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【RPAの真髄】レポート

【RPAの真髄】
安部 慶喜 (著), 金弘 潤一郎 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4296101056/

○この本を一言で表すと?

 大手コンサルティング企業のRPAに対する自社アピール及び営業のための本

○面白かったこと・考えたこと

・大手コンサルティング企業が書いた内容らしく、自社への利益誘導が多かったですが、表に出した本である以上、完全に誤った内容は書けず、自社サービスの内容と相反することも書けないと思われるので、大枠の仕組みの考え方やRPAと関連する技術内容などは参考になるかなと思いました。

第1章 新潮流、RPAの「今」

・この1年でかなりRPAの導入が進んでいること、定型的な作業の代替であるStage1から、非定型的な作業までフォローするStage2に取り組む大企業も増加し、特化型AIと連携するStage3に取り組む先進企業もある、と述べられていました。

第2章 RPA本格展開アプローチ

・アビームコンサルティングは直下型のプロジェクトを勧めていて、直下型RPA改革の5大ポイントとして「経営層のリーダーシップと事業部門長のコミット」「適切なツール選び」「RPA専門組織の発足」「運用・統制ルールの策定」「業務改革への意識づけ」が挙げられていました。

第3章 本格展開時に外せない運用・統制の勘所

・PoCやトライアルと、本格展開は別物であるとして、5つの潜在リスク(「周辺システムに起因する誤動作」「ロボットのブラックボックス化」「エラー/停止時のリカバリー」「処理の洗い出し漏れによる誤動作」「不正使用や情報漏えい」)を挙げ、その対処策が書かれていました。
IT統制と似たような内容ですが、勢いで導入してしまうと疎かになって不備に繋がる内容だなと思いました。

第4章 中堅中小企業に浸透し始めたRPA

・中堅中小企業でも導入が始まっているという事例が挙げられていました。
クラウドサービスなど、低額でスタートできるRPAツールが出てきていることが背景だそうです。

第5章 AI×ロボットが開く新段階のデジタル革命

・RPAがAIの前提になってくるという話で、AI-OCRとの連携が例として挙げられていました。
手書きの文字を読み取り、既存のデータと照合して判断する技術は、確かに多くの企業で有用だろうなと思えました。

第6章 成果を出す先進7社の取り組み

・7社の事例が挙げられ、各社でのRPAに取り組む組織体制や取り組んだ分野について述べられていました。
最後に金沢市企業局の取り組みが挙げられていました。

第7章 第4次産業革命の覇者へ

・RPAによる余力の創出から、業務プロセス改革、企業文化の変革、ビジネスのデジタル化、と進化していくと書かれていました。

○つっこみどころ

・自社のサービスに誘導するような内容が多く、事実と意見の切り分けを常に行いながら読まないといけないので大変でした。
RPAをブームに乗せようとする内容、RPAは始まりで別のサービスへのステップであるという内容、RPAはきっかけで企業改革がメインであるとする内容等、全てが誘導的とは思いませんでしたが、かなり針小棒大な記述が多々見られました。

・データ、グラフが母数を記載していなかったりして、RPAのサイトに登録している企業が母数なのに一般企業全体を母数と思わせるような記述もあり、過度に多くのRPAの導入を検討していると思わせるようなミスリードを誘発する内容が多々見られました。

・第3章で「デジタル部が上場企業の半数で見られるようになるのに、3年もかからないだろう」と書いてあり、それ以外でも「デジタル部」を推していましたが、これはないだろうと思いました。

・第6章の事例の内容が非常に薄く、企業内でどう検討したかがメインで、どういった仕組みで運用されているのか等に触れておらず、期待外れでした。

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