているなと思いました。

・満鉄が設立され、路線が充実してくると、日本と満州を股にかけた旅行プランができてその切符も作られていたことなども興味深いなと思いました。
今も存在するJTBが1912年に設立されていた話も興味深かったです。

・電化されるのが結構早いなと思いました。
技術的な話があまり載っていなかったですが、興味深い分野だと思いました。

【日本鉄道史 昭和戦後・平成篇 国鉄の誕生からJR7社体制へ】

【日本鉄道史 昭和戦後・平成篇 国鉄の誕生からJR7社体制へ】
老川 慶喜 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/412102530X/

・戦後の国鉄・JRを中心に書かれていました。
独立採算制の国有鉄道という国鉄の立ち位置は満鉄に似ているなと思いました。
政策と経営の狭間にある企業体の運営は大変だなと思いました。

・東海道新幹線の開業のインパクトはすごかったんだなと改めて思いました。
「新幹線」という言葉を「幹線」よりも先に知ったので、新しい幹線というイメージが逆にありませんでしたが、広軌の国際標準の線路を敷いて、特急専用線として運用したのは、大きなトピックだなと思いました。

・国鉄が民営化されてJRになった時、他の私鉄はかなりの衝撃だったろうなと思いました。
阪急と阪神の経営統合は村上ファンドが絡む文脈でしか紹介されないことが多いですが、対JRとしての統合という視点で考えるとそれなりに妥当かなとも思えました。

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