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【第3の案 成功者の選択】レポート

【第3の案 成功者の選択】
スティーブン・R・コヴィー (著), ブレック・イングランド (著), フランクリン・コヴィー・ジャパン (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4863940181/

○この本を一言で表すと?

 「7つの習慣」「第8の習慣」と発展させてきたコヴィー氏の集大成の本

○よかった点

・「第8の習慣」もそうでしたが、「7つの習慣」の全ての要素を包含しつつ、さらに進んだ考え方を示している本だと思いました。

・「See-Do-Getサイクル」(P.23)というのは初めて見ました。私たちの行動が全てパラダイムに基づいていてその行動によって得るものが決まる、ということがよく表されていて分かりやすい図だなと思いました。

・「私は自分自身を見る」「私はあなたを見る」「私はあなたの考えを求める」「私はあなたとシナジーを起こす」という第3の案を探すパラダイム(P.39)は、第3章以降の全てのケース(職場、家族、学校、法律、社会、世界、人生)で踏襲されていてとても力強いパラダイムだなと思いました。

・シナジーに至る四つのステップ(P.87)は、実践がかなり難しいと思いますが、うまくいけばすごい効果を出せそうだなと思いました。

・ビル&メリンダ・ゲイツ財団が集めたさまざまな分野の専門家の発想は、しがらみがない状態で考えると本当に多様なアイデアが出るのだなということを強く感じました。(P.105~)

・シナジーの障害となる「GET(Gain:利益、Emotion:感情、Territory:テリトリー)」(P.138)は本当にいろんなケースで当てはまりそうだなと思いました。

・マイクロソフトの元CTOのネイサン・ミアボルドが創設した「インテレクチュアル・ベンチャーズ」が発展途上国向けのワクチンを提供するために自動小銃の専門家などを集めて、温かい気温に数分さらされただけでダメになるかもしれないワクチンを電力を使わずに6ヶ月保存できる装置を開発した、というのはすごいなと思いました。(P.170~)

・クラシック音楽家の父親が娘の好きな釣りやロックミュージックに付き合って仲を深め、娘がクラシック音楽も好きだと友達に話しているのを聞いて喜んでいるところはその喜びがわかるような気がしました。(P.227)

・貧困から抜け出せない地域の学校で、学校制度が変わるまで待つことなく、落書きを消し、保護者の関与を0%から100%にし、個人的な相談ができるアドバイザーを付け、さらに動機づけたリチャード・エスパルザはすごいなと思いました。(P.282~)

・未熟なペンキ職人が自分の未熟さを隠して仕事を受けたことに対して、ただ非難するのではなくそのペンキ職人にどんな人生だったのかを聞いて、ペンキ塗りの仕事を教えた工務店担当者の懐の深さはすごいなと思いました。(P.345~)

・王立カナダ騎馬警察リッチモンド署のワード・クラパムの犯罪を取り締まるのではなく予防するアプローチはすごいなと思いました。(9.11事件後にいろんな人種や宗教の人とコミュニケーションの集会を開いてガス抜き、部下全員をリーダーに育てる、良い行いをした人を捕まえてポジティブ・チケットを渡す、など)(P.388~)

・犯罪と絶望の根が妊娠中の妊婦の状態にあるとして、NFP(ナース・ファミリー・パートナーシップ)を立ち上げて貧しい妊婦や薬物中毒の妊婦を助ける活動を始めた医師のデイヴィッド・オールズの視点と行動力はすごいなと思いました。(P.405~)

・高校中退でドラッグにはまり、3歳の子供を捨て、32歳までに窃盗で三度刑務所に入ったウェルドン・ロングがエマーソンの「人は一日中思っているものになる」という言葉に出会って、大学を卒業し、MBAを取得し、前科者のハンデを乗り越えて仕事で成功し、愛情あふれる夫・父親になったというのは、誰でも素晴らしい人物になれるという励まされる事例だなと思いました。(P.455~)

・エジプト、イラン、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ、シリアの若手音楽家で構成した「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」を立ち上げたイスラエル人のバレンボイムとアラブ人のサイードの友情と行動はすごいなと思いました。(P.497~)

・スイスの歴史はあまり知らなかったのですが、デュフール将軍の「偉大なる自制」を求める命令により短期間で内戦を終結させたこと、それに続いて少数派を尊重する直接民主制を採用することで多様な言語・民族が存在する国が最高のパフォーマンスを出しているというのはすごいなと思いました。
一人の人間のリーダーシップから始まった国が今も繁栄しているというのはすごいことだと思います。(P.516~)

・朝鮮戦争で重傷を負った韓国人のジェームズ・キムが北の隣人を助けるためにアメリカで資金を貯めて財産を築き、中国と北朝鮮に大学を開校して教育から変えていこうという活動をしているという、60年以上にわたるミッションに沿った人生はすごいなと思いました。
コヴィー氏自身もそうですが、クレッシェンドの人生(生命力を増していく人生)を送ろうとする人の人生は本当に素晴らしいなと思います。(P.543~)

○参考にならなかった所、または突っ込みどころ

・ちょこちょこ出てくる息子の事例は他の事例と比べて「ほんとにこの本で言う第3の案?」というのが多かったように思います。(P.46,47など)

○感想

・題名を見て、「7つの習慣」の第六の習慣「相乗効果を発揮する」をクローズアップした本かなと思っていましたが、「7つの習慣」で述べられている人格主義、「第8の習慣」で述べられている人格と能力の両輪をフルに活用した偉大な人生を包含しつつさらに上を求めるとてもレベルの高い本だなと思いました。
「7つの習慣」「第8の習慣」と併せて何度も読んで、少しずつでも身に付けていきたいと思います。

・2012年7月16日に亡くなったコヴィー氏の最後の著作になってしまったこの本で「クレッシェンドの人生」を送りたいと書いてありました。
コヴィー氏が生きておられたらより大きなミッションを果たしておられたのかと思うと、79歳という若さで亡くなられたのが残念でなりません。

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